300と数十日の食卓

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35冊目『ワインがおいしいフレンチごはん』から最終回はうなぎのロワール風

[35-7]『ワインがおいしいフレンチごはん』より最終回はうなぎのロワール風(p.48~)

料理 飯島奈美、ワイン監修 杉山明日香、 株)リトルモア発行、 デザイン 木村裕治、後藤洋介、 撮影 宮崎純一、編集 加藤基、當眞文、 2017年5月26日初版発行

5時半起床で散歩に切り替えたが、すでに暑かった月曜はスタミナ補給のうなぎ。

調理時間:15分くらい

主な材料:うなぎの蒲焼き、長ネギ、ドライプルーン、山椒の水煮、バター、赤ワイン、はちみつ、蒲焼きのタレなど

調理の流れ:長ネギ、鰻の蒲焼きは食べやすい大きさに切る。フライパンにバターを入れ火にかけ、長ネギがきつね色になるまで焼けたら取り出す。同じフライパンにプルーン、赤ワイン、はちみつを入れて煮詰めた後、蒲焼きのタレ、うなぎ、山椒を加えて落とし蓋をして煮る。お皿に盛りつけた後、フライパンの煮汁を煮詰めてまわしかける。

出来上がった料理:ロワールの郷土料理Matelote d'anguille(うなぎの赤ワイン煮)を飯島さん流にアレンジした料理で、マリアージュとして提案されているのはロワールのカベルネ・フラン100%、辛口の赤ワイン、シノン。近所のお店ではカベルネ・フランが見つけられなかったので、辛口の赤をあわせることに。

プルーン、はちみつと赤ワインを煮詰めた段階ではさほど甘味を感じなかったのだが、山椒を加えることであまさがふんわり立ち上がるソース。バターの香ばしさに蒲焼きのタレは美味しいだろうと想像がつくのだが、そこに赤ワインを合わせるとどうなるんだろうとうなぎを一口含む。蒲焼きのタレに入っている和の調味料と山椒の効果もあって、一口目はうん。これは「うなぎ」だと感じさせるが、噛むほどにソースの程よい甘さとトロトロになったうなぎの脂が口の中に広がって行き、無性にワインが飲みたくなるお味。もっと味を確認しながら食べなきゃと頭から指令が飛んでくるのだが、フォークを口に運び、ワインをすうっと飲むを数回繰り返しているうちに胃袋に収まる。

使用する蒲焼きのタレ自体で味も変わってくるし、飯島さんが提案しているのはもっと別の味なのかもしれず、もう一度作りたいが、いかんせんそうそう手が出る食材でもないし、誰かとお皿を囲んで食べるのが似合うので、課題リストに書き連ねることで留める(笑)

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この一杯は料理を味わうために!と言い訳を考える間もなく、ぐいぐいとワインが進むお料理で、(ここまで回を重ねてきたが)この本の危険さを身を以て知る。

画像の左端に写っているのはスーパーで特売のトレヴィス。レシピ外だが、色目も、苦味も口直しにもぴったりだった。

まとめに代えて:本書ではフランスワインの生産地方ごとに料理とマリアージュにおすすめのワインが紹介されている。まずは[シャンパーニュ地方] シャンパーニュにあわせる2品。 [ボルドー地方] 赤ワインにあわせるのはがつんと厚切りのステーキ。 [ブルゴーニュ地方] エビとホタテのエスカルゴバター焼き、地鶏とパセリのゼリー寄せなど赤・白ワインにあわせる6品。 [ロワール地方] 白ワインにあうシェーブル・チーズの温サラダ、かますのリエットなど5品。 [ローヌ地方] ガメイにあわせるレバーソテー。 [アルザス、ロレーヌ地方] ミネラル感あふれる白ワインにあわせる白菜の古漬けと塩豚のシュークルート風、キッシュ風グラタンなど4品。 [ジュラ、サヴォア地方] 高価なジュラワインにあわせる鶏肉のヴァン・ジョーヌ煮。 [南西地方シュド・ウエスト] マルベックにあわせるのはこの地方発祥で人気を博した鶏のコンフィ風。 [プロヴァンス地方、コルス島] 地中海の辛口ワインにあわせるあっさりブイヤベースなど2品。 [ラングドック、ルーション地方] タラのポテトサラダなどどのワインにもあわせやすい2品 [フランス全土でなじみの味から]  グジョネット(魚のフライ)、ドライフルーツとサワークリームのアミューズ・ブッシュ(本書の宣伝につきFM番組で紹介されていた)など5品。料理と別に、万能ワイン種類がおすすめの産地、料理とともに記されていたり、ワインをより楽しむための買い方、適温、グラス選び、マナーなども丁寧に記載されている。

 素人には難しい料理とワインの組み合わせ方として、①ソックリな特徴を合わせるマリアージュ、②料理の味をワインの特徴でサッパリと流すマリアージュ、③双方の個性をあわせて相乗効果を狙うマリアージュがあげられている。こういう公式をなんとなくでも頭に入れておけば、レストランやワインショップに行って店員さんとのコミュニケーションの取り方が変わるだろう。

その他、フランスやイタリアの場合ワインのエチケットに記されている情報量が多いこと。中でもA.O.C.名が大切なので、これからそれだけでも気にして見てみようという提案もなされている。気に入った生産者名やぶどう品種でワインを覚えるクセがあるので、A.O.C.は少し苦手だが(笑)これからは視点を一つ増やしてみよう。

飯島奈美さんといえば映画『かもめ食堂』のフードスタイリングや、これまでなかった量のプロセス写真と丁寧な作り方で大人気となった料理本『LIFE』シリーズが有名。ここで取り上げなくとも持っている人が多いだろうことと、ワイン好きもあって本blogではワインとのマリアージュという異色の本を取り上げることにした。

ルイユソースから作るあっさりブイヤベースはムール貝等入手しずらい材料に魚の処理や調理時間等、おもてなし料理というカテゴリーに入るレシピもあるが、面倒なパイ生地作りをスキップして作るキッシュ風グラタンや、これまで再現してきた料理はどれも簡単かつひとひねりあって美味しい。そしてワインとはもちろん抜群の相性。文中に紹介されているワインそのものを探し出すのは大変だが、A.O.C.や生産地、ぶどう品種のうち、お財布に見合ったものを選んで自分の作った料理に合わせる楽しさを知ることも出来て、おうち飲みが好きな人、おうち飲み会を開く機会が多い人に特におすすめの一冊。

 

 これまで本書のテーマのひとつ、郷土料理にあわせていろいろな本を紹介してきたが、トリは太田和彦さんの『居酒屋味酒覧』。日本各地を旅して回っていたときに随分お世話になった本で、青森市のふく郎という居酒屋さんで食べたホタテのねっとりした甘さは今でも忘れられないし、その他にも山利喜(東京・森下)、池林坊(東京・新宿)、多可能(静岡)、赤垣屋(京都)、おでん東大(那覇)など名店のお酒や肴の魅力がぎっしり詰まった一冊。 久しぶりに読み返してみたら、文章から酒場の香りがたってきて思わず旅に出たくなる。

太田和彦の居酒屋味酒覧〈決定版〉精選204

太田和彦の居酒屋味酒覧〈決定版〉精選204

 

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