300と数十日の食卓

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48冊目『〆まで楽しむおつまみ小鍋』から6回めは赤ワインに合うすき焼き

[48-6]『〆まで楽しむおつまみ小鍋』より6回めは赤ワインに合うすき焼き(p.58~)

高橋雅子著、 株)池田書店発行、 デザイン 柳田尚美、撮影 鵜澤昭彦、スタイリング 宮嵜夕霞、 編集・構成 吉原信成、2017年10月30日初版発行 

京都より東京に戻る際は、なるべく多くの関西のお野菜とお財布の範囲の牛肉を買い込むので、今日は普段手が届かないすき焼きを。

調理時間:10分ほど 

主な材料:薄切り牛肉、薄切りにしたエリンギ、ほぐした舞茸、やや長めに切った長ネギ、黒こしょう、バター、だし汁、赤ワイン、しょうゆ、メープルシロップ 

調理の流れ:野菜を切る。ボウルに液体調味料を混ぜ合わせ、半量は肉に、残りは野菜類に絡ませる。つけ汁ごと野菜を鍋に入れ蓋をして火にかける。湯気が立ったら牛肉を具材の上に乗せ火を通す。仕上げに黒こしょうとバターをのせる。

出来上がった料理:「第2章 にぎやか小鍋」より、赤ワインを割り下に使った贅沢なすき焼きを再現した。

具材の舞茸は華やかな香りを添えるので必須として、エリンギはしめじや椎茸でも代用できるだろう。すき焼きというハレの日料理に備えて、今回は京都の九条ネギを用意。

鍋に直接割り下を入れる前に、一手間かけて具材と絡ませるのがポイント。野菜に味が染み込みやすくなり、割り下にきのこ類などの香りも移る。

鍋から立ち上る豊かな香りを楽しみながら、グラスに入れた赤ワインを一口二口飲んでいる間にお料理が完成。ゴリゴリと黒こしょうをたっぷり挽いた段階で、まず試食。お砂糖ではなくメープルシロップのコクが赤ワインに非常に合う。これはこれで美味しいなぁと思いつつ、バターをぽてっと鍋に落とすと、美味しそうな香りがもうもうと鍋より広がり、やんわりと表面に浮かんだ脂が色っぽい。どれどれときのこ、おネギに肉を巻いて口にすると、驚くほど旨味が増している。フルボトルのワイン一本空けられそうな悪魔的な美味しさで、東京に戻って早々に悶絶する。

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久しぶりに自分のためだけに料理を作ったが、これは誰かと分かち合いたいお味だった。お気に入りレシピに入れておこう。

 

高校時代くらいから、おまじないのように唱えていることばがある。

「バカが暗くてどうする」

原文を(ほぼそのまま)引用するなら「俺 、コンプレックスの強いばかって嫌いよ。ばかが暗くてどうする」 。多感な頃に深く影響を受けた作品の中で、体育会系バリバリでスポーツではピカイチだが、学業はさっぱり振るわない少年が放ったセリフだ。重ね合わせるように、私もエスカレーター式の学校に入学できたものの、このままでは進学できないかもしれないと担任に脅かされた程に低い成績で、部活では府下ではメダルや表彰状をもらえる口。外部の大学受験で猛勉強の末に少し立て直し、英国に渡ってからは専門学校でもプラスがつく成績を収められるようになったが、ひどく能天気なアホであるのは今も変わらず。

まぁしかし、能天気なりに歳を重ねてくると、悩まざるをえないことも増えてきて、気がつくとどぉおんとマイナス思考の海の底に沈んでいたりする。そんな時は、暗くてどうする!と口ずさみながら、得意料理を作ることだったり、今ならジムに通うことで、自分に向き合い、少し浮上する。それでも、ひとりで立て直すのは限界があるので、頼れる人や信じられる人に取り止めのないことを話したり、会って誰かと時間を共有するのはとても大切。

<ごはん日記>