300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

46冊目『staub 「ごはんココット」レシピ』から6回めは鶏肉とオリーブと黒米の炊き込みごはん

[46-6]『staub 「ごはんココット」レシピ』より6回めは鶏肉とオリーブと黒米の炊き込みごはん(p.37&39)

若山曜子著、 株)河出書房新社発行、 デザイン福間優子、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、 2016年10月30日初版発行 

11月が終わる日は、野菜たっぷりの炊き込みごはんを。

調理時間:30分ほど(浸水時間は除き)

主な材料:米、黒米、一口大に切り下味をつけた鳥もも肉、小房に分けたブロッコリー、みじん切りにしたニンニク、たたいたアンチョビ、粗みじん切りにしたドライトマト、オリーブ、白ワインなど

調理の流れ:白米と黒米は合わせて研ぐ。ココットにオリーブ油、ニンニクを入れ香りが出るまで加熱したらアンチョビを加えさっと火を入れる。皮目を下にして鶏肉を入れ表面の色が変わったらいったん取り出す。白ワインを注ぎ、こそげついた野菜や肉の旨みを木べらで落としながら沸騰させる。米、ドライトマト、水と調味料を入れてさっと混ぜてから鶏肉、ブロッコリー、オリーブをのせて炊く。

出来上がった料理:「第2章 ごちそう炊き込みごはん、ワンポットパスタ」から大人の香りが漂う洋風炊き込みごはんを再現した。

ココットの蓋を開けた途端にもわぁっと立ち上る鶏肉とオリーブの香りが食欲をそそる。ごはんの上にのせた具材をざっくりとしゃもじで混ぜ合わせてお椀によそうと、黒米で染まった薄紫の白米が色っぽくて、香りからも外見からもおおいに期待させる炊き込みごはん。

鳥もも肉からでた美味しい脂と、オリーブ特有の苦味と香り、ブロッコリーの青々しさを吸い込んだごはんがそれはそれは美味しくて、このレシピを得られただけで本書に注いだお金の元は取れたとおもわせるくらい(世知辛くて申し訳ない(笑))。いつもは指定分量の半量を再現するのだが、今回は2/3量を作ったためかココットSサイズにあふれんばかりに出来上がった。あればあるだけ手が出て危険なまでのおいしさ。もちろん白ワインにぴったり。

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日本のお米は、こうした洋風のレシピも難なく包み込むだけの実力があって素晴らしいなぁ。糖質制限なんて言ってる人もこの季節の日本の新米は食べるべきだと私は思う。

 

まだこの話かと思われるかもしれないが、これで最後なのでお付き合いいただければ。Hi-standardの城ホール二日めのアンコール。ステージ袖より難波さんに手を引かれて出てきたのは神戸のライブハウス太陽と虎の経営者・松原さん。昨年春に腎臓がんステージ4であることが判明し、闘病生活を続けていらっしゃるのだが、医師からの許可を得て、こよなく愛するハイスタのライブを観に来られていたのだ。松原さんにとって特別な曲"Another Starting Line"を演奏しながら、涙で途中から歌えなくなる難波さん(vo.)、フォローする健さん(gt.)と、客席からの松原さんとハイスタを応援する歌声がホールに響き渡り、涙を堪えていたら隣席の友人は両目からポロポロと涙をこぼしていた。

京都に住んでいた頃は太陽と虎までライブを観に行ったものだが、たまたま対バンで出ていたのがTHE 冠。洋楽メタルは聴くが、邦楽のライブは数回参戦したのみで、どうなるかと思いきや、演奏はやはり上手いし、演出でも楽しませてくれる。彼らが出演する佐渡島のPVがこれ。友人が佐渡島に赴任して数年。来春には遊びに行く約束をしているので、映像を見ながら予習中。


メタルの聖地佐渡金山でヘヴィなメタルバンド発掘!?【SADO METAL】佐渡島観光PRムービー full ver.

<ごはん日記>

46冊目『staub 「ごはんココット」レシピ』から5回めは栗とパルミジャーノごはん

[46-5]『staub 「ごはんココット」レシピ』より5回めは栗とパルミジャーノごはん(p.44&46)

若山曜子著、 株)河出書房新社発行、 デザイン福間優子、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、 2016年10月30日初版発行 

少しぶりの東京は暖かくて、日中は歩いているだけで汗ばむくらい。そんな水曜は秋の名残で小布施の栗を使ったごはんを。

調理時間:小一時間ほど(生栗の処理時間を含め)

主な材料:米、生の栗、パルミジャーノ、塩、バター

調理の流れ:栗は包丁で鬼皮に切れ目を入れて熱湯で2〜3分茹でる。切れ目に沿って皮を剥き、プチナイフなど小ぶりの包丁で渋皮を剥いたら、変色しやすいためすぐに水に漬ける。鍋にバターを溶かし、栗をさっと炒めてから米を加えて全体にバターをまとわせたら、水と塩を入れ炊飯する。蒸らし終わったらパルミジャーノとお好みで胡椒をふる。

出来上がった料理:「第2章 ごちそう炊き込みごはん、ワンポットパスタ」より旬の栗を使った大人向きの極上炊き込みごはんを再現した。栗の剥き方はレシピ内に記されていないので、自分流の慣れ親しんだやり方で。手間はかかるが、週に一度やることでもないだろうし、毎年秋に1〜2度の季節ならではの行事だと捉えて楽しみながら。

ご飯を蒸らし終わって、ココットの蓋を開けると、バターの豊かな香りがもわもわと立ち上る。黄色い栗の蒸しあがりたての色と香りも追って鼻腔をくすぐるので、これから口にするごはんへの期待がぐぅんと高まる。すぐに食べたいところだが、パルミジャーノをわさっとふりかけると発酵したチーズの香りがどっと湧き出てきて、それだけで白ワインが飲めそう(笑)。乳製品のコクが染み渡ったごはんが栗のホクホクした甘さを引き立てて、食べる速度も飲むペースも自ずと上がっていくこの季節ならではのおいしさ。

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材料が少ない分味のバランスを取るのが難しいのでは?と考えられるかもしれないが、分量通りで作れば失敗なく作れるのでプロを信じて作ってみよう。

 

以下、blogを休んでいる間のこと。状況次第で行けるかどうか、あるいは行っても心から楽しめるのか、開演に間に合うギリギリまで自問自答を繰り返した挙句、Hi-Standard@大阪城ホールに、しかも二日間とも行ってきた。初日は10-feet、二日めはman with a mission(狼さん)との対バンで、10-feetはいつも終盤やアンコールで奏でる”river”から始まった時点で涙しながら40分間飛び跳ねていたし、mwamは一緒に行った音楽友だち(東京よりきたるコアなmwamファン)のテンションに感染し、タナパイ(vo.)の勇姿に見惚れる。両バンド共に素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたし、感動したが、それを遥かに超えるアラフィフの先輩Hi-Standardの凄さったら、ステージに登場しただけで、最初の一音が出るだけで鳥肌がたつほど。3ピースのバンドならではの音がライブハウス並みの大音量で城ホールに響き渡ると、アリーナはダイバーやモッシュの坩堝と化し、スタンドでも隣の男性が感極まって涙を拭っていたり、抱き合って喜んでいる人がいたり、これほどまでに感情を揺さぶる力があるバンドは他にない。諸々ある中、あんな感動とこれほどまでの希望を与えてくれるライブに行くことを選んだ自分は、うん。正しかった。

*Hi-standard---日本のインディーズ・パンクバンド。1991〜2000年までの活動期間中発表されたアルバムは4枚のみだが、インディーズという枠や世代、国境を超えて絶大な人気を誇り、今回の18年ぶり5枚目のアルバム発売ツアーは全国アリーナクラスが即完。


Hi-STANDARD -The Gift(OFFICIAL VIDEO)

 

ファッションに関する物欲はほぼ無くなったけれど、このコラボスニーカーだけはなんとか入手したい。

12/2(Sat) SUPRAx難波章浩 (Hi-STANDARD/NAMBA69) COLLABORATION COLLECTION | SUPRA TOKYO BLOG

<ごはん日記>

46冊目『staub 「ごはんココット」レシピ』から4回めは中華風ひじきごはん

[46-4]『staub 「ごはんココット」レシピ』より4回めは中華風ひじきごはん(p.33&35)

若山曜子著、 株)河出書房新社発行、 デザイン福間優子、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、 2016年10月30日初版発行 

雨降りな勤労感謝の日(木)は、海藻のミネラルたっぷりの炊き込みごはんを。

調理時間:30分ほど(お米の浸水時間を除き)

主な材料:米、水で戻した芽ひじき、スライス干し椎茸、ささがきごぼう、しょうゆ、オイスターソース、酒、ごま油

調理の流れ:全ての材料に水を加え、軽く混ぜてから炊飯する。

出来上がった料理:「第2章 ごちそう炊き込みごはん、ワンポットパスタ」より見た目は地味だが、味わい深い炊き込みごはんを再現した。

ひじきを戻す時間とごぼうをささがきにする手間さえ惜しまなければ、ほとんど包丁を使うことなく出来上がってしまう。人参を入れると華やかになるかしら?と考えてもみたが、このレシピで十二分に滋味深いお味のご飯を作ることが出来る。ごぼうのしゃきッとした食感に土っぽい香り、出汁を吸い込んだ干ししいたけのじんわりしたおいしさや、邪魔をしない程度に香りたつごま油の香りと合間って全体的にとてもバランスが良い炊き込みごはん。おにぎりにもきっと似合う。

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新之助を使うとべとつかずに粒が立ったままで食べられるので、より中華風に仕上げることができる。お米を変えるだけでこれだけ印象まで変えられるなんて面白いなぁ。

 

明日から暫く更新停滞。紅葉の季節の京都は、車での移動時間が読めなくなるのでなかなか辛いものがあるが、滞在中一度は訪れるイノダコーヒーのモーニングも大行列なので諦めるが、あれもこれも観光都市の宿命として受け入れなければ。

<ごはん日記>

46冊目『staub 「ごはんココット」レシピ』から3回めは梅とトマトの炊き込みごはん

[46-3]『staub 「ごはんココット」レシピ』より3回めは梅とトマトの炊き込みごはん(p.29&31)

若山曜子著、 株)河出書房新社発行、 デザイン福間優子、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、 2016年10月30日初版発行 

曇りがちな水曜は赤い色で元気をもらう。

調理時間:25分ほど(浸水時間は除き)

主な材料:白米、ミディトマト(プチトマトでも可)、梅干し、実山椒の佃煮

調理の流れ:鍋に、米、水、ざく切りにしたトマト、梅干しを乗せて炊く。炊き上がったら全体をさっと混ぜ合わせてから蒸らし、最後に山椒を散らす。

出来上がった料理:「第2章 ごちそう炊き込みごはん、ワンポットパスタ」より著者若山さんが食欲のない時の定番として挙げられている爽やかな炊き込みご飯を再現した。

炊き上がり蓋を開けると、トマトの赤い色がパッと目に飛び込んで来てそれだけでふふふと嬉しくなる。そこに梅干しと実山椒が加わると果たしてどんなお味になるのか?実はトマトと実山椒は相性がとてもよく、他のレシピ本にあるトマトの実山椒和えは私の定番料理と化しているくらい。梅干しを足すことで酸味が全体の味を引き締めて、一見洋風に見えるものの、実に和風なお味となる。今まで口にしたことの無いお味。この爽やかさは女性に好まれるかもしれないが、こってりしたお料理を食べた後の〆にも良さそうだ。

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画像ではあまり美味しそうに見えないが、ノンオイルであっさりした、また食べたくなる美味しさを秘めている。

 

イギリス時代から炊飯器を持たない生活をしている。ロンドンではごく普通の蓋つきスチール鍋を、帰国してからは土鍋を愛用してきたが、どちらもお米粒が底にへばりついてしまうことが多くて、米粒一つも余さず食べたいのに諦めることが多かった。このstaubのココットに切り替えてからは、鍋肌にこびりつくことなく綺麗に、そして少量でも美味しく素早く炊けるので、今のところ、これ以外で炊飯しようとは思わない。あまりに新米が美味しく食べられるので、本書の再現を機にいっそのこと、白米用と炊き込みご飯用の2種類を色違いで揃えようかななど企み始めた(笑)

ラジオを着けていると、時間を超えても素晴らしいなぁと感じる曲が流れてきて、当時の思い出と共に"今"がとても愛おしくなる。


Whitney Houston - I Will Always Love You (World Music Awards 1994 HQ)

<ごはん日記>

 

 

 

46冊目『staub 「ごはんココット」レシピ』から2回めはしらすとルッコラの混ぜごはん

[46-2]『staub 「ごはんココット」レシピ』より2回めはしらすとルッコラの混ぜごはん(p.15&17)

若山曜子著、 株)河出書房新社発行、 デザイン福間優子、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、 2016年10月30日初版発行

日が暮れてから急にティッシュが必需品となった火曜はサラダ感覚のごはんを。

調理時間:30分ほど(お米の浸水時間は除き)

主な材料:炊いたごはん、しらす、ルッコラ、オリーブ油、ごま

調理の流れ:食べやすい長さに切ったルッコラ、しらす、油を混ぜ合わせ、ごはんにさっくり混ぜ合わせる。好みでゴマを振りかける(黒でも白でも)

出来上がった料理:「第1章 簡単混ぜごはん、リゾット、おかゆ」より気軽に作れる混ぜごはんを再現した。

炊きたてか冷えたもの指定はなかったので、今回は炊きたてごはんの上にルッコラなどをのせて混ぜ合わせた。熱いごはんの上に緑の葉っぱをふんわり被せると、ルッコラ特有のゴマのような香りがもあもあと立ち上る。先ずこのさっぱりとした香りが女性に受けそうだが、混ぜていくうちにオリーブ油のグリーンな果実らしい濃厚な香りが勝ってきて、生のルッコラの苦みをほんのりと和らげてくれたりもする。味付けはしらすのもつ塩っけのみととてもシンプルなので、お米の甘みを十分に味わえる。冷めたごはんならライスサラダ感覚で楽しめそう。ポイントはルッコラとオイルの量をケチらないこと。

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一人分のご飯を炊くときは1/2合にしている。土鍋だと美味しく炊くのが難しい量だが、このごはんココットに替えてからは、少量でも焦げ付かずにとても美味に仕上げることが出来るようになった。ごはん好きの親しい人にお誕生日プレゼントとして使うくらいにお気に入り。

 

さて、白米にはいろいろな銘柄がある。ゆめぴりか(北海道)、ササニシキ(宮城)、ひとめぼれ(岩手)、つや姫(山形)、こしひかり(新潟)、にこまる(高知)、森のくまさん(熊本)などが東京では有名で人気がある。それぞれに甘みが強い、しっかりした食感、どんな用途にも使えるなどの特徴があり、買ったり、お店で食す際は味の好みで選ぶことが多いだろうが、生まれ故郷のものだからという理由も意外に多い。理由なぞいらない。お米はやっぱり新潟のこしひかり!という声も強くて、ずば抜けて高価だが根強い人気を誇っている。

新米の季節、店頭にずらっと並んだお米の袋を見て回ると新顔が増えてきたことに気がつく。青天の霹靂(青森)、みずかがみ(滋賀)など、この季節のお米が一番美味しいのに何を買って良いものか判断に迷うくらいの銘柄の数だ。

本書の再現には、新潟が満をじして送り出した「新之助」を、有り難くも頂戴したので使わせていただいている。お米の粒が大きくて、しっかりした食感で、甘みと香りも強くて、食べ過ぎてしまうほどに本当に美味しい。お米は精米したてが一番新鮮なので、2kgなら品質が落ちないうちに食べ切ってしまえるほど食欲に火をつけた危険なお米(笑)。

<ごはん日記>