300と数十日の食卓

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29冊目『有元葉子の「和」のお弁当』から最終回は玄米チャーハン弁当

[29-8]『有元葉子の「和」のお弁当』より最終回は玄米チャーハン弁当(p.60~)

 有元葉子著、東京書籍(株)発行、 撮影 今清水隆宏、スタイリング 千葉美枝子、アートディレクション 昭原修三、デザイン 植田光子、  2013年9月10日初版発行

気がついたら今週ももう木曜日。4月も半ばで早いなぁとぷつぷつつぶやきながら素材の持ち味を楽しむお弁当を食べる。

調理時間:15分ほど

主な材料:(主菜 玄米チャーハン) 玄米ご飯、ベーコン、あさつき (副菜①ししゃもとれんこんの網焼き) ししゃも、れんこん、しょう油 (副菜②クレソンのお浸し) クレソン、しょう油など  

調理の流れ:下準備(主菜) ベーコンとあさつきを切る (副菜①) 蓮根を切り、酢水につける。 (副菜②) クレソンの固い部分を取り除き、一口大に切る。

当日(主菜) フライパンを熱してサラダ油、ベーコンを入れてカリカリになるまで炒めた後玄米ご飯を加え更に炒める。味を整えた後あさつきを混ぜる。 (副菜①) ししゃもとれんこんにしょう油をさっとふり、色よく焼く。(副菜②) クレソンをさっと茹でて水気をきり、しょう油を少したらしてから汁気を絞る。

出来上がった料理:「第1章 毎日のお弁当」より玄米チャーハン弁当を再現した。玄米のイメージが定着している料理研究家の筆頭が有元先生。本書ではこのチャーハンの他に目玉焼きのせ玄米弁当、玄米の黒ごまおむすび弁当のレシピも掲載されているなか今回はこのお弁当を選んだ。

ぱらりとした食感はチャーハンという料理と相性がよく、ベーコンの旨味をまとうと玄米のクセが和らぎ、苦手な人でも食べやすくなる。そしてチャーハンが主役の筈なのに、蓋を開けると目に飛び込んでくる焼きししゃもの姿が豪快で、トマト味などの手を加えたものではなく、ほんのりしょう油で味を整える位の副菜がこのチャーハンには合うんだという潔さがわたしにとって実に有元先生らしく映った。

贅沢品のししゃもはおしょう油を少しつけただけでとても美味しいし、チャーハンを食べる合間に蓮根をしゃくしゃく食べたり、クレソン(今回は菜の花で代用)のうっすらした苦味で口をさっぱりさせたりしながら、飾り気は無いけれどこういうお弁当って良いなぁと笑顔になる。

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写真に撮るとししゃもの迫力がすごくて、少し笑える。

まとめに代えて:「第1章 毎日のお弁当」では普段のお弁当、こしょうチキンの卵揚げ弁当、えびのベーコン巻き弁当、干もののごま酢あえ弁当など23種類。「第2章 晴れたら、お弁当」では屋内ばかりでなく、こんなにお天気が良いなら空の下で食べましょうという気分の時に作る6種類、小さめの鍋で作りそのまま鍋ごと持ち出す肉じゃが弁当や、有元先生の定番キャベツメンチ弁当のレシピも掲載されている。「第3章 行楽のお弁当」では春、夏、秋に季節を感じながら食べられるお弁当4品が紹介されている。一つのお弁当につき5〜9つ種類の料理が入るのは大勢で食べる特別の機会だからで、きちんと時間をかけて作るお弁当は詰め方にも配慮されている。「第4章 家でいただくお弁当」ではおうちでのおもてなしとして3種類のお弁当。お重に詰められた色とりどりの料理写真を見るだけでうっとりなり、3章の行楽弁当より楽に作れるのでこれなら作れると感じさせてくれるレシピが多い。

本書で有元先生がお弁当作りのコツとしてあげられているのは、①彩り、味、食感のバランス。②前夜の下準備にはバットを使う。③作り置きのおかずはすき間おかずに利用。④意識して少し濃いめの味付けにする。⑤ほんの少しでも甘味を用意する。⑥時間がたっても美味しい野菜料理の工夫。⑦水気を飛ばす。⑧いたみにくいようにする等が丁寧に前書きで記されている。

28冊めの「ほぼごはん弁当」から久しぶりにお弁当を作り始めたが、前夜の準備+作り置きのうまいバランスの取り方を覚えるとあわただしい朝にそれなりの品数のお弁当をちゃちゃっと作ることが出来るようになった。見た目重視ではないけれど、手間ひまをかけなくともそれなりに整ったお弁当を作れるのは、作り手としても楽しいものだ。

本書を終えて、次は果たして…。

昨年の台風の影響を受けて、大手メーカーのポテトチップスが一部販売停止というニュースが取りざたされているけれど、ジャガイモが無いならおかき(おせんべい)があるじゃん。生のジャガイモから処理するのは面倒でも冷凍細切りポテトをおうちで揚げてたのはとても美味しいよと反論しかけたが、ポテトチップスじゃないとダメなのよね。きっと。

<ごはん日記>