300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

28冊目『ごはん同盟のほぼごはん弁当』から2回めは豆腐チャンプルー弁当

[28-2]『ごはん同盟のほぼごはん弁当』より2回めは豆腐チャンプルー弁当(p.24~)

 しらいのりこ著、社)家の光協会発行、 撮影 キッチンミノル、スタイリング 久保原恵理、デザイン 根本真路、  2017年2月1日初版発行

空はすっかり春の色、少なくとも日中はあたたかくなってきた木曜は沖縄風のおかずの入ったお弁当を作る。

調理時間:10分以内

主な材料:木綿豆腐、片栗粉、豚肉細切れ、もやし、人参(千切り)、長ネギ(斜め薄切り)、ニラ(食べやすい長さに切る)、溶き卵、ナンプラー、かつお節、ごま油など

調理の流れ:(主菜)お豆腐は水切りした後、片栗粉をまぶす。フライパンにごま油を熱し、お豆腐の表面がぱりっとするまで焼いた後、加えた豚肉の表面に焼き色がついたら野菜を入れて炒める。全体に油がまわったらナンプラーをまわしかけ、溶き卵を加えて炒め、こしょう、かつお節を加える。(再現しなかった副菜)蛇腹に切ったきゅうりを塩水につけた後、塩昆布と米油であえる。(代わりに作った副菜)身体を冷やすきゅうりの代わりにスナップエンドウを塩ゆでにした。

出来上がった料理:「第1章 おかず2品で作る白ごはん弁当」より、炒めたかつお節の美味しさが染み入ったお豆腐にうっとりするチャンプルーを作る。豚肉から出るコクにナンプラーが深みを与え、仕上げにかつお節をたっぷり加えることにより、お出汁無しでも野菜、お豆腐、卵すべてに旨味がいきわたる。

沖縄料理は気温、湿度が似ているタイの調味料と相性がよいようだ。覚えておこう。

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この豆腐チャンプルーだけで泡盛がくいぃっと飲めそうだけれど、それはまた別の機会にとっておいて、ご飯と一緒にはむはむ食べて幸せになる。

那覇に行くと必ず訪れるのはソーキそば、タコライスハンバーガーの専門店と琉球料理のお店。5年以上前、観光客向けではなく地元の人行きつけの定食やさんで食べたソーメンチャンプルーの味が未だに忘れられない。本州ではなく沖縄で食べるからこそ格別なのだとわかっているので再現することはとうに諦め、いつかまた行ける日を心待ちにする。

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<ごはん日記

28冊目『ごはん同盟のほぼごはん弁当』から初回はまいたけとしょうがの豚肉巻き弁当

[28-1]『ごはん同盟のほぼごはん弁当』より初回はまいたけとしょうがの豚肉巻き弁当(p.14~)

 しらいのりこ著、社)家の光協会発行、 撮影 キッチンミノル、スタイリング 久保原恵理、デザイン 根本真路、  2017年2月1日初版発行

気温は高くなってきたけれど、風が冷たい水曜。本日よりしばらくお弁当を作る。

調理時間:10分ほど

主な材料:豚ロース薄切り肉、片栗粉、まいたけ(小房にわける)、しょうが(千切り)、酒、しょう油、みりん等

調理の流れ:(主材)下味をつけた豚肉の両面に片栗粉をまぶし、まいたけ、しょうがをのせて巻く。フライパンで焼き目がつくまで肉を焼き、調味料を加えて蓋をし、しばらく蒸し焼きにする。(副菜)下茹でして切ったしらたき、スライスした絹さやをフライパンで炒め、たらこ、酒を加え混ぜる。

出来上がった料理:「1章 おかず2品で作る白ごはん弁当」より、ごはんがすすむ甘辛いおかずをどぉんと詰めたお弁当を再現した。一見肉肉しいが、薄切り肉の内側には舞茸としょうがが隠れているので、軽く、でも舞茸の旨味、しょうがの香りと柔らかい豚肉の甘辛さで、ごはんがしっかり美味しく食べられる。あいまにうっすら桜色のしらたきをつまむのも、またよし。(レシピには無いが、副菜その2として常備菜のキャロットラペを豚肉の下に忍ばせた)

包丁を使わねばならない食材が少なく、舞茸としょうがは火が通りやすいので、根菜類と比べるとあまり神経質にならずに調理出来る。お肉の内側に片栗粉をまぶすことで、ばらけにくくなり、旨味を閉じ込める役割もしてくれる。

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この2年間、テフロン加工のフライパン無しで料理をしてきたが、この機会にえいっと購入。手に入れてみると、なんでこんな便利なものを持たずに暮らしてきたのだろうと不思議になる。買うまで散々悩んだ調理器具、大切に使おう。

京都のかつての職場はまわりに何もないところで、お昼にお店やコンビニに行く選択肢もなかく、ほぼ毎日お弁当を作っていた。思い返せばそれ以来ぶりのお弁当作りだがとても楽しい。

<ごはん日記>

27冊目『プレミアムな和サンド』から最終回はりんごのはちみつゆず風味のトーストサンド

[27-7]『プレミアムな和サンド』より最終回はりんごのはちみつゆず風味のトーストサンド(p.91~)

 ムラヨシマサユキ著、法)文化出版局発行、 撮影 木村拓、スタイリング 城素穂、編集 園田聖絵 浅井香織、  2017年2月19日初版発行

東京では桜の開花宣言が出たものの、冷たい雨が降る火曜は果物を使ったトーストサンドを作る。

調理時間:20分ほど

主な材料:胚芽入り山型食パン(8枚切り)、紅玉りんご(くし切り)、ゆず(横半分に切る)、はちみつ、クリームチーズ、バター

調理の流れ:横半分に切ったゆずの一方は果汁を絞り、残りは皮ごと薄切りにする。ボウルに入れたはちみつにゆずの果汁を少しずつ加え混ぜ、スライスしたゆずも加える。蒸し器をセットし、ゆずはちみつをかけたりんご入りの耐熱皿をのせてしばらく蒸した後取り出し粗熱を取る。トーストした食パンの半量の片面にクリームチーズを塗り、汁気を切ったりんごとゆずの皮をのせ、残りの食パンの片面にバターを塗ってかぶせる。

出来上がった料理:「スイーツ」の章より本blogを始めて初の甘いものを再現した。あっという間に出来る柚子の香り高いりんごのコンポートの美味しさをクリームチーズのこくが引き立てる大人向けトーストサンド。りんごの火の入れ方次第で口当たりが随分変わってくるので、レシピの加熱時間は目安にして、お好みの柔らかさで(画像は柔らかめに仕上げたもの)

このトーストサンドの面白味の一つはパンの切り方。横ではなく縦に切るので、どこを食べてもりんごがほぼ均等に入っている。

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ムラヨシマサユキ先生といえばレシピ本やSIHORIさんのお教室、NHKきょうの料理でも教えていらっしゃるのでお菓子専門と捉えられているかもしれないが、パンを含めて料理全般への造詣が深く、ご縁があって教室に数度通わせていただき瞬く間に魅了された。東京ではオーヴンがないので、本書をもってようやくレシピを再現出来たのはとても嬉しい。

下の画像は教室で習った栗入りシュトーレン。料理教室の風景も紹介したかったのだが、見つけられず。

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まとめに代えて:おいしくサンドイッチを作るための下知識を序章として、「魚介で」ではフライ、蒸し物、焼いた魚介を使った13品、「肉で」ではカツ、たたき、焼き物などを使った12品、「卵で」では出汁巻きや炒り卵等を使った4品、「大豆製品で」では湯葉や豆腐クリームを使った4品、「野菜で」では蒸し野菜やひじきを使った10品、「スイーツ」はホワイトチョコやようかんを使った7品が掲載されている。

食パンの厚さ、生地の種類まで細かく解説してある上に、サンドイッチを美味しく仕上げるための、例えば重しをして馴染ませることやうまく切るコツなどまで写真付きで載っているのでサンドイッチ作り初心者にも優しい料理本となっている。とはいってもサンドイッチを均等に切るのは思いのほかに難しく、(サンドイッチ自体はあっという間に出来上がるのに)包丁を入れるときが一番緊張した。

パン好きの京都で生まれ育ったことや、サンドイッチ発祥の地イギリスに暫く住まわせてもらったこともありサンドイッチは大好きな食べ物。なかなか気に入ったお店には巡りあえないが、このレシピたちがあればどこに住んでもサンドイッチ難民にはならなくてもいいんだなぁ。無い物ねだりをしなくても、身近にあるもので自分で十分おいしく作れること、取り合わせを考える面白さを気づかせてくれる貴重なサンドイッチ本。

体調がほぼ万全になってきたので、木曜のことの顛末を少しだけ。

身体がだるいものの、10-feetのツアーファイナルはいつもの音楽友だち3人と2階指定席で観ることが決まっていたので、仕事上がりにバタバタとお台場へ。19時開演まで間があったのでコンビニで各々アルコールを適量買い飲み干してから会場入り。竹原ピストルのパフォーマンスに茫然と涙し、10-feetで通路で飛び跳ねて踊っていた途中から記憶が曖昧になり、終演後みんなで興奮して感想を言い合ってから完全にブラックアウト。目覚めると金曜の朝の自宅で、心配する友だちからlineがわんさか入っていたので最大限の力を振り絞り最低限の報告とお礼を打ち、再び眠り夜シフトに備える。

その日より数日間は味付き飲料、固形物も身体が受け付けず、水で身体を支えてもらっていた。これから水だけでも生きていけるとぼんやりした頭で考えてもみたけれど、そんなの楽しくないよな。作りたいもの、食べたいもの、なにより食べてもらいたいものがいっぱいあるんだもの。

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<ごはん日記>

27冊目『プレミアムな和サンド』から6回めはいぶりがっこ+マスカルポーネのサンドイッチ

[27-6]『プレミアムな和サンド』より6回めはいぶりがっこマスカルポーネのサンドイッチ(p.78~)

 ムラヨシマサユキ著、学)文化出版局発行、 撮影 木村拓、スタイリング 城素穂、編集 園田聖絵 浅井香織、  2017年2月19日初版発行

木曜の夜から胃腸がやられてしまい、しばらくぶりの更新となった月曜日、春分の日は大好物のいぶりがっこを使ったサンドイッチを再現。

調理時間:10分以内

主な材料:角型食パン(12枚切り)、いぶりがっこ(3mm幅に切る)、マスカルポーネチーズ、とろろ昆布、バター

調理の流れ:半量の食パンの片面にマスカルポーネチーズを、残りの食パンの片面にバターを塗る。マスカルポーネチーズの上にいぶりがっこを、バターを塗ったパンの上にとろろ昆布をのせ、両方をあわせる。ラップでくるみ重しを置いてしばらく馴染ませる。

出来上がった料理:「野菜で」の章より、いぶりがっことチーズを組み合わせたサンドイッチを再現した。いぶりがっこだけでくいくいお酒が飲めるほど好きなお漬物に、チーズととろろ昆布から染み出てくるさりげない旨味が加わり、舌の上に広がる美味しさが、わ!これはお酒!となる危険なサンドイッチ。レシピでは2分置いて馴染ませると記されているが、もっと長く置くほうが昆布の持ち味が発揮出来る。

カリカリと口の中で音をたてながら食べるサンドイッチがあるんだということがとても楽しくて、ただそれだけで誰かに作ってあげたくなる。(もちろん美味しいです)

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いぶりがっこは、ポテトサラダのアクセントにしても美味しいし、スライスしたいぶりがっこの上にほんの少しのクリームチーズをのせるだけで、お酒飲みにとっては堪らない肴となる。あのスモーキーなお味とチーズは相性抜群。

もう少し体調が安定したら、次回はお酒とあわせて楽しむんだ。

<ごはん日記>

27冊目『プレミアムな和サンド』から5回めは牛しぐれ煮+せりのサンドイッチ

[27-5]『プレミアムな和サンド』より5回めは牛しぐれ煮+せりのサンドイッチ(p.46~)

 ムラヨシマサユキ著、学)文化出版局発行、 撮影 木村拓、スタイリング 城素穂、編集 園田聖絵 浅井香織、  2017年2月19日初版発行

ホワイトデープレゼント(甥っ子が初めて自分で選んでくれた品)が1日遅れで届いた水曜は、浮かれて日本酒にあいそうなサンドイッチを作る。

調理時間:10分以内

主な材料:角型食パン(12枚切り)、牛肉のしぐれ煮(市販)、せり(3㎝長さに切る)、バター

調理の流れ:食パンの片面にバターをぬり、せり、しぐれ煮をのせてバターを塗った食パンをかぶせる。

出来上がった料理:「肉で」の章より市販品のしぐれ煮さえあれば、あっという間に出来上がるサンドイッチを再現した。京都でなら、しぐれ煮が売っているというお店を把握出来ているのだが、東京の行きつけのスーパーではなかなか見つけられず、故に地域によっては再現性が低いレシピかもしれない。

しぐれ煮の味にもお好みがあるだろうけれど、バターの風味とセリの香りが美味しさを高めてくれるので、どこぞの名店のものでなくとも大丈夫。甘辛く炊かれたお肉とサンドイッチ、想像以上にあうのでお試しあれ。

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いつも食事中はワインを飲むのだが、このサンドイッチをつまみながら日本酒を飲む時間はきっと楽しいに違いない。

夜のスーパーで買い物かご一杯に菓子パンを買っているサラリーマンの姿を見かけて、これがこの人の食を支えているのかと驚かされたことがある。それは見知らぬ人だからそう感じられるのであって、これがもしも菓子パン大好物な歌人穂村弘さんであれば、あぁほむほむ(穂村さんの愛称)だから仕方ない、逆に愛おしいとさえ思えるかもしれない。その人のことを知っているかそうでないか、あるいは好きなのか嫌いなのかで、ものごとの捉え方は随分変わる。好きな人が好きだというものには自分の点数も高くなりがち。

<ごはん日記>