300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

39冊目『おうちで食べようクイック麺』から最終回はビーフン定食

[39-7]『ウー・ウェンさんのおうちで食べようクイック麺』より最終回はビーフンの素炒めなど(p.80~)

ウー・ウェン著、 株)講談社発行、 アートディレクション 昭原修三、デザイン 酒井由加里、撮影 今清水隆宏、スタイリスト 久保原恵理、編集 松原京子、 2007年5月21日初版発行、2008年6月10日 第2刷発行

めっきり秋になってしまった金曜日はビーフンの定食を再現。

調理時間:30分以内 

主な材料:[ビーフンの素炒め] ビーフン(乾麺)、長ネギのみじん切り、鶏がらスープの素、酒、塩こしょうなど。 [えびとエリンギの黒酢炒め] むきエビ、エリンギ、片栗粉、酒、黒酢、塩など。 [夏野菜の煮物]  かぼちゃ、ナス、トマト、ミョウガ、酒、鶏がらスープの素、酒、塩こしょうなど。

調理の流れ:[煮物] 種とワタを取り皮をむいたかぼちゃは一口大に切る。なすはヘタを取り、皮をむく。トマトはヘタを取り横半分に切る。油を熱したフライパンでかぼちゃとなすを炒め全体に油が回ったら、トマトをのせ、酒、鶏がらスープの素、塩をふり、蓋をして蒸す。器に盛りミョウガと黒胡椒を乗せる。 [ビーフン] ぬるま湯で戻し、食べよい長さに切ったビーフンを熱湯で茹で、ザルにあげ油を振りまぜる。スープの調味料を混ぜ合わせてく。油を熱したフライパンで長ネギが香るまで炒め、ビーフンを加えてさっと炒めた後スープを加え炒め煮る。 [黒酢炒め]  さっと茹でて水気をきったえびに片栗粉をまぶす。エリンギは一口大に切る。油を熱したフライパンでエリンギをしっかりと炒め、酒をふりかけさらに炒める。えびを加えて炒め黒酢を振り入れさっと混ぜ合わせたら火を止め塩胡椒で味を整える。

出来上がった料理:「シンプル麺とおかず献立」より、白ご飯の代わりにごくシンプルな麺を食す献立の一つを再現。

えびとエリンギの黒酢炒めは、えびに片栗粉をまぶしてあるので炒めている間にトロミがつき、黒酢を使うことでスッキリした香りが漂う。しっかりと火を通しても元気なエリンギのシャキッとした食感がたまらない。

夏野菜の煮物は鶏ガラのスープで蒸し煮ただけでこれだけ素材の味が引き出されるのかと開眼させられるおいしさ。胃が疲れているときにとても優しく、美味な煮物。

長ネギを炒めた後に鶏ガラスープを煮含ませたビーフンは、ネギの香りが効いていてとてもシンプルだからこそ箸が止まらなくなるお味。たまにはごはん代わりにビーフンや具なし焼きそばでおかずを味わう食卓も、いつもと風景がガラッと変わって良いなぁ。

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関西だと小分けで売られているケンミンのビーフンがあって便利なのだが、東京は台湾製の大容量のものが主流で、一度開封すると使い切るのが大変なので、ついでに翌日用に炒めカレービーフン(p.44~)も作る。同じ麺でも味付けで印象がガラッと変わるので、今日もまたビーフン?という感想は回避できるのでは。

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まとめに代えて:ウー・ウェンさんのお宅ではファーストフードとして扱われていおり、作る側にとって負担にならず、食べる人の体に優しく美味しい麺料理が詰まった一冊。日本ではパスタならトマト、鶏ガラスープは中華麺という固定概念があるけれど、大陸で生まれ育ったウー・ウェンさんならではの大らかな視点に基づいた素材と麺の組み合わせは発刊されて10年経った今でもユニーク。

「ねぎ油さえあれば…」では、市販品も出回っているものの家庭で簡単に作れるネギ油とそれを使った麺料理5種類。「中華麺」はもやし、ザーサイ、豚肉の湯麺、きのこの酸辣湯麺、塩味あんかけ焼きそばなど12個のレシピ。「ビーフン」の章では、トマトと卵の汁ビーフンなど3個。「パスタ」では、いかとブロッコリーのスパゲティ、具だくさんのスープパスタなど6種類。「そうめん」ではザーサイとパセリの汁そうめんや辛み練りごまの汁そうめんなど4種類。「そば」は薬味そば、けんちんそばなど5種類。「うどん」ではシャキシャキキャベツの炒めうどんや、かに玉うどんなど6種類。「シンプル麺+おかず献立」では焼きそば、ビーフン、パスタ、そばの4種類に合わせる献立が紹介されている。レシピ以外に、ウー・ウェンさん愛用の市販品のスープの素と活用方法が記されているほか、自家製ラー油のレシピ、麺料理へのトッピングおかずが5種類あげられている。

うちの定番だとか、子供に人気と説明書きがついているレシピは魅力的なポイントだ。それだけ料理家が大切に育んできた料理だとわかるから。プロでは無いし、複数名のアシスタントを抱えていらっしゃる著名料理研究家の先生方とは環境は全く異なるが、かつて課題でレシピ作りをしていた際、例えばハンバーグの場合は市販のハンバーグを焼き比べ、レストランを食べ歩き、10日間ほどかけてほどほどに納得のいくものを作り出せたこともあって、自分のものとして胸を張って世に送り出せる料理ってよほどの才能を持たない限り、次々とは出来ない気がすることもある(あくまでも想像)。話が逸れたが、本書のレシピを再現すればするほど才能ある料理家によって生み出された優れた料理本だと感じられた。どれも美味だが特におすすめ料理は、カリカリ豚肉とトマトののっけ麺(p.16~)、しょうがたっぷり煮込みうどん(p.80)。

 

今週末は福島県白河市で"風とロック芋煮会2017"が開催される。マキシマムザホルモン、岡崎体育、MONOEYES、サンボマスター、10-feetやさだまさしなどが出演するフェスの前夜に、ダイバーが飛んでくることで前歯の神経が死に歯が脆くなったという前置きから始まるBRAHMANのTOSHI-LOW のMC(芋煮会ではなくair jam 2012での映像)を聴きながら東北のことをおもう。忘れられないこと。忘れてはいけないと強く感じさせるこの語りはTOSHI-LOWならでは。音楽に興味がなくともできれば観て欲しい動画。

先ほど秋田で震度5の揺れが観測され、不安な夜を過ごす方も多いだろう。本日は週末の挨拶は書かずに。


TOSHI-LOW AIRJAM 2012 MC

<ごはん日記>