300と数十日の食卓

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31冊目『自由学園の最高の「お食事」』から最終回はカレーライス

[31-8]『自由学園の最高の「お食事」』より8回めはカレーライス(p. 74~)

JIYU5074Labo著、)新潮社発行、 撮影 青木登、ブックデザイン 吉村亮 大橋千恵、協力 自由学園 2017年3月30日初版発行 

うだるように暑かった月曜と比べ、雲が多くて少し過ごしやすい火曜はカレー!

調理時間:1時間30分ほど

主な材料:牛肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、(ルー) 小麦粉、バター、カレー粉、スープの素、しょうが、にんにく、りんご、トマトケチャップ、しょう油など

調理の流れ:鍋にサラダ油を熱し、食べやすい大きさに切った牛肉、くし切りにした玉ねぎに塩こしょうをして炒める。牛肉の表面が焼けたら、乱切りにしたジャガイモ、にんじんを加え全体に油がまわるまで炒めたら、スープを加え野菜が柔らかくなるまで煮る。

別鍋にバターを溶かし、みじん切りにしたしょうがとにんにくを香りが立つまで炒める。小麦粉を加えてきつね色になるまで30分ほどかけてじっくり炒めた後、カレー粉をふり入れて香ばしくなるまで炒める。少しずつスープを加え、ペースト状になったらすりおろしたたまねぎ、りんご、ケチャップ、しょう油を入れ、煮込み用の鍋に入れる。

出来上がった料理:「ご飯・パン」の章よりルーから作るカレーライスを再現した。昨年夏はインドカレー作りに没頭していたが、欧風カレーをルーから作るのは今回が初めて。焦げた時点で全てが泡に帰すので、弱火で慎重に炒める。ほぼサラサラなので炒めやすく、色の変化を観察していると30分ほどの作業はあっという間に終わる。少しずつスープを加えてルーをのばしたら、煮込み用の鍋から更にスープを加えて十分に溶かしてから煮込み用の鍋に加えるとダマにならずに仕上げられる。

カレーは一晩置いてスパイスを馴染ませるのが好みなので、今回は野菜が柔らかくなった時点でじゃがいもだけ取り出してルーを加えた。取り出したじゃがいもは冷ました後にカレーとは別に冷蔵保存する。じゃがいもが一番痛みやすく、とろみをつける役割を果たすので、翌日温め直す時にカレーに加えることで少しばかり焦げ付きにくくなり、安心して口に出来る。

レシピ本をブログで取り上げる前に一品作って味を確認する作業をいつも行っている。今回はこのカレーを試作したが、スパイスが前面に出過ぎてしまった初日と比べ、翌日のカレーは全体が丸くまとまってとても美味になった。今回、二回目はカレー粉のメーカーを代えたこともあって、初日でも十分に美味しく仕上げられた。ルーから作ると味を安定させるのが難しいけれど、その分挑戦しがいがあり、身体に優しく、じんわり旨味が染み渡るカレーを作ることが出来る。

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食べ飽きない家庭の味のカレーだなぁと思いつつ、子どもの頃に母が作ってくれたように、きゅうりの角切り、ゆで卵のみじん切りを添えて食べる。口の中がさっぱりするし、猫舌の人(お子さん)はカレーと混ぜると食べやくなる。

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もう一枚の画像は、久しぶりにお酒を飲める喜びで作った、から揚げをトッピングする『三月のライオン』カレーの変形ヴァージョン。オリジナルはすっごくおいしいもの(鶏のから揚げ付きカレー)+おいしいもの(温泉卵)→超美味しいものなのだが、今回はみじん切りゆで卵を転用。これは食べる前から予想がつくほど、小さなお子さんから大学生まで大喜びの取り合わせ。大人ならカツカレーかな。揚げ物とカレーは最高のカップリングなので鶏か豚かはお好みによって。

まとめに代えて:創立以来、自由学園で生徒により作られてきたみんなのためのお食事(いわゆる給食)を今回結成された自由学園卒業生ユニットが家庭用に作り直したレシピが掲載されている。

「人気ベスト5+1」シェパーズパイ、れんこんのあちゃら漬けなど7品。「学年の献立」さばの竜田揚げ、三色ご飯など5種類。「主菜」肉はスコッチエッグ、ミートローフなど8品、魚はかれいのたれ漬け、さばのから揚げラビゴットソースなど6品、豆腐・練り物はぎせい豆腐、煮込みおでんなど4品、ホワイトソースではホワイトシチュー、クラムチャウダーなど6品、「副菜」はわけぎとわかめのぬた、味噌田楽など10品、「ご飯・パン」はちらし寿司、鯛飯など11品、「お汁・スープ」ではけんちん汁、コーンポタージュなど11品、「デザート」チョコレートババロア、ペパーミントゼリーなど5品。

他の日でも記したが、から揚げやハンバーグ、ソーセージを使った料理が掲載されていないのが特徴のひとつ。代わりにホワイトソースを使ったレシピが多いのも興味深い。工程では、炒めたり、煮込んだりする時間や火加減が指定されていないものもあるので、ある程度料理経験がある人向けかもしれないが、もともと中高生が失敗せずに美味しく料理出来るように工夫されているレシピたちだ。

今回本書を取り上げた理由は、結婚前の母が自由学園系の幼稚園で保育士をしており、わたしたち兄弟もその幼児生活団(幼稚園)で学んだので、シェバーズパイ、スコッチエッグ、ババロアなど子どもの頃に食べ馴染んだ味を自分でも作ってみたくなったから。

マヨネーズ、ジャム、パンやお菓子に至まで全て母の手作りで育てられたため、稀に設けられたお菓子を買って良い日にお店に連れて行ってもらうと、どれもが珍しくて、食べたくて一つを選ぶのにとても時間がかかった子どもらしい。(そういう環境で育つと、そうなるだろう(笑))おかげで料理好きに育ったけれど、パン作りまではなかなか出来ず、仕事をしながら妻として、母として、さらに同居する義理の父と母の用事までこなしていた母親のすごさを年を重ねるごとに実感出来るようになった。今度帰省したら久しぶりにシェパーズパイを、今度はわたしが作ろう。子どもの頃のはなしを笑いながら交わし合って食べる食事はきっと格別。

今日は父親のお誕生日。酒飲みかつ甘い物にも目がない人なので、いちごのケーキを食べて、東京からお祝いの気持ちをおくる。おめでとう。

<ごはん日記>