300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

24冊目『毎日食べたくなる絶品鍋』より4回めは香りしゃぶしゃぶ

[24-4]『毎日食べたくなる絶品鍋』より4回めは香りしゃぶしゃぶ(p.36~)

  大庭英子著、 成美堂出版発行、 撮影 石井宏明、ブックデザイン 若山嘉代子 若山美樹、スタイリング 綾部恵美子、 2015年11月20日第1版発行

京都で今年の初雪をみて、東京に戻ると明日は雪と聞いて驚いた水曜は牛肉を使った鍋を再現。

調理時間: 10分以内

主な材料:しゃぶしゃぶ用牛肉、クレソン、せり、豆苗、貝割れ菜、長ネギ、しょうが、出汁、酒など

調理の流れ:出汁と薄切りしょうがを入れた鍋を火にかけ、煮立ったら、肉、野菜を入れ、タレにつけて食す。

出来上がった料理:「第2章 たれで食べる鍋」から身体が大きい分、独特のにおいや旨味のある牛肉を、手軽に美味しく食べられるしゃぶしゃぶを再現した。ほとんどが柔らかくて切りやすい、そして火が通りやすい葉野菜なので下準備も簡単。火もあっという間に通り、クレソンの苦味、せりの香り、豆苗の歯ごたえなどそれぞれの素材の持ち味を口に入れるごとに楽しめる取り合わせになっている。色を緑に統一することで見た目もすっきりし、温かい葉野菜をたっぷり食べられるしゃぶしゃぶだ。レシピにある材料が揃わなければ、水菜、春菊、薄切りにしたみょうがを入れても美味しそうだ。

f:id:mutsuki:201702ksn

東京と比べるとぐぅんと身近な牛肉を京都で求めて帰る。スーパーを数軒見て回ったが牛肉だけでなくて、野菜が手頃でいきいきと見えるのは身内の贔屓目か。

今回の帰省では道民の友人と昼から飲んでいた初日以外、酒量はおさえ気味で過ごす事が出来た。アルコールを節制した分、帰宅後は夜更けまで部屋に積んである本を読んで過ごせたのだが、ページをめくった後のある、つまり一度は読んでいるカーリン・イェルハルドセン著のショーベリー警視のシリーズものが、プロットが壮大でうならされる。2015年6月以降日本語訳が出版されていないが 8作目のシリーズ最終まで無事に発売されますように。

お菓子の家 (創元推理文庫)

お菓子の家 (創元推理文庫)

 

 <ごはん日記>

 

24冊目『毎日食べたくなる絶品鍋』より3回めは粕鍋

[24-3]『毎日食べたくなる絶品鍋』より3回めは粕鍋(p.80~)

  大庭英子著、 成美堂出版発行、 撮影 石井宏明、ブックデザイン 若山嘉代子 若山美樹、スタイリング 綾部恵美子、 2015年11月20日第1版発行

京都ではこの時分が1年で一番寒いけれど、東京も冷え込む節分の日は酒粕を使った鍋を作る。

調理時間:30分ほど

主な材料:甘口塩鮭、木綿豆腐、大根、にんじん、わけぎ、だし汁、酒粕、みそ

調理の流れ:鍋にだし汁、根菜類を入れ沸騰したら弱火で大根が柔らかくなるまで煮る。塩鮭を加えてさっと煮た後、豆腐を入れて煮る。しばらくたったら混ぜ合わせた酒粕と味噌を溶き入れ、ねぎにさっと火を通す。

出来上がった料理:昨冬は粕汁を幾度ともなく作ったのに、今季初の酒粕を使った粕鍋を「第3章 今夜はどんな味?ーみそ味の鍋ー」より再現する。粕汁を鍋仕立てにしたレシピだが、大豆の美味しさがぐっと引き出されたお豆腐や、大根、人参のそれぞれの甘さと旨味が酒粕特有の酸味によって強調され、みその甘みが全体をほどよく馴染ませている。塩鮭からの染み出た旨味もたっぷりで、身体もぽかぽかと温まるじっくりとおいしいおとな向けのお鍋。

レシピには記されていないが、酒粕はみそと混ぜる前に少量のだし汁を少しずつ加えて柔らかくのばすと、味噌や鍋のだし汁に馴染みやすくなる。味噌も京都の白みそとは言わないまでも、白い系統(例えば麦)のみそを使う方が相性がよいだろう。

f:id:mutsuki:201702kn

お酒をこよなく愛する身にも関わらず、粕汁がおいしいなぁと感じられるようになったのは、ここ数年のことなので人によって好き嫌いのわかれるお味だろうけれど、酒粕の出回る時期ならではのごちそうで、口の中に余韻がしばらく残るおいしさは格別。ぬるめに燗をした日本酒を飲みながら粕鍋を食べるのが楽しいのも年を重ねられたからだから、年を取るのもよいものだ。

今朝FMからNatalie Imbrugliaの"Torn"が流れて、映画のreality bitsの曲だったよねと懐かしくなったが、記憶が間違ったところで反応したようで、確認したところ映画と曲に数年時差があった。(あの映画のWinona Ryderは今みてもかわいらしいなぁ)何度も繰り返し聴いたサントラから一曲。

2月4日は立春大吉。あっというまに梅が、ついで桜が咲きほころぶ季節がやってくる。年度末決算や受験に加えてインフルエンザが猛威をふるう時期ではあるけれど、もうすぐ春がやってくるんだなとすこしでも穏やかな気持ちの週末を迎えられますように。


Lisa Loeb "Stay (I Missed You)" Music Video

<ごはん日記>

24冊目『毎日食べたくなる絶品鍋』より2回めはキムチ鍋

[24-2]『毎日食べたくなる絶品鍋』より2回めはキムチ鍋(p.20~)

  大庭英子著、 成美堂出版発行、 撮影 石井宏明、ブックデザイン 若山嘉代子 若山美樹、スタイリング 綾部恵美子、 2015年11月20日第1版発行

早朝散歩のときはそうでもなかったのに、時間が経つにつれ北風が強く冷たい木曜はキムチで温めてもらう。

調理時間:(きくらげを戻す時間は除き)20分ほど

主な材料:白菜キムチ、豚バラ肉薄切り、乾燥キクラゲ、春雨、小大豆もやし、鶏ガラスープ、酒、しょう油など

調理の流れ:鶏ガラスープを入れた鍋を沸騰させ、豚肉を入れ、調味料を加えてしばらく煮る。春雨、きくらげを入れて5分ほど煮た後、もやしとキムチを加える。最後にごま油をたらす。

出来上がった料理:「第1章 人気の三大鍋」しゃぶしゃぶ、寄せ鍋、キムチ鍋の中から、定番のキムチ鍋を作った。定番といっても、キクラゲや春雨が入ることで、いつもとがらっと表情が変わるから面白い。たった2つの食材なのだけれど、それぞれの持ち味が生かされていて、キムチ鍋との出会いが楽しいレシピとなっている。本書では一口大と記されているキクラゲは、細切りにして春雨と絡みやすいように仕上げたが、ぷりっとした食感と鍋の中に何か黒いものが浮いているというビジュアルもとても気に入る。真っ赤な出汁をすった春雨に、豚肉、大豆もやし、キクラゲをのっけて口にするといくらでも入りそう。〆はラーメンとレシピに記されているのは、更なる体重増加を生み出すので見なかったことに(笑)

f:id:mutsuki:201702kn

冷蔵庫に常備しているキムチの発酵が進むと鍋にすることが多く、これまで辛味が強くて両親の口にはあわなかったのだけれど、キムチの味を生かした春雨入りのこの鍋なら気に入ってもらえそうだ。次回帰省する際に作ってみよう。

職場で一大トンカツブームが巻き起こっている。事の発端は東京のおすすめ店を上司に尋ねたわたしなのだけれど、語り始めるときりがない程に奥が深く、面白く、そして聞いているだけで食べに行きたくなるのがトンカツ。京都に住んでいた時も東京に訪れる折りは食べ歩いていたトンカツの定番店は、かつて東京タワーの近くにあり今は池上に移転した「燕楽」、神田の「ポンチ軒」、高田馬場の「とん太」。穴場では三軒茶屋の「川善」も美味。あぁでも、久しく食べていない新潟市の「とんかつ太郎」のタレかつ丼も味を想像するだけでビールが飲めるくらいお気に入り。(画像は2012年のもの。やはり飲んでいた(笑))

f:id:mutsuki:20170203041410j:plain

<ごはん日記>

24冊目『毎日食べたくなる絶品鍋』より1回めはきりたんぽ鍋

[24-1]『毎日食べたくなる絶品鍋』より1回めはきりたんぽ鍋(p.42~)

  大庭英子著、 成美堂出版発行、 撮影 石井宏明、ブックデザイン 若山嘉代子 若山美樹、スタイリング 綾部恵美子、 2015年11月20日第1版発行

日差しや鳥の鳴き声は春を告げているけれど、まだ寒い間に小鍋に続き鍋料理を取り上げる。

調理時間:30分ほど

主な材料:きりたんぽ、鶏もも肉、ごぼう、まいたけ、長ねぎ、せり、だし汁、酒、みりん、しょうゆ

調理の流れ:出汁を入れた鍋を沸騰させ鶏肉を加え、表面の色が変わったら酒を加えしばらく煮る。調味料を加え、ごぼう、まいたけを入れ10分煮る。きりたんぽ、長ねぎを入れ柔らかくなったら最後にせりを散らせる。

出来上がった料理:初回は「第3章 今夜はどんな味?ーしょうゆ味の鍋ー」より秋田の郷土料理、きりたんぽ鍋を作る。しょうゆベースの出汁にごぼうとまいたけを入れて煮始めると美味しそうな香りが鍋蓋よりぷぅんと漂うのが先ずはごちそうなので、誰かと食べるときはそこから分け合いたいところ。野菜と鶏肉から出る旨味をたっぷりと吸ったきりたんぽをはむはむと食べ、出汁を飲むとほっこりする。

f:id:mutsuki:201702kn

生まれ育ちは京都だが、秋田の鍋料理はみんなが愛しくなるおしくなるおいしさ。いつも食後に飲む濃いめの紅茶を今夜はほうじ茶にしようと思わせるくらい。

なかなかのラガーマンに成長しつつある甥っ子が、私が以前よりやっていたスマホのオンラインゲームを始めた。ログインすると表示される得点がめきめきと伸び、ついに抜かれてしまったので、意地になって抜き返す。またすぐに巻き返されるだろうけれど、ちょっと悔しいのでもうしばらくあがこう(笑)

<ごはん日記>

23冊目『まいにち小鍋』より7回めは豚肉とトマトの重ね蒸し鍋

[23-7]『まいにち小鍋』より7回め(最終回)は豚肉とトマトの重ね蒸し鍋(p.20~)

小田真規子著、ダイヤモンド社発行、 撮影 高橋進、ブックデザイン 奥定泰之、スタイリング清野絢子、青木恭子 2016年11月17日第1版発行 2016年12月9日第2刷発行

昨日から一転して北風が冷たい火曜日。レシピを再現し始めて23冊目の本書より最後にお酒がすすむ絶品小鍋を再現。

調理時間:10分以内

主な材料:豚バラ肉薄切り、玉ねぎ、トマト、粒マスタード、しょう油、オリーヴ油、万能ねぎ

調理の流れ:フライパンに薄切りにした玉ねぎを並べ、食べやすい長さに切った豚肉、くし切りににしたトマトをのせ、水を加えてしばらく蒸す。火が通ったら調味料を混ぜ合わせたタレをかけて食す。

出来上がった料理:増え続ける体重対策にとレシピに豚バラ肉と指定されていたところを、肩ロースや脂身の少ない部位に代えて(たまに)使ってきたが、この鍋には絶対蓋バラ肉を使うべき。ほどよく蒸したお肉が柔らかくて、脂からでる甘みがほんとうに美味しくて、一口食べた瞬間にニンマリと笑顔になれるお味。火を加えた玉ねぎとトマトの甘みに、粒マスタードとしょう油という調味料を加えるとお酒が止まらなくなる。殿堂入りレシピに決定。

f:id:mutsuki:201701ptn

blogに取り上げる前に試験的に作り、あまりに美味しかったので、親戚宅で食べてもらったてもやはり好評を博したレシピ。時間をかけず、簡単で失敗無く、かつみんなで幸せなひとときを共有出来る料理を作れるのってとっても嬉しいことだなと久しぶりに実感できた。

まとめに代えて:本書は「第1章 帰って10分でポッカポカ!定番鍋」常夜鍋、湯豆腐などの11品、「第2章 家飲みにぴったり!おつまみ鍋」柳川鍋、アヒージョなど10品、「第3章 ひと手間かけて激うま鍋」ちゃんこ鍋、炊き込み御飯など11品、「第4章 疲れたときに効く!薬膳ヘルシー鍋」豆乳鍋、コラーゲン鍋など10品、「第5章 冷蔵庫がカラッポ!即席コンビニ鍋」肉豆腐、プデチゲなど8品の他に小鍋の味のつくり方、小鍋をつくる上で常備しておくと便利な食材、余った食材で火を使わずに作れるおつまみ、くし切り〜骨付き鶏肉の処理方法という包丁やキッチンバサミの使い方、鍋を堪能した後のオススメの〆まで料理初心者でも便利に使えるレシピ本となっている。第3章のみ2〜3人前で分量が指定されているが、それ以外は1人前で全てにカロリーも表記されているのは嬉しいポイント。スーパーを何軒もはしごして用意する食材もないし、風邪で体調を崩していたときでも食べたくなるような簡単で美味しそうな小鍋がたくさん紹介されている。

鍋料理の本は数多あるけれど、本書で「小鍋」というカテゴリーにこだわった理由があとがきにあるので引用して終わりとする。

大鍋と小鍋は、同じようでいて、料理としては大きく違っています。大鍋はたっぷりのだしに多くの具材を入れるので、いろいろな旨みが混じり合い、意外と味の特徴が出にくく、長く煮込むといわゆる「鍋の味」になることが多いものです。(中略)一方小鍋は、入れる具材や水分の量が限られ煮込む時間も短いため、具材そのものの旨みがダイレクトに鍋の味わいに影響します。それだけに、具材と調味料の掛け算により味わいに特徴が生まれ、味のバリエーションが豊富になるのです。(p.159)

<ごはん日記>