300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

39冊目『おうちで食べようクイック麺』から5回めは北京的鴨南蛮そば

[39-5]『ウー・ウェンさんのおうちで食べようクイック麺』より5回め北京的鴨南蛮そば(p.68~)

ウー・ウェン著、 株)講談社発行、 アートディレクション 昭原修三、デザイン 酒井由加里、撮影 今清水隆宏、スタイリスト 久保原恵理、編集 松原京子、 2007年5月21日初版発行、2008年6月10日 第2刷発行

霧のような雨が降ったり止んだりで、肌に潤いを与えてもらった水曜は身体にも贅沢を。

調理時間:30分ほど(鴨をマリネする時間を含み)

主な材料:そば(乾麺)、薄切り合鴨肉、斜め薄切り長ネギ、はちみつ、めんつゆ、黒胡椒など

調理の流れ:鴨肉は水気を拭き取り、はちみつを絡めてしばらく置き、出てきた水気を拭き取る。油を熱したフライパンで余分な脂を拭きながら合鴨肉が色づくまで焼く。途中でネギを加え炒める。そばを茹でて水気を切って器に盛る。めんつゆと水を別鍋で熱し、器に注ぎ、肉とネギを飾る。

出来上がった料理:「そば」の章より、これからの季節にぐんぐん美味しくなる(合)鴨肉を使った温麺を再現した。

はちみつに漬けることでコクと甘みを増して、焦げ色もつきやすくするのは北京ダック風だとか。ウー・ウェンさんのレシピに従うと余分な脂は取り除くのだが、スープ用の合鴨の皮のストックがあったので、盛大に合鴨の脂に浸しながら肉に火を入れる。合鴨については不明だが、鴨肉の脂は不飽和脂肪酸が豊富で美容や健康に良いし、何より美味しく大好物なのでここはレシピに敢えて逆らわせていただく(笑)。

ゆずの季節なら一欠片の皮を添えたいが、山椒で香りづけをするとより上質に。(今回は原了郭さんの粉末ゆず辛を使用)この鴨南蛮そばがさっと食卓に出せるなら、喜ばれるだろうなぁ。市販のめんつゆを使っても補えるほどにコクがあって、最後の一滴まで飲み干したくなるたまの贅沢に美味しいお味。

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東京の台所にあるのはほぼ日本人の作家さんの器だが、韓国の白磁は薄手なのに扱いやすくてよく使わせてもらっている。今回おそばを盛ったのは日本に移住された崔在皓さんのもの。立ち上がりの線に一目惚れ。

 

きっかけは音楽友達とのSNSのやり取り。太ったから1週間はダイエット強化期間とすると宣言され、身体を鍛えるならこんなのはどう?という勧めに早速に飛びついたので、提案者の責任もありわたしもトライアルを申し込んだ。人生3回目のジム入会(案件)は大雑把にまとめるとNY発信で暗闇の中、大音量で音楽を聴きながら、自転車を漕ぐというもの。10年間の体育会系部活経験に基づき、体力にはある程度の自信があったものの、周りのスレンダーな女性たちが満面の笑みを浮かべながら身体を動かしているのに気持ちだけは負けまいと汗だくになりながら45分のクラスを終える。音楽のリズムに乗りながら身体を動かすのは楽しいが、途中で腕の上げ下げが辛くなったのが無性に悔しい!という体育会系負けず嫌いな感想に尽きる(笑)

<ごはん日記>

 

39冊目『おうちで食べようクイック麺』から4回めはカリカリ豚肉とトマトののっけ麺

[39-4]『ウー・ウェンさんのおうちで食べようクイック麺』より4回めカリカリ豚肉とトマトののっけ麺(p.16~)

ウー・ウェン著、 株)講談社発行、 アートディレクション 昭原修三、デザイン 酒井由加里、撮影 今清水隆宏、スタイリスト 久保原恵理、編集 松原京子、 2007年5月21日初版発行、2008年6月10日 第2刷発行

日中は少し気温も上がりまだ九月も上旬だということに気がつかせてくれる火曜は中華麺を使った料理を。

調理時間:10分以内

主な材料:中華生麺(細麺)、豚ばら薄切り肉、輪切りトマト、千切り青じそ、豆板醤、ごま油、醤油、酢など

調理の流れ:豚ばら肉は食べやすい長さに切り、フライパンでカリカリになるまで焼く。野菜を切り、タレの調味料を混ぜ合わせておく。茹でた中華麺はしっかりと水気をきって器に盛り、トマト、豚肉をのせ上からタレをかける。

出来上がった料理:「中華麺」より、生のトマトがツヤっとしている季節に食べたいピリ辛のっけ麺を再現した。

豚肉をカリカリになるまでじっくりと焼いている間に、野菜を切り、調味料を合わせ、麺を茹でられる。至極簡単なのに、一口、二口とすすっていくうちに豆板醤、醤油の発酵調味料の深みがじんわりと口の中に広まっていく。やんわりぬるくなったトマトが柔らかくなり、果汁が麺にあわさると程よい酸味と甘さが増して、いくらでも食べられそうな危うさを孕む(笑)。青じそのさっぱりとした香りと風味もいいんだなぁ。これは飲んだ後の〆として出せば絶賛されそう。味のバランスが取れていて、とっても美味しいから。

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これまで数品再現してきて気がついたが、レシピに指定されている分量で作るとタレの量が麺に対して少なくなる。本書が発刊された頃(10年前)と今では中華生麺の量が変わっている可能性があるな。

 

"So What"(2008年)あたりから好きだったが、ニューシングル"What about Us"も怒りや哀しみのP!nkらしい表現が良くて10月のアルバム発売が待ち遠しい。欧米での人気に比べると日本ではまだまだなのが勿体ないアーティストで、動画を見るたびにあの尖ってる髪型を真似したくなるほどわたしは好き(笑)

今、(特に)アメリカがいかに混乱しているのかをうかがい知れる小説が書店に並び始めているが、優れた音楽はさあっと世界に広がり、繰り返し聴かれる。

"What about us? What about all the times you said you had the answers? / So what about us? What about all the broken happy ever afters? / What about us? What about all the plans that ended in disasters? / What about love? What about trust? What about us?"

 


P!nk - What About Us (Official Video)

<ごはん日記>

 

 

39冊目『おうちで食べようクイック麺』から3回めはしょうがたっぷり煮込みうどん

[39-3]『ウー・ウェンさんのおうちで食べようクイック麺』よりX回めしょうがたっぷり煮込みうどん(p.80~)

ウー・ウェン著、 株)講談社発行、 アートディレクション 昭原修三、デザイン 酒井由加里、撮影 今清水隆宏、スタイリスト 久保原恵理、編集 松原京子、 2007年5月21日初版発行、2008年6月10日 第2刷発行

めっきり涼しくなってしまった月曜はシンプルな具材で煮込みうどんを。

調理時間:30分以内

主な材料:白菜、豚ばら薄切り肉、うどん(乾麺)、しょうが、酒、めんつゆなど

調理の流れ:白菜は2cm幅に、しょうがは薄切り、豚肉は食べやすい長さに切る。うどんは外装に記されている時間より早めに茹でて水気を切る。土鍋の淵に白菜を並べ、うどんを入れた後に白菜の上に豚肉、生姜の順に重ねていく。酒と水を入れてしばらくくつくつと煮て、めんつゆを加え汁気が無くなるまで気長に煮詰める。

出来上がった料理:「うどん」より、かなりの量の白菜を使うものの、食べ終わった後は生姜が主役と感じさせる煮込みうどんを再現した。

びりびり刺激を感じる辛味や一口食べてガツンとくるおいしさがあるわけではなく、地味な外見とお味ではあるが、食べ終わった後にふわぁっと幸せに包み込まれるおうどんだ。調理をし始める前に、干ししいたけや使いかけのキノコ類を入れたくてたまらなくなったが、まずは必要最低限の食材であるレシピの通りで試した。途中でごま油や一味唐辛子を足して変化をつけることをも楽しめるのは基礎のお味がしっかりしているから。

ふつふつ煮込んで旨味をじんわり吸い込んだおうどんは口当たりも良くご年配の方にも喜ばれるだろう。普段の食卓に似合うのってこういう素朴なお味。

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煮込むことに耐えうるコシの強さをもつ大好物な長崎の五島うどんを使用した。

 

雨がふりかけている早朝に散歩をしていたら傘をさしてジョギングされている人生の先輩(女性)と行き違った。足元が滑りやすいのに、片手に傘を持ちながら走るのは危なそうだとヒヤリとする。夜は芸で身を立てる女性のしっかりとした走りっぷりに行会い、こんなにスレンダーなのに舞台に立つ上では体力維持のためにも走らなきゃならないのねと感心させられる。以前はマイメロディのようなピンクのウサギの被り物をしながら走っている女性も見かけたっけ。東京はいろんな人がよくも悪くも自由に生きているなぁ。

<ごはん日記>

39冊目『おうちで食べようクイック麺』から2回めは四川の担々麺

[39-2]『ウー・ウェンさんのおうちで食べようクイック麺』より2回めは四川の担々麺(p.22~)

ウー・ウェン著、 株)講談社発行、 アートディレクション 昭原修三、デザイン 酒井由加里、撮影 今清水隆宏、スタイリスト 久保原恵理、編集 松原京子、 2007年5月21日初版発行、2008年6月10日 第2刷発行

朝の空が水彩画のように透明な青で、空を見ながらずっと歩きたくなった金曜はピリリと辛い温麺を。

調理時間:10分以内

主な材料:中華生麺(細麺)、豚ひき肉、小口切り万能ネギ、花椒(粉ではなく実)、一味唐辛子、酒、醤油、すり白ごまなど。

調理の流れ:花椒はから炒りした後、すりつぶす。サラダ油を熱したフライパンで豚ひき肉をしっかり炒めたら、ねぎを加えて火を止め、別皿に取り出す。フライパンにサラダ油と一味唐辛子を入れて香りが立つまで熱し、液体調味料を加え一煮立ちさせた後、火を止めてすり白ごまと花椒を加え混ぜる。茹でてしっかり水気をきった麺にタレを絡める。 

出来上がった料理:「中華麺」の章より、汁ありではなく汁なしが本式だという四川坦々麺を再現した。

材料、作り方共にとてもシンプルで、すりゴマで甘みはほのかにあるものの、花椒と唐辛子のすっきりした香りとシャープな辛みを味わえる。ガラスープの素などを使わない分、豚肉の脂から出る旨味やスパイスの味を楽しめるんだろうなぁ。あまり食欲がなかった筈なのに、胃が刺激されて、完食したばかりか、お代わりまで作りかけてしまったおいしさ(笑)

花椒をから炒りするのが面倒だと感じられるかもしれないが、小さめのフライパンの中で実をしゃらしゃらと鳴らしながら火を入れていくと、ほのかに甘い香りが漂ってきてほんわりとした気持ちになれるので、一度試してみてほしい。

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ここ数年スパイスをすりつぶすのに使っているのは備前焼の一陽窯さんのもの。手のひらにすっぽり収まるサイズにも関わらず、かなり固い粒黒胡椒でもゴリゴリ挽けるし手入れも楽なので手放せない。

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写真やスタイリングが素敵だとか、気になるレシピが数個あれば買っていた料理本だが、ここ数週間は欲しくなるものに出会えず。こんなふうに物欲が湧いてこない時期は部屋には溜め込んだレシピ本を整理し、眺め返しあれこれ想像して静かに過ごす。

今年も九月がやってきた。あと4ヶ月しかないと捉えるか、まだ4ヶ月あると踏ん張るか。この週末は大型台風もやってくるらしいので、お天気には注意しつつそれぞれの時間がうまく回りますように。be happy!

<ごはん日記>

39冊目『おうちで食べようクイック麺』から初回はささ身と青梗菜のあえそうめん

[39-1]『ウー・ウェンさんのおうちで食べようクイック麺』より初回はささ身と青梗菜のあえそうめん(p.58~)

ウー・ウェン著、 株)講談社発行、 アートディレクション 昭原修三、デザイン 酒井由加里、撮影 今清水隆宏、スタイリスト 久保原恵理、編集 松原京子、 2007年5月21日初版発行、2008年6月10日 第2刷発行

他の候補と直前まで悩んだが、ウー・ウェンさんの麺料理の本を取り上げることに。外は長袖が丁度良い気温だが室内は熱気がこもる木曜は冷たい麺を。

調理時間:15分以内 

主な材料:そうめん、青梗菜、鶏ささ身、こしょう、酒、ごま油、粒マスタード、めんつゆなど

調理の流れ:青梗菜は食べやすい大きさに切り、湯通し後は水気を切っておく。ささ身は水、酒、こしょうで蒸し煮にし、粗熱をとりほぐしておく。調味料を合わせてタレを作る。茹でたそうめんは水洗い後、水気を切り、ごま油をまわしかける。器にそうめんを盛り、具をのせタレを回しかける。(*レシピとは異なるが、粗熱が取れたらささ身はタレに漬けておいた)

出来上がった料理:冒頭で書いたように、本日昼過ぎまでは別の本を取り上げようとしていたのだが、本棚からひょっこり本書出てきたので『あえ麺100』に引き続き、麺を主題とする。本書では中華麺、ビーフン、パスタ、そうめん、そば、うどんと6種類の麺で作る料理が掲載されているが、まずはそうめん料理から。

北京料理の先生らしく、冷水で締め、水気を切った後にごま油を加え混ぜ、団子状になることを防ぎ、ほのかなゴマの香りをまとわせる工夫が施されている。具材は、高栄養、低カロリーで高タンパク質のささ身に、ビタミンA,Cが豊富でミネラル分を多く含む青梗菜なので、疲れているときは、この一皿で大丈夫。しっとり仕上がったささ身の美味しさと、茹でてもパッきっとした食感に、めんつゆをベースに混ぜた粒マスタードのプチプチした歯ざわりと酸味が爽やかで、苦手なアレンジそうめん料理でもつるつると食べられた。

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最終回で改めて記す予定だが、料理本の企画ありきでレシピを作ったのではなく、ウー・ウェンさんが普段召し上がられている麺料理をレシピに起こされたものが多そうなので(推測)、安定感があるのだろう。

 

お昼を食べに行き、料理を待っている間にお客さんとレジ担当者が揉めている声が聞こえてきた。耳をすませなくとも聞こえてくるやり取りを通じて思い出したレジ会計について記す。

少なくとも東京のコンビニでは当然のやり方と化してきたが、商品代金を一万円札で支払い、五千円札と千円札数枚のお釣りがあるとする。お釣りを渡す際、レジ担当者は千円札を下にして一番上に五千円札を置いてお客様にお渡しするように指導されている(筈)。世知辛い話だが、従来のように五千円札を下にすると、手早く隠され、もらっていないとクレームをつけられることがあるからだ。そんなことそれなりの頻度で起こっているのだろうか?と懐疑的だったが、本日、500円玉に酷似した硬貨で支払おうとした人を目の当たりにして、初めて納得できた。好むと好まざるに関わらず、今後日本全国に広まっていく動きなのだろうなぁ。

<ごはん日記>