300と数十日の食卓

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54冊目『和えるおかず』から6回めはあじのおろしきゅうり和え

[54-6]『和えるおかず』から6回めはあじのおろしきゅうり和え(p.44~)

坂田阿希子著、 株)世界文化社発行、 ブックデザイン 縄田智子 L'espace、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、取材・構成 新田草子、編集 北野智子 2017年7月25日初版発行 

強風を伴う台風が去って、肩の力が抜ける間も無く次の台風発生というニュースが。今年はもう台風さん、満員御礼で良いんじゃなかろうか。

調理時間:10分ほど(あじを塩でしめる時間を除き)

主な材料:三枚におろしたお刺身用あじ、すりおろしたきゅうり、小口切りにしたみょうが、すだちの絞り汁、合わせ調味料(酢、薄口しょうゆ、塩)、穂じそ 

調理の流れ:あじの全面に塩をふり、冷蔵庫で1時間おく。その間に、すりおろしたきゅうりをざるにあげ、適当に水気をきり、合わせ調味料を加え混ぜておく。

あじの表面をキッチンペーパーで拭き取り、川をひき、一口大に切りすだち果汁をまぶす。ボウルにあじ、みょうが、和え衣を加え混ぜ、器に盛ったら穂じそを散らす。

出来上がった料理:「魚の"和え"おかず」より、7月ごろが旬だが今も出回っているあじを使った和えものを再現した。

あじに塩をふってある程度の時間を置くことで、身がしまり包丁で切りやすくなり、下味もつく。柑橘類をふりかけるときにたつ爽やかな香りが台所中に広まり、魚の臭みを感じさせなくなるのも嬉しい。

酢の種類は指定されていないが、京都産の千鳥酢と和歌山産の梅酢を混ぜ合わせて使った。酢はイタリア、フランスのものも含めて5種類を常備しているが、和食には国産の酢が似合うし、あれば2種類混ぜ合わせると奥行きが出る。取り合わせに関しては、味見をしながら好みを探るとお料理の楽しさも味わえる。

塩を馴染ませ、そぎ切りにしただけでもお酒が進むお味だが、そんなあじにすりおろしたきゅうりに酢醤油、みょうがを纏うと清々しい風味が増す。緑に染まったあじは、みょうが特有のクセがアクセントになり日本酒が非常に進む。あじと和え衣の絶妙なバランスをはむはむと口中に味わっていると、ふわっとそしてうっとり幸せになれる。

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実は、これ、母の得意料理でもあり、嫁いで来たときに作ったら父方の祖父に大いに気に入られた逸話付きの一品。厳密なレシピは異なれど、こうした縁が繋がって行くのは嬉しい。

 

9月に引っ越す予定だったが、そして引退詐欺ならぬ引越し詐欺の疑惑がかけられ始めたが、まだ東京に住まわせてもらっている。先日は東京にいる間に遊びに行く!と5年ぶりに家族や仕事の時間を離れて愛知県より日帰りで幼馴染が会いに来てくれて、新宿でデート。中高時代の懐かしい話や今に到るまで話題には事欠かないが、学生の頃とは違い、それぞれの守るべきこと、人や時間がある。結婚したお相手のお子さんが出産されて早々にお婆ちゃんになった後輩や、いち早く星になってしまった同級生の話など、人生は短いという話につきる。

翌日、早くもっと幸せになりなさいというメッセージをもらう。搾りかすみたいな状態だけれど、うん。そろそろ頑張るよ。背中を叩いてくれてどうもありがとう。

10月になったが生きることの切なさとか、男女の捉える幸せの在り方の、愛の行違いが描かれた曲とともに。


Green Day - Wake Me Up When September Ends [Official Music Video]

<ごはん日記>