300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

49冊目『このひと皿でパーフェクト、パワーサラダ』から5回めは厚揚げと揚げ卵のサラダ

[49-5]『このひと皿でパーフェクト、パワーサラダ』より5回めは厚揚げと揚げ卵のサラダ(p.76~)

坂田阿希子著、 学)文化出版局発行、 デザイン 湯浅哲也、撮影 邑口京一郎、スタイリング 久保原恵理、 編集 松原京子、浅井香織、2017年6月5日初版発行 

雪が積もっているときのほうが、寒くない。つまり、寒い!水曜は日常に戻り、野菜不足を補う。

調理時間:20分ほど 

主な材料:程よい厚さに切ったバナナ、食べやすい大きさに切った厚揚げ、卵、葉と茎を分けた春菊、ざく切りにした香菜、くし切りにしたトマト、斜め薄切りにしたきゅうり、ローストピーナッツ [ドレッシング] みじん切りにしたニンニク、小口切にした赤唐辛子、はちみつ、砂糖、レモン果汁、ナンプラーなど

調理の流れ:春菊は葉の部分は食べやすい長さに、茎の部分は小口切にする。ドレッシングの材料を混ぜ合わせる。鍋に浅く揚げ油を熱し、以下の順で揚げていく。①バナナが色づくまで。②卵を入れ全体が白っぽくなり縁が色づくまで。③厚揚げがカリッとするまで。ボウルに野菜と厚揚げを入れドレッシングを加えさっと和えたのちにバナナを入れる。器に盛りつけたあと、卵とピーナッツをのせる。

出来上がった料理:本書の中では1、2を争うほど入手しやすい材料で、手間もかけずに作れるアジア風サラダを再現した。

ドレッシング作りの際、はちみつの代わりに糖度の高いアガベシロップを入れたので、お砂糖は要らないかも?と味見をしたが、味がぼんやりとしていたので、砂糖少々を入れ、かき混ぜたところ、味に重みが出てアジアらしさがぐんと高まったので、皆さん、はちみつ、メープルシロップなどお好みの調味料を使われるとしても、お砂糖は必須。

揚げたバナナのてろんとした柔らかさ、甘さに加えてほんのり漂う南国の香り、厚揚げの食感に、香り高い緑野菜を甘辛いドレッシングと共に味わうと、ふっふっふと知らずと笑みがこぼれる美味しさ。サラダにバナナ?となりがちな男性よりも、女性受けするお味かも。この一皿で一食〜二食分くらいこころも身体も満足できるサラダなので、まずはひとりランチやひとりご飯の時にお試しあれ。

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 揚げた卵の黄身をどのタイミングで崩し、何と取り合わせて食べるのか、悩むのもこれまた楽し。 

 

家の前の道路はカラッと乾いていて、雪なんて降りましたっけ?と他人行儀だが、日陰で、管理人不在の集合住宅前やコインパーキングの前は、パリンパリンに凍てついているため、安全そうな道を選びながら、ペンギン歩きをするため目的地に着くまで通常の1.5倍ほどの時間がかかる。

毎年1〜3月は月に一度北海道に旅していた頃も、通い尽くしたSTV近くのラーメン屋さんに行くために、狸小路の宿からの徒歩攻略ルートを考えあぐねたっけ。あの頃も今も派手にすってんころりんするのは得意だけれど、一度肋骨を折ってからはひどく慎重になってしまった。ともかく今は怪我をしている場合じゃない。

<ごはん日記>

番外編:ワインが進むアヒージョのススメ

[番外編] 鱈の白子と白ネギのアヒージョ

月曜の昼過ぎより降り始めた雪により4年ぶりにまとまった量が積もり、買い物に出るのも億劫な天候の日にオススメのアヒージョを紹介する。 

調理時間:10分以内 

二人分の材料:鱈の白子 100g位、白ネギ 2本 、ニンニク 3かけ、アンチョビペースト 固形の1.5尾分くらい、オリーブオイル(ネギがひたひたになるくらい)、塩、胡椒

調理の流れ:①白ネギは3cmの長さに切り、ニンニクは潰す。白子は冷水でさっと洗い、厚手のキッチンペーパーに包み、水気を切る。②直火にかけても大丈夫な耐熱皿か小鍋にオイル、ニンニクを入れ火にかけて香りが立ったら、アンチョビペーストを入れて、溶き混ぜる。③ネギを縦に入れ、弱火でじっくり煮て、ほんのり焼き色がつきだしたら白子を加え、ぷっくり膨れてくるまでさらに弱火で加熱する。白子の上までオイルが浸からない場合は、スプーンなどで時々オイルを回しかける。④塩、胡椒で味を整える。

出来上がった料理:買い物に出るのが億劫と書いておきながら、白子を使うなんて!と突っ込まれそうだが、駅直結でスーパーがあるので、ワイン、食パン、白子くらい雪道を歩いたご褒美に買っても良いかなぁと自分を甘やかした。

アヒージョはタコや、エビ、牡蠣、釜揚げシラスなど海鮮類が入ると断然美味しくなるが、白ネギだけでもガーリックオイルで煮た甘みと、とろんとした食感が病みつきになる美味しさなので、疲れ果てて帰宅した時にオススメのレシピ。そのままでも十分だが、バケットの上にオイルごと乗せながら食べるのもワインにはよく似合って、食材の旨味が染み渡ったオイルをわしわし味わいたいところだが、このオイル、トマトソースを作る際や、炒め物に使うと味がいつもより2ランクくらいアップするくらい優秀に使えるので、ほんの少しだけ我慢すること。

(写真がうまく取れなかったので、次回作った際に補足する。→20190130に画像アップ)

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2年前も積雪はしたが、ここまでまとまって積もるのは4年ぶり。5時ごろから起きて、朝一番のジムの予約状況をチェックするが、40数席のうちほぼキャンセルは出ず、すごいなぁと感心しながら早朝散歩に出かけ、そのまま2クラスめに出るためジムへと向かう。

昨日は昼過ぎより降り始めたため、お勤め先によっては早めに帰社出来たところもあるようだが、問題は交通機関。ハブである渋谷、品川、蒲田では16時頃より駅への入場規制が引かれ、帰宅しようにも駅に入れないし、だから電車、バス・タクシーにも乗れない状態。規制が解除されるまで、(飲むと足元が不安というから)ジムで体を動かすことにした人も少なからず居たよう。こんな天候なのに21時過ぎまでジムの予約枠がそこそこ埋まってるのには想像もつかなかった理由があった。

20cmくらいの積雪量は、雪が降る地域の人にとって取るに足らないものかもしれないが、雪がたまにしか降らない東京では災害レベル。乗り捨てられた車が路上に点在していたり、歩道では転んだ人の巻き添えをくらったり、ともかく狭いエリアに雪にあまり慣れていない人が密集しているので危険度はいやがうえでも上がる。暮らしている土地によって、事情は異なるので、自分の知識、尺度だけで(実際に触れていない、よく知らない)物事を図ろうとするのは危ういことだなぁと自分を戒める。

ここ東京でしばらく暮らしていると、これが日本の標準だとうっかりと錯覚を起こしそうになるんだけど、違うんだよね。


Marvin Gaye What's Going On Live 1972

<ごはん日記>

 

49冊目『このひと皿でパーフェクト、パワーサラダ』から4回めは具だくさんのポテトサラダ

[49-4]『このひと皿でパーフェクト、パワーサラダ』より4回めは具だくさんのポテトサラダ(p.48~)

坂田阿希子著、 学)文化出版局発行、 デザイン 湯浅哲也、撮影 邑口京一郎、スタイリング 久保原恵理、 編集 松原京子、浅井香織、2017年6月5日初版発行 

久しぶりに長い距離を歩いていると汗ばむほどの陽気な東京の金曜日は、新しい感覚のポテトサラダを再現。

調理時間:小一時間 

主な材料:じゃがいも、塩・胡椒、薄切りにした紫玉ねぎ(紫が無ければ普通のもので)、マヨネーズ、切り分けたパンチェッタ、塩茹でして食べやすい長さに切った菜の花、薄切りにしたセロリ、乱切りにしたゆで卵、角切りにしたリンゴ、角切りにしたグリュイエールチーズ、赤ワインビネガー、オリーブオイル、ローストしたかぼちゃの種とひまわりの種など

調理の流れ:ジャガイモは皮付きのまま茹でるか蒸して火を通す。その間にパンチェッタを炒め、出た脂を拭き取ったり、野菜、卵やチーズの下準備を行う。ジャガイモが柔らかくなったら手早く皮を剥き、ボウルの中で潰し、紫玉ねぎ、塩コショウをふり混ぜる。粗熱が取れたらマヨネーズを加えまぜる。ジャガイモの粗熱をとっている間に、もう一つのボウルに菜の花、セロリ、卵、チーズを入れドレッシングの材料を加え混ぜて、器に盛り付け、かぼちゃとひまわりの種の8割ほどをパラパラと散らす。その上にポテトを乗せ残りの種と胡椒をふる。

出来上がった料理:ポテトサラダがとっても好きなので、これまで色々なレシピを試してきたが、2層になったものは初めてで、どんな味に仕上がったのかワクワクしながら食す。

菜の花のほんのりとした苦味と色味、パンチェッタの濃厚な香りと旨味、居るのか居ないのかわかりにくいけれど、やっぱり欠かせないゆで卵の存在に、マヨネーズ風味は控えめな味付けのマッシュポテトを合わせた、とても大人な、さりげない色気の漂うサラダになっている。

ローストしたひまわりやかぼちゃの種がとても香ばしくて、パリッとした食感に先ず口が喜ぶ。通常の倍ほどの具材を混ぜ合わせ、別添えにしたポテトサラダは、混ぜ合わせるほどにどの食材が口に入るのか、食べてみるまでわからない面白さがあり、お!りんごの甘みも美味しい!いや、このグリュイエールチーズのコクもとても良いなぁと一口ごとに印象が変わる。

マッシュポテトに加えるマヨネーズの量が控えめ、水分が出る野菜は別添えなので翌日にも水っぽくならず、作り置きしても味がさほど劣化しないので、おもてなし料理にも使えるし、休日のゆっくりご飯に出すと喜んでもらえること請け合いのサラダ。

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このポテトサラダの完成度たるや、只者ではないので、マニアな方も、マニアでは無いけれど、ポテトサラダの存在は気になる方には猛烈にオススメしたいレシピ。

 

インフルエンザの館と化したクライアント先で出張料理をした数日後に体調を崩したので、すわ人生初のインフルエンザかと懸念していたが、昨日鼻血が出そうなまでに仕事を頑張った後は一気に回復。元気でいられることがあまりに嬉しくて、仕事を済ませた後に渋谷の黄色い魔殿に向かう。当初の目的だったEminemの"REVIVAL"を手にした後、迷宮をさまよい歩いている間にKeshaの"Rainbow"とSteven Wilson mixのXTC "Skylarking"などもお迎えすることに。

熱にうなされながら、在宅中ほぼ流しっぱなしのFMから聞き覚えのあるメロディが流れてきた。まさか?いやでもこれは間違いないだろうと寝床でスマホ経由を操り調べてみると、やはりXTCの "Disappointed"だった。寝たり起きたりを繰り返している時に、たまたま耳に流れ込んだ曲がかつて愛聴していたアーティストのもので、2年前ではあるが発売30周年を記念してremix盤が出ていたことを知れるなんて、すごいなぁと巡り合わせの妙に驚く。

同じように夢うつつで深夜ふと目覚めた折にFMから流れた曲の、あまりの力強さにこころが打たれたのが、Keshaの"PRAYING"。長年パートナーだったDr.Lukeからの性的なものを含めた虐待に対して訴訟を起こした後、活動休止を余儀なくされた彼女の4年ぶりの復帰アルバムで発することばの重さに打たれる。


Kesha - Praying (Official Video)

人生うまくいくとき、そうでないときは、結局のところタイミングによるのかもしれなし、今に至るまでの様々な経緯をさかのぼって、自分の視点でしか判断出来ないのだとしても、行動有りきのものだから、傷つくのを恐るよりも、例え傷ついてでも得たいものを選ぼうとする生き様は尊いと思う。後書きが長くなったが、みなさましあわせな休日を。

<ごはん日記>

23年め

風邪っぴきで、更新が滞っているが、本日はあの震災より23年。風化させてはいけない思いとともに、ライヴで欠かさずにやってくれるこの歌を。

あの日は満月だったけれど、今日は新月。

 

時を超え国境線から 幾千里のがれきの町に立つ

この胸の振り子は鳴らす “今”を刻むため 〜”満月の夕”〜

 


満月の夕(07)

49冊目『このひと皿でパーフェクト、パワーサラダ』から3回めはボイルドビーフとせん切り野菜のサラダ

[49-3]『このひと皿でパーフェクト、パワーサラダ』より3回めはボイルドビーフとせん切り野菜のサラダ(p.36~)

坂田阿希子著、 学)文化出版局発行、 デザイン 湯浅哲也、撮影 邑口京一郎、スタイリング 久保原恵理、 編集 松原京子、浅井香織、2017年6月5日初版発行 

早朝の冷え込みが厳しくて、夕方は街行く人影もまばらな金曜はせっせと包丁を動かすサラダを。

調理時間:2時間ほど(牛すじ肉を茹でる時間を含め) 

主な材料:牛スネ肉(ブロック)、青ネギの青い部分、生姜、じゃがいも、千切りにしたセロリ、細切りにしたセロリの葉、薄切りにした紫玉ねぎ、輪切りにしたキンカン、ローストした松の実 [ドレッシング] すりおろしニンニク、酢、ごま油、塩、胡椒、醤油など

調理の流れ:鍋に肉、青ネギ、薄切りにした生姜、塩少々と水をひたひたになるまで注ぎ、一時間茹でる。一時間経ったらそのままの状態で肉を冷ます。じゃがいもは皮をむき、スライサーで薄く切ってから、包丁で千切りにする。水に晒し、熱湯でさっと茹でた後、冷水でぬめりをとる。牛肉が冷めたら手で食べやすい大きさにほぐし、じゃがいも、セロリ、紫玉ねぎ、キンカン、ニンニクと共にボウルに入れる。調味料を加え、手でよく和え、器にもり、セロリの葉、松の実を散らせる。

出来上がった料理:時間はかかるもののすじ肉は火にかけておくだけだが、野菜を千切りにする手間がかかるので敬遠されがちなのもわかるが、さっと火を通したジャガイモのしゃっきりした食感と甘みはなんとも言えず美味しいので、時間のあるときに一度はお試しいただきたいレシピ。

かつてイヴェントのお手伝いで太すぎるとシェフに怒られつつ、ジャガイモの千切りを作ったほろ苦い思い出も、今では笑えるエピソード。

キンカンの橙色と、紫玉ねぎ、セロリの青みがジャガイモのうっすら透き通った白に映えて、見目麗しい。一口食べるとスネ肉の肉肉しいお味が、噛めば噛むほど美味しくて、それを引き立てるのが千切りにした野菜。ここまで細く千切りしたことはかつてないほどのセロリがお肉特有の臭みを取って、かつ香り高く、玉ねぎとジャガイモの程よいシャリっとした食感も、サラダというよりもそれ以上の一品を食していると感じさせてくれる。松の実の香ばしさもよし。

ドレッシングの味付けもお肉やジャガイモの味を引き立てるなら、ほんのりとしたゴマの香りと塩分を補うくらいがちょうど良い。絶妙のバランス。

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スネ肉は入手しにくいかなぁ。その場合はさっと茹でた細切れ肉を、熱いうちにドレッシングに漬けることで代用できるかも。スネ肉よりも噛みやすいので歯に自信の無い方でも大丈夫。

 

新潟三条市で起きた列車の立ち往生について書きかけたが、ぽっぽやの親戚が居たこともあり感情が走り過ぎるからやめて、地域によって異なることばの使い方について記す。「ごはん」とくればお茶碗に「よそう」という動詞一択だと思い込んでいたが、地域によって異なるようだ。

よそう:東京、千葉、関西 よそる:東京、千葉以外の関東 盛る:北海道、東北 つぐ:中国、四国、九州 

こういう統計を見ると常々記載されていない地域、今回でいえば沖縄、愛知、静岡、長野、石川、新潟などの方が逆に気になる。重箱の隅を突くような見方なのかもしれないけれど、書かれて居ないことの方に興味が湧く。今さっとネットで調べてみたらごはんを愛知・三重ではお茶碗に「つける」というらしい。面白いな。 

もうしばらく寒波が続くようで、雪国の人は本当に大変だろうと想像するが、身体も、できればこころも温まる休日が訪れますように。

<ごはん日記>