300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

26冊目『野菜のごちそう』から4回めは怪味味噌ラーメン

[26-4]『野菜のごちそう』より4回めは怪味味噌ラーメン(p.98~)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

夜から久しぶりに雨が降り出した水曜は、久しぶりにおうちラーメンを作る。

調理時間:10分以内

主な材料:[怪味ソース]練りごま、しょう油、砂糖、酢、ごま油、ラー油、香味野菜 [味噌ラーメン]中華麺、日本酒、味噌、トッピングの野菜など

調理の流れ:[怪味ソース]練りごまに砂糖を混ぜてから、他の液体調味料を少しずつ加えてのばす。[味噌ラーメン]トッピングの野菜を準備する。鍋に入れた水が沸騰したら日本酒と怪味ソースを加えて再沸騰させる。火を止めてから味噌を溶き入れ、丼に茹でた中華麺、スープ、トッピングを盛りつける。

point:練りごまに調味料を混ぜる際は液体を一気に入れるよりも、しょう油などを少しずつ加えていくるほうが、溶きやすい。ごま油とラー油は最後に。

出来上がった料理:「第3章 塩分・オイル味」から先ずは四川のソースを作り、アレンジレシピの味噌ラーメンを再現した。動物性の材料はいっさい入らないのでとても優しいお味に仕上がる。最初の一口二口はなんだか物足りないなぁと感じられるかもしれないけれど、麺を食べ終わりスープまで飲み進めた時に、ほおっとため息がでる美味しさ。こういうものを口にすると普段、いかに添加物や、パンチの効いた味のものを食べているのか気づく。

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トッピング以外はほぼ包丁を使わない上に、練りごまとお味噌の栄養分も摂れるので、深夜ごはんにも夜食にも使える。

酔っぱらうと〆にラーメンが食べたくなり、翌朝深く後悔するはめに陥ることが多々有るが、これからはもう大丈夫。いや、だいたい深夜に食べなきゃいいじゃんと突っ込まれそうだが、そういう理屈を越えたところにあるのが酔っぱらい(笑)

雨のしめった香りが換気扇を通して部屋に入ってくる。雨が空からぽつぽつ降ってくるのが好きなので、天気予報に傘マークがついていても気にならない(着物をきる機会は別として)。以前の職場で廊下を歩きながら上司と「雨が好きなんは農耕民族やなぁ、私は狩猟民族なので嫌いやわ」という会話を交わしたことが時々ふと思い出される。自分だけでは知り得ない、気がつけないことが他の人によって明快になる瞬間があって、人と交わるのは面白い。

<ごはん日記>

26冊目『野菜のごちそう』から3回めはこんにゃくの甜麺醤炒め

[26-3]『野菜のごちそう』より3回めはこんにゃくの甜麺醤炒め(p.26)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

2月も終わりというのに寒い火曜はお酒の肴にもぴったりな極上の炒め物を作る。

調理時間:15分ほど

主な材料:こんにゃく、シイタケ(そぎ切り)、長ネギ(斜め薄切り)、豆板醤、甜麺醤、にんにく、しょう油、日本酒、砂糖など

調理の流れ:こんにゃくは包丁で浅く切り目をつけたあと、味が入りやすいように断面を不揃いにするため手で割いた後、塩揉みし、水で洗ってから熱湯で茹でる。その間に炒め用の調味料、仕上げ用の調味料をあわせる。油を熱した鍋でこんにゃくを入れ焼き色がつくまで炒められたらシイタケを加え、油をまとったら、炒め用の合わせ調味料を加えて更に炒める。ねぎを入れて柔らかくなったら仕上げの調味料を加える。

point:炒め用の調味料(豆板醤など)は具材の隙間に入れ、しばらく油で熱すると辛さと風味が増す。

出来上がった料理:「第1章 味噌・しょう油味」より大好物の食材こんにゃくを使った炒め物を再現した。最近は下処理不要のこんにゃくも増えているが、丁寧に昔ながらに作られたこんにゃくを好むので、下処理はきちんと行う。揉み込んだ塩を洗い流し、熱湯で茹でるくらいなのでさほどの作業ではないけれど、ここを省くかどうかで仕上がりに響いてくるので、出来ることなら省かずに。

甘辛い味噌で炒めたこんにゃくのぷりっとした食感とシイタケのじんわりした甘みと水分が口の中に広がると、わわわ!これは美味しい!とお箸もお酒も止まらなくなる危険な一品。2〜3日の保存はきくので多めにつくっておけばお弁当にも、帰宅してすぐに飲みたい日にも至極便利。

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しょうゆ、出汁と赤唐辛子で味つけるこんにゃくのピリ辛煮は家族の大好物なので、帰省中に必ず一度は作る。このレシピに出会えたので、今後はこの味も時々京都の食卓に取り入れたいものだ。

作家、著名人の丼をめぐるエッセイ50篇が集められている本を読んだ。親子丼や天丼は時々食べるが、例えばカツ丼をお店で注文することはほぼ無い。先日記した新潟のタレカツ丼は別として、せっかくカリッとあがったトンカツをなぜ卵でとじなければならないのか納得出来ず長く口にしていなかったのだが、綴られているカツ丼を巡るエピソードを読み進むにつれ無性に食べたくなってきた。このところ近所のおそばやさんの前を通るたびにウィンドウでメニューをじっと眺めるものの、お店に入るまで未だ至らず。長年知らん顔をしていた食べ物が実はとっても好みの味だったらどうしようとすこし不安になってしまうのだ。桜が咲くまでには必ず、のれんをくぐろう!

 <ごはん日記>

26冊目『野菜のごちそう』から2回めは野菜のラグーソース

[26-2]『野菜のごちそう』より2回めは野菜のラグーソース(p.122~)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

日曜の仕事を終え、帰宅後にものすごい勢いでお酒を飲んだ余韻が残る月曜だからこそコトコトとソースを煮込む。

調理時間:50分ほど(ポルチーニを戻す時間は除き)

主な材料:トマト缶、ドライ・ポルチーニ(もどしてみじん切り)、マッシュルーム(みじん切り)、玉ねぎ(みじん切り)、にんにく(みじん切り)、バター、パルメザンチーズなど

調理の流れ:オリーブ油とにんにくを入れた鍋をじんわり加熱し、香りがたったら玉ねぎを入れてきつね色になるまで炒める。マッシュルームとポルチーニを加え、さっと炒めたらポルチーニの戻し汁を入れて煮詰め、トマト缶と砂糖を加えてしばらく煮込む。ほどよく煮詰まったらバターとチーズを入れる。

出来上がった料理:「第4章 チーズ・乳製品味」より野菜ラグーソースと、ソースをベースにしたカリフラワーのラグーパスタを作った。野菜を主材として料理する時は、お子さんや男性にはバターやチーズといった乳製品ならではのコクがあるお味が喜ばれる(ことが多い)。そこにポルチーニの香りも加わるので、お肉が入っていなくても全く気にならないほど美味しいソースが出来上がる。みじん切りするのは面倒かもしれないけれど、マッシュルーム、玉ねぎに少量のにんにくなので、案外すぐに切り刻める。

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ソースを使ったパスタのレシピが3種類(カリフラワー、焼き茄子、レンズ豆)掲載されている中から、カリフラワーのラグーパスタを再現。ラグーソースだけでも美味しいけれど、一つの素材、一つの手間が加わると味がこんなに変わるものなのかと実感できる。つくづく料理は面白い。

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部屋中にソースの煮える美味しそうな香りが漂い始めると、これから出来上がる料理をたのしく想像しながらワインをちびちび飲める。においから美味しく出来たとわかるので、待つ時間は煮込み系の料理を作る醍醐味でもある。

 今の仕事は柔軟剤等の香るものはNGなので、愛して止まない香水を身にまとわなくなった。オフの日にくどくない香りをつけて気持ちを切り替えたりするが、普段は時間をかけて入るお風呂の入浴剤やボディオイルで十分。香りはないけれどエプサムソルトや水素バスは寒い時期には手放せないアイテムでオススメ。

<ごはん日記>

26冊目『野菜のごちそう』から初回はコロンビア風豆腐のスクランブル

[26-1]『野菜のごちそう』より初回はコロンビア風豆腐のスクランブル(p.55)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

空は春の色だけれど、コートが手放せない金曜日はふわふわのお豆腐料理を作る。

調理時間:10分(お豆腐の水切り時間は除く)

主な材料:木綿豆腐、ミニトマト、細ねぎ、バター、カレーパウダー、ターメリック、砂糖、しょう油、レモンの絞り汁、片栗粉など

調理の流れ:水切りした豆腐を崩しながらボウルに入れ、カレーパウダー以降の調味料を加え混ぜる。フライパンに入れたバターが溶けたら、トマトをさっと炒め、細ねぎ、豆腐を加え強火で一気に炒める。

出来上がった料理:「第2章 スパイス・香辛料味」より本来は卵で作るのを豆腐にアレンジされたコロンビア風料理を作った。まずさっと炒めたお豆腐のふんわりとした食感が優しく、バターのコクが加わったカレー風味はほんのりスパイシーで、でも隠し味のお醤油とレモン汁でまろやかなお味。お豆腐1パックで作ったけれど、あまりに美味しく一度に完食してしまった程、口当たりのよい一品。オープンサンドイッチの具材にしても美味だろうし、のんびり食べる週末の朝ご飯にも似合いそう。

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豆腐を水切りする時間が無かったので、熱湯でしばらく茹でたものを使って料理した。きちんと水切りする方がお豆腐本来の味を楽しめるが、今回はショートカット。温かいので炒める時間が短縮でき、麻婆豆腐を作るときによくやる方法をもちいた。

プレミアムフライデーなので仕事後、夕暮れ時の赤坂に繰り出し一杯だけ飲んで、青山、表参道、原宿までぶらぶら歩いたが、いつもより静かなような。この年度の五十日(ごとび、ごとうび)に3時に退勤できる人はやっぱりとても限られる。

もうすぐフロントマンのSteven Tylerが単独来日するAerosmithのご機嫌な一曲を聴きながら家で飲み直していたら寝落ちして、このタイミングでの更新となった。

開花まではしばらくあるが、いまは樹の中、枝の中で花が咲きほころぶ準備をし始めている頃。みなさまも春に向けてじんわりと力をためられる週末になりますように。


Aerosmith - Walk This Way - Live At Donington Park / 2014

<ごはん日記>

 

25冊目『終電ごはん』、『今夜も終電ごはん』から最終回はハーブ風味のトマトスープ

[25-8]『終電ごはん』より最終回はハーブ風味のトマトスープ(p.16~)

 梅津有希子、高谷亜由著、株)幻冬社発行、 撮影 新居明子、スタイリング 駒井京子、イラスト 松元まり子、  2012年6月30日第1版発行、2012年10月10日第6刷発行

朝はパラパラ雨が降る中、傘が全く役に立たないほどの風が吹いた木曜はトマトスープを作る。

調理時間:10分

主な材料:玉ねぎ(薄切り)、にんにく(荒みじん切り)、ミニトマト、パプリカ(一口大に切る)、トマト水煮缶、固形コンソメ、ドライオレガノなど

調理の流れ:オリーブオイルを熱した鍋で玉ねぎが柔らかくなるまで炒め、ニンニク、ミニトマト、パプリカを順に入れ炒める。トマト水煮缶、水、コンソメ、オレガノを加え煮立ったら弱火にしてしばらく煮る。

出来上がった料理:「第1章 スープさえあれば」から一度作れば3〜4回分は楽しめるスープを作った。長時間煮込まないので、トマトの酸味が程よくきき、真っ赤なスープの中からひょっこり出てくるパプリカの歯ごたえは楽しくて、満腹感ももたらしてくれる。シンプルな味付けなので、2食目以降はチーズやカレー粉を加えたり、リゾット、スープパスタにしてアレンジを楽しめる。

オレガノのすっきりした香りはこのスープの大切な要素だけれど、なければドライバジルを使っても十分に美味しい。

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まとめに代えて:新刊の『今夜も終電ごはん』と前作『終電ごはん』からそれぞれ数品再現した。23時を過ぎてごはんを食べるのは極力控えているが(代わりにお酒を飲むため)、その時間帯の電車で帰路につくお勤め人は多く、きっと自宅に帰ってからようやくご飯となるのだろう。近所のコンビニで売られているお惣菜やカップ麺は便利だけれど、いつもだと飽きるもの。ほんの少し手間をかけて自分で作る食事はやっぱり美味しいし、身体に優しいから出来れば作りたいけれど、買い物、洗い物、複雑なレシピは面倒だと思っている人にピッタリの本。食卓には幾つかお料理が並んでいないと!という人にとっても、手早くできて、栄養、カロリーのことも考えられている使えるレシピが沢山あるので、おすすめ。

『終電ごはん』では、スープ、うどん、春雨、おとうふ、シリコンスチーマー、鍋料理のレシピに、便利グッズのカタログやレシピに記しきれない56の小技が紹介されている。続編の『今夜も終電ごはん』では、たまごかけごはん、おとうふ、肉、中華麺、野菜、だしを活用したレシピとグッズ紹介、小技20個と冷凍庫にあると便利な食材15個もあげられている。

深夜に帰宅してお腹が空いているものの太りたくない人、お野菜はたくさん食べたいけれどお肉もやっぱり必要な人、深夜にはなぜか麺類が恋しくなる人、パートナーや家族のために夜食を作る人のために優しい本。ただ読んでいるだけでも楽しめる。

blogでこれまで再現した28冊(たなかれいこさんの著作と終電ごはんは2冊をセットで再現したため)の一部。スパイス料理に夢中だったのでカレーの本が多いが、おかげさまで160と数個のレシピを再現することが出来た。拙blogを読んでくださっている皆さまに感謝。明日からも料理を楽しみながら作ります。

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<ごはん日記>