300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

33冊目『食べ方帖』から最終回は豆とパプリカのカレー

[33-7]『食べ方帖』より最終回は豆とパプリカのカレー(p.45~)

長尾智子著、文化出版局発行、 アートディレクション、デザイン 茂木隆行、 撮影 赤尾昌則、鈴木正美、編集 大谷道子、田中薫、 2017年3月26日初版発行

今週もやってきた金曜日。密閉容器で冷蔵保存すると2週間は保つカレーの素を使った料理を。

調理時間:40分ほど(カレーの素が出来ているとして)

主な材料:緑豆、パプリカ、カレーの素、ココナッツパウダー、塩など

調理の流れ:鍋にお湯を沸かし、水洗いした緑豆を茹で、豆はざるにあげ、茹で汁は別容器に取っておく。油をひいたフライパンに小さめの角切りにしたパプリカ、緑豆に塩少々を加えてパプリカが柔らかくなるまで炒められたら緑豆の茹で汁を加えて煮る。カレーの素と水で溶いたココナッツパウダーを加えて、お好みの濃度まで煮る。

出来上がった料理:「4; 毎日の「お助けの素」」より、冷蔵庫にあると安心のカレーの素を使った料理を再現した。

入手しにくい材料その①は緑豆(ムング豆)だが、レンズ豆、ひよこ豆(水煮)やインゲン豆(水煮)でも美味しいだろう。その②がココナッツパウダー(細引き)で、エスニック料理ブームのときはスーパーでもよく見かけたが、最近は製菓材料店や輸入食品店に行かねば購入できない食材になりつつある。同じ味にはならないだろうが、ココナッツミルク(液体)を少し加えることで代用できる。ココナッツはカレーに加えることで特有のコクが出るので、省かずに作るほうが良いだろう。

今回、レシピの詳細は省くが、「カレーの素」がストックしてあれば、トマトベースの煮込み料理が余った時に加えてカレーにしてみたり、炒め物や、スパイシーなカレーうどんもすぐに作れてとっても便利。

前置きが長くなったが肝心のカレーについて。ターメリックライスを炊いていたが、シナモンの香り漂うマイルドなカレーの具材として煮込んだ緑豆がごはんがわりになり、十分に満足できる美味しさだったので、下のような盛り付けとなった。今回はぱりぱりにやいた鶏肉を添えたが、野菜だけでも幸せな満腹感を得られるので、女性や健康に気遣う男性にとっても嬉しい限りのカレーだ。

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豆とパプリカのカレーに添えたのは前述の鶏肉のぱりぱり焼き、トマトサラダ(p.54)、紫キャベツの酢漬け。

まとめに代えて:前書きで書かれている長尾先生の養生訓は・一日一穀(一度はお米を食べる)、・一日二汁(二度は汁物を食べる)、・一日三茶(朝昼晩とお茶を入れる)、・一日五厨(度々台所に向かう)、・一日七考(なにかと工夫する)、・一日八憩(まめに休息する)、・一日十菜(多くの野菜を食べる)、・一日百笑(なるべく機嫌よくする)、・一日千想(空見て想いをはせる)、・一日万歩(急がずてくてくと歩く)、・一日養生(体調と相談しながら過ごす)、・一日手入(道具も自分も手入れする)、・一日清々(さっぱり清々と暮らす)、・一日一菓(一つお菓子を食べる)で、ここを基礎として掲載されて料理が考えられている。先生を参考にしながら、自分の養生訓について考え、作ることで、日々の過ごし方が変わってくるかもしれない。最初は小さなことかもしれないが、続けていくことで大きな変化に繋がることは多いもの。

本書の構成は「1; いたわりたい日のスープ食」でポタージュ、おかゆ、スープなど9品。「2; 楽しいご飯炊き」でおむすび、雑炊、炊きおこわなど7品。「3; 漬物あれこれ」でピクルス、だししょうゆ漬け、酢漬けなどの7品。「4; 毎日の「お助けの素」」で、茹で鶏肉や、野菜の瓶詰め、スープの素など。「5; 野菜のひと皿」ではアソートサラダや炒め煮なますなど9品。「6; 自前の調味料で」ではレモンバター、スイートチリソース、アジアソースなど6品。「7; パン粉百珍」で、ふりかけやパン粉焼き、パン粉ガレットなど。「8; 煮込み料理はすべて「肉じゃが」である」にはラムじゃが煮込み、挽き肉と野菜のラグーなど7品。「9; オーブン、トースター、フライパンまかせ」ではとうもろこしの丸焼きインド風、すもものオーブンコンポートなど10品。その他「10; ほっとする飲み物があれば」や「11; 気楽にお食後作り」など飲み物や甘い物の章もある。

なかには入手しにくい材料もあるが、それは何のために使われるのか目的を考えながら、代用品を探るのも料理を上達させるための一歩。料理の組み立てたや、細かなアドバイスも記されているので、まずはさっと全体に目を通してみよう。なぜこの順番にレシピが紹介されているのか、流れを通じて、作って食べてみたいと思える料理にすうっと出会えるだろうから。

調味料は最低限のものしか使われていないので、味見をして足りなければ例えばナンプラーやしょう油を加えて加減することも大切。これまで何度か書いてきたが、住んでいる土地の好みや手に入る野菜などの素材によって料理は変わるもの。レシピ通り作っても味が、常にびしっと決まるなんてことは無い。出来上がりを口にして、あれ?と首を傾げたなら、何が原因だったか点検して、もう一度挑戦することの楽しさを教えてくれる本でもある。料理のレパートリーを増やしたい中級者以上におすすめ。

 

これから紹介したい本が決まっているにも関わらず、来週頭の数日間は諸事情につきblogを記せません。悪しからず。

わたし自身もそうなのだけれど、夏風邪をひいている人が多くなってきた。(昨夜一緒に飲んでいた友人には、すごい声になっていると驚かれた(笑)) ゆっくり休めるひとはのんびりした週末を。働くひとは、なるたけ機嫌良くすごせますように。すてきな休日を。

<ごはん日記>