6冊目『小林カツ代の料理のコツ』よりハンバーグきのこソース
[6-5]『小林カツ代の料理のコツ』よりハンバーグきのこソース(p.44~)
小林カツ代 著、株)PHPエディターズ・グループ 発行 撮影 添田明也、料理監修・制作 本田明子、中島さなえ 2016年7月5日第1版第1刷発行
肉じゃがの評価が高いが、わたしの中では小林カツ代さんの代表的なレシピはハンバーグ。
ほとんどのレシピで挽き肉等は粘りが出るまでよく練ると記されているので、「粘りが出るほど、ギューギューとこねまわしてはいけません。肉に粘りが出ると、焼き上がりが固くなります」(p.45)と記されているのが今読み返すと新鮮。
美味しくつくる大切なポイントは両面に焼き色がついたらお湯を注ぐこと。ハンバーグをほんとうに美味しく仕上げるのは存外に難しくて、パテが厚い場合は焼き色がついたからと皿の上に取り出してみたら生焼けだった!なんてことも多い。逆に半生を避けるために入念に焼き過ぎてパサパサになってしまう場合もあるが、それらを回避するには蒸し焼きが一番というカツ代先生の提案はもっとも。
材料にナツメグが記されていないのも家庭向きでとてもよい。ナツメグはハンバーグを作るときをおいてはお菓子を焼いたりする人以外にとってほぼ使わないスパイス。わたしも以前は律儀にホールを削って入れていたが、入れなくとも十分に美味しくできる。その他、レシピの指定通りに材料を混ぜ合わせると、若干柔らかめのパテが出来上がるが、焼き上がりはしっとりとほんわりとの間の丁度よい加減で、このレシピは一生使い続けるだろうと思わせる味に仕上がる。
ハンバーグを焼いた後の旨味たっぷりつまった鍋に数種類のキノコと調味料を加え、煮詰めたソースをかけて食べると、肩の力がほわぁっと抜けていくほど美味しい。コーンポタージュを添えようか悩んだが、お味噌汁とご飯にあわせるのが好相性。これ!という味のハンバーグを求めて東京を食べ歩いたこともあるけれど、うちで作ったものがまさにそうだった。青い鳥のような話。
今日明日は地元のお祭り。仕事帰り、屋台の前を通り過ぎると去年のこの時期にこの町に越してきたことが思い出された。大好きな音楽も小説も断って、ひたすら自分を追い込んで過ごしていたあの頃に比べると、少しは許せるようように、ちょこっと距離をおいてものごとを考えられるようになった(ような気がしている)。
<料理日記>