300と数十日の食卓

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35冊目『ワインがおいしいフレンチごはん』から2回めはハムのシャブリソース

[35-2]『ワインがおいしいフレンチごはん』より2回はハムのシャブリソース(p.32~)

料理 飯島奈美、ワイン監修 杉山明日香、 株)リトルモア発行、 デザイン 木村裕治、後藤洋介、 撮影 宮崎純一、編集 加藤基、當眞文、 2017年5月26日初版発行

携帯を家に置き去りにして外出するも、ipod touchとwi-fiで切り抜けられた木曜、29、にくの日は厚切りハムを使った料理を。

調理時間:20分以内

主な材料:厚切りハム、みじん切りエシャロット(玉ねぎでも可)、すりおろしトマト、バター、白ワイン、生クリーム、塩、コショウ、薄力粉などと、つけ添のズッキーニや芽キャベツをお好みで

調理の流れ:小鍋にバターを入れて火にかけ溶けたらエシャロットを加え、透き通るまで炒める。小麦粉を入れ、粉っぽさが無くなるまで炒め、白ワインを一気に加え、いったん沸騰させた後、火を弱めて半量になるまで煮詰める。トマトを加え、とろとろになるまでさらに煮込み、生クリームを注ぎ一煮立ちさせた後、塩・コショウで味を整える。

熱したフライパンにバター、サラダ油を入れ、ハムの両面ともに焼き色がつくまで焼き、お皿にもりソースをかける。

出来上がった料理:今回、本文中に候補としてあげられているワインはブルゴーニュ(シャブリ地区)1er cruのシャブリだが、到底手が出ないので2,000円前後のシャブリを使って作る。かつては海であり、ミネラル分を多く含んだ貝殻土壌であるが故にシャブリは牡蠣とのマリアージュが定番だが、全てのシャブリがそれに当てはまる訳ではないので、レストランで頼むときや、ショップで買うときもお店の担当者に尋ねるのが無難。(ワインに詳しい方以外はね)

トマトをすりおろすのは簡単そうだが案外と手間がかかるので、熟しているものを選び、ざるで潰しながら漉そう。一番最初に飛んでくる汁にさえ注意すれば、すぐにピュレ状に出来る。その他、包丁を使うのはエシャロットをみじん切りにするだけと、とても簡単なのに悶絶するほどに美味しい料理を作れる。

炒めたエシャロットの香りと、煮詰めることで甘味を増しながらも、白ワインとあわせることで程よく残る酸味のバランスが素晴らしいトマトソースを厚切りのハムと味わうと、試作から2度目に食べた今夜も再びうっとりさせられた位に美味。それなりの量の生クリームを使うのに後味が重くないので、つけ添えの野菜でお皿がぴかぴかになるまでソースを堪能できる。(今回、添えたのは蕪、舞茸にいんげん)

このレシピ、もしも豚ロース肉と指定されていたのなら、入手出来る肉により仕上がりに差が出る。でも加工品であるハムならば、どこで作ってもバラツキは出にくい。もともとシャブリにある料理をアレンジしているとはいえ、再現力の高い料理を選び、レシピを作れる才能があるのは素晴らしいなぁ。

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今まで好んで飲まなかったシャブリは、今回で開眼。お財布と相談しながら(笑)、これからいろいろ飲んでみよう。

 

フランス各地のワインと料理が紹介されている本書にあわせて、日本のご当地食が作品に盛り込まれている小説について書く。長野県(時折東京)の銘菓がつぎつぎ登場し、想像力と食欲をかきたてるのが『御子柴くんの甘味と捜査』若竹七海著(中公文庫刊)。コージーミステリと冠されることが多い若竹さんの作品で、雷電くるみ餅、つるやの酒饅頭、駒ヶ根ファームの信州味噌ピザなどを折り込みながら、軽やかに読ませるものの、ぴりりとしたシビアさは健在。この本とほしよりこさんの旅絵日記『山とそば』(新潮文庫)を併せて読むと無性に信州に行きたくなる。

御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)

御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)

 
山とそば (新潮文庫)

山とそば (新潮文庫)

 

<ごはん日記>