300と数十日の食卓

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56冊目『きちんと小鍋』から最終回は白菜とシュウマイの香味鍋

[56-7]『遅く帰った日のきちんと小鍋』から最終回は白菜とシュウマイの香味鍋(p.8~)

YOSHIRO著、 株)枻出版社発行、デザイン ピークス(株)、撮影 加藤史人、落合明人、スタイリング 松井緋音、編集 杉村貴行、 2018年11月30日初版発行 

時間をかけて更新しているうちに、半袖でも汗ばむ季節に突入していた。あれ?

調理時間:15分以内

主な材料:ざく切りにした白菜、冷凍シュウマイ、四等分に切ったミョウガ、薄口醤油、みりん、柚子コショウ (311kcal)

調理の流れ:小鍋に水を入れ沸騰したら白菜、調味料を加え、白菜がクタッとなるまで煮る。シュウマイを入れ蓋をして柔らかくなるまで煮る。最後にミョウガを入れて火を止め数分蒸す。

出来上がった料理:シュウマイから滲み出てくる旨味を出汁として利用するレシピ。材料をみると豚肉、鶏肉にエビという鍋の主役級の材料や、玉ねぎなどの野菜も入っているので、昆布や出汁パックを使わずとも煮込めば出汁が取れるし、メインの具材にもなってくれるので、とても優秀な食材なのだと改めて認識。冷凍庫で保存できる食材には助けられることが多く、だから明太子、レモン、うどん、ピザは欠かさないのだが、シュウマイはストックリストに含まれていなかった。これを機に鍋の季節には常備することにしよう。

白菜のちょっとシャクシャクした食感と、ふわふわのシュウマイの口当たりと食べ慣れたこれぞシュウマイ!という味が懐かしくて、でも柚子コショウをつけると、をお!こんな新しい表情も持っていたのか、辛子もいいけれど柚子コショウの香りとじんわり舌に広がる辛みもあうなぁとゆるゆると味わう。

ミョウガは色味担当だと思われるので、野菜室にあれば使う程度で、買いに行くほどでもないから、バラバラにしたえのき、細切りにしたパプリカ、ざく切りにした青梗菜などを代わりにオススメする。

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これまで本書の中より再現した中で一番楽に作れて失敗知らずの鍋。

 

まとめに代えて:小鍋料理の利点として⑴経済的、⑵直ぐに作れる、⑶栄養バランスが良いを挙げている著者のYOSHIROさんは料理家とトライアスロン選手の二つの顔を持つ。疲れて遅くに帰宅する時も体やお財布のことを考え、自分で何か作ろうとする人にとって、ものすごく手軽に、コンビニやごく普通のスーパーなどで入手しやすい3〜4種類の食材で美味しく作れるようによく考えられている。食材はこれだけ入れれば美味しくできるという最低限が選ばれているので、味見をしつつ、加えるとさらに美味しくなる予感の野菜が野菜室にあれば、足すと余り野菜の整理も出来るし、自分なりの好みを探ることも出来る。

巻末には料理初心者のために例えばあさりの砂抜きの仕方、セロリの筋の取り方などといった食材の下処理方法、切り方が写真付きで解説されている。料理本を使う際によく耳にする余った食材問題に対する解として、使い回しリストも用意されているし、なんとカロリー検索までできてしまう細やかな心配りにあふれた一冊。

 

限りなく用意しやすい材料と、極々シンプルな手順で記されたレシピだから、アレンジは自在。煮込む際に水だけではなくお酒を加えたり、水出し昆布出汁に置き換えると当然おいしさは増す。そこはもう重重分かりつつ、でもそんな手間かけられない人に料理が出来る楽しさを教えてくれる。手軽に揃えられる食材で、こんな組み合わせがあるんだ!という気付きも多く、料理力が落ちている時も楽しみながら再現できた。ひとりごはんが多かったりマンネリに飽きた人にオススメ。

 

この春、イギリス時代の友人と料理学校の同級生がそれぞれ2度目の結婚を決めた。めぐり逢えたパートナーと山あり谷ありの人生を支えあいながら、どうかこれからしあわせな時を送れますように。こころよりおめでとう。

イギリスで一番初めに住んだ町からロンドンに出るハブ駅がwaterlooだった。パリへのeurostarの始発駅としていた頃(現在はst.pankras駅)にも利用していたので思い出深い駅。オリジナルはthe kinks(1967)


David Bowie - waterloo sunset

 

<ごはん日記>