300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

18冊目『スープ』より6回めはフェジョアーダ

[18-6]『一度にたくさん作るからおいしいスープ』より6回めはフェジョアーダ(p.92~)

井原裕子著 成美堂出版発行、 撮影 木村拓、アートデレクション 遠矢良一、構成・編集・スタイリング 関澤真紀子、企画・編集 川上裕子、 2016年10月20日第1版発行

もしかすると関東平野では54年ぶりに雪の降る11月となるか?で、ワクワクしていたが冷たい雨になってしまった月曜日はブラジル料理を再現。

調理時間:1時間40分ほど(缶詰の豆を使った場合)

主な材料:豚スペアリブ、黒小豆、紫玉ねぎ、にんにく、ローリエ、パプリカパウダーなど

調理の流れ:乾燥黒小豆はさっと煮る。スペアリブの両面に焼き色がつくまで焼く。鍋に肉、玉ねぎ(薄切り)、にんにく(すりおろし)、黒小豆、ローリエ、塩、水を入れ1時間半ほど煮る。仕上げにパプリカパウダーをふる。

出来上がった料理:スペアリブと豆に野菜少々を加えてことこと炊いただけ。それなのに豚の骨から出る濃い出汁をじんわりと含んだ豆がほくほくで、スペアリブの脂身はとろり。骨の回りの筋まできれいに食べ尽くしたくなるほど、スープの最後の一滴まで飲み干したくなるほどに美味しい料理が出来上がる。本場では豚肉の耳や皮などいろいろな部位を入れるが、スペアリブのみか、豚バラ肉の角切りやソーセージ、ベーコンを組み合わせる程度のほうが親しみやすい味に仕上げられるだろう。

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何軒かスーパーを回ったが黒小豆が見つからず、代わりに黒いんげん豆の缶詰を使う。本場で使われる黒いんげん豆が入手しにくいため、本書では黒小豆で代用したと記されているが、東京では逆の現象が起こっている模様。その後フェジョアーダ用の豆を調べたら大納言小豆が使いやすいとわかったので、次に作る際は大納言さまに活躍してもらおう。

まとめに代えて:「定番スープ」、「ポタージュ」、「チャウダーとシチュー」、「世界各地のスープ」、「冷たいスープ」、「サイドメニューカタログ・ご飯、パスタ、パンカタログ」とコラムで構成されている。

今回再現したのは「チャウダ〜」と「世界各地〜」からのレシピになったが、スープストックとハンドブレンダーがあればポタージュも手軽に作れるようになっている。はじめにで「家庭料理なのでなるべく気負わず作れたら、と思いますが、(中略)野菜はなるべく現地で使っている野菜をそのまま使い、調味料も手に入るものは調達して本格的なものにしています。旅先で食べた思い出の味、憧れの地のスープとして、世界を旅する気分で楽しんでいただけたらうれしいです。」と著者が書いているように、東京ですら入手しにくい材料が登場する。ただし代用出来るものが記されているし、レシピや文章を読んで本場の味を想像するだけでも楽しめる料理本。プロセス写真は1枚あるかないかで、使う素材も多めなので、中~上級者向けだが、下ごしらえの仕方、火加減など丁寧に記されていて、美味しく仕上げられる。

ほとんどのレシピが5~6、6~8名分とたっぷり。半量で作っても結構な量で、食べ飽きないか心配になったが、日をおくごとに変化する味がどれも美味しくて完食出来た。(冷凍庫の容量が大きければ保存が出来るので、皆さまにはそちらをおすすめする(笑))

週末仕事を終え、SNSをチェックしていたらかつて交流のあった方の訃報に接する。まだお若く、700本目のダイビングも達成された健康な方だったのにとひどくショックを受ける。自分の記事をあげなくなって久しく、ともだちの投稿を読むためだけに続けているfacebookの記事を読んでしばらくするとその方の声や、最後にお会いした日のことが鮮明に浮かび、ついで楽しかったあの頃のアホな思い出が連なるように掘り起こされてきた。青かった自分にちょっと赤面して、笑い、そして切なくなる。そっか。もう二度と会えないんだ。

<ごはん日記>