300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

47冊目『365日のめざましスープ』から最終回はパンとビール入り牛肉のスープ

[47-7]『365日のめざましスープ』より最終回はパンとビール入り牛肉のスープ(p.69)

有賀薫著、 株)SBクリエイティブ発行、 デザイン 斎藤雄介、撮影 有賀薫、佳川奈央、編集 田上理香子、 2016年3月30日初版発行

本日は冬至、一年で一番昼が短い1日。二十四節気であり連休直前の金曜は料理することに向き合うスープを。

調理時間:1時間半〜

主な材料:薄切りにした玉ねぎ、潰したにんにく、食べやすい大きさに切った牛スネ肉、ビール、カンパーニュなどのハード系のパン、ローリエ、オリーブオイルなど

調理の流れ:玉ねぎを切り、にんにくを潰す。肉を一口大に切り、塩を揉み込み、肉の表面がうっすら汗をかくまでおいておく。鍋にオイルを熱しにんにくと肉をさっと焼き、一旦取り出す。同じ鍋にオイルを足し玉ねぎが濃い茶色になるまでひたすら炒める。肉を戻し入れ、ビール、水、ローリエを加え、肉が柔らかくなるまでじっくり気長にコトコト煮込む。塩胡椒で味をつけ、一口大に切ったパンを加える。

(レシピの補足)玉ねぎを炒めるときはほんの少し塩をふり、最初はあまりいじらずに強火で、数分後から弱めの中火でひたすらかき混ぜる。玉ねぎの糖分で焦げ付きやすくなってくるが、オイルを継ぎ足すか、水を加えてウォーターソテーにして自分が納得のいく茶色になるまで炒める。かなり根気のいる作業だが、お台所に立って単純作業をし続けると気分転換ができて、たまには良いもので。

出来上がった料理:「スープとパンはもっと仲よくなれる」より、じっくり作り上げるスープを再現した。

使うビールの指定はないが、なんとなくイギリスやドイツらしい雰囲気を出したくて黒ビールを使う。私の場合かなりじっくりと時間をかけて玉ねぎを炒めるので作業中のお酒は欠かせないし、そこも含めて料理を楽しんでいる(笑)。煮込んでいる間に漂ってくるローリエの香りもふんわりとした温かみを家中に運んで来てくれて、寒い季節の煮込み料理のありがたさをも思い出させてくれる。

玉ねぎの甘みが溶け出したスープに牛肉の出汁も加わって、濃厚なスープはそれだけでもとても美味しいけれど、パンを口に含むとふわぁあと発酵した小麦の香りと油分が広まって絶妙の美味しさ。これだけ美味しくて、一皿でパンも食べられるので時間はかかっても作った甲斐があったなぁ。みんなが気に入ってくれるとさらに嬉しいなぁ。でもあまりに人気になりすぎて、頻繁に作ってとリクエストされてもちょっと困るけれど。でもこのスープをまた食べたいと感じてもらえるなら頑張った甲斐はあったね。そして美味しいと感じる料理を共有できてよかったね、と、もしも犬なら尻尾が振り切れるくらいに嬉しくなれるスープ。

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このところ牛肉を使った料理が多いのは、良いものがセールになっていたから。

まとめに代えて:画家・ライターそしてスープ作家と名乗られる有賀薫さんのスープ本を取り上げさせて頂いた。スープ作家という言葉の響きに、肩書きにまずやられる。(確認できなかったので、恐らくだが)料理学校を卒業された訳でもなく、いわゆるプロの料理研究家や料理家さんとは異なるが、だからこそ作りやすく親しみやすいスープが多く、それにまつわるエピソードも一つずつ風景が想像できるくらいに読ませる。肩に力を入れずとも、家族だったり自分を含めた誰かが心地よく1日を始められるように成り立ったレシピはどれもとても美味しそうで、いや、実際にとても美味しい。

スープ作りの基礎を鍛えるごくごくシンプルなものから、野菜、汁、トッピングにまで様々な展開レシピが公開されており、ご自身が撮影されたスープ画像もどれも食欲をそそるので、気になった方は書店にて一度手にとってみてください。工程でも素材でも、バランスよく、そして潔いレシピがたくさん掲載されている良い本です。ネットでも連載されているので、まずはここからどうぞ。 

cakes.mu

 

さてさて世間はクリスマス一色。キリスト教の学校で教育を受けたので、教会に行き家族で過ごすイメージが強いのだが、日本では別物のイヴェントになってしまった。一年365日、毎日が誰かのお誕生日だから、この日が格別という訳でもないと思うのだけれど(信者さんにとってはもちろん特別)、それがきっかけで繋がれることがあったり、叶うことがあったり、気持ちを伝えられるのであれば、そして小さなお子さんが夢を持てる日なのであれば、それはそれで素敵なこと。

みなさま、こころ温まる休日を。

違う曲を紹介するつもりだったが、有賀さんの本を改めて読み返してみて、この曲を。

どこにでもあるような 家族の風景 / 友達のようでいて 他人のように遠い / 愛おしい距離が ここにはいつもあるよ〜”家族の風景/ハナレグミ”〜


ハナレグミ 家族の風景

<ごはん日記>