300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

51冊目『主役スープ150』から6回めは豚肉ときのこの梅肉スープ

[51-6]『野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150』より6回めは豚肉ときのこの梅肉スープ(p.66)

エダジュン著、 株)誠文堂新光社発行、 デザイン 萩原美和、撮影 福井裕子、スタイリング 木村遥、 編集 太田菜津美、2017年10月12日初版発行 

日中は暑いくらいだが、日が暮れるとまだ冷んやりする木曜はトロミのあるスープを再現。

調理時間:10分ほど(和風だしは取れているものとして)

主な材料:食べやすい大きさに切った豚バラ肉、筋を取った絹さや、種をとって叩いた梅干し、薄切りにしたしいたけ、ほぐしたしめじ、薄切りにしたエリンギ、和風だし、酒、しょうゆ、水溶き片栗粉、溶き卵。

調理の流れ:鍋に酒、和風だしを入れて火にかけ、ボコボコ煮たつ前に火を弱め、きのこ類を一気に、そして豚肉は温度を下げないように少しずつ加えて、しばらく煮る。キノコの良い香りがしてきたらしょうゆを注ぎ、鍋の中をよく混ぜながら水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。ぽこぽこと気泡が浮き上がるまでしっかりとスープが温まったら、溶き卵を回し入れて火からおろし、絹さやをのせる。器に注ぎ、梅肉をのせる。

出来上がった料理:「第2章 和風スープ」より、きのこをたっぷりと使った変わり種かき玉スープを再現した。

鰹にキノコの香りがふんわりとアクセントになり、和風だからこそはっきりと感じられる豚肉の甘みが嬉しくなるほど美味。歯ごたえのあるキノコ、ふんわりとした卵ととろりとしたスープを共に口に入れると、これまで食べたことは無いもののどこか懐かしい味が広がる。このままだととても優しいお味だが、途中から梅肉を崩すと、同じスープだとは思えないほどインパクトの強くなる。塩気もそうだが、酸味の役割ってすごいものだなぁと感心しながら、気がつくとお皿が空っぽになっているほどに不思議に癖になる美味しさ。

材料について、夏なら絹さやより大葉でも香りが高く食欲をそそるかもしれないが、絹さやのシャリっとした食感と若い青さも捨てがたく、この辺りはお好みで。しいたけ、しめじとレシピには記されているが野菜室にあったエノキと舞茸で代用。内容はさほど拘らず、キノコ類2〜3種類を混ぜられれば十分に美味しく出来る。 

一番注意すべきは、かき玉を作るプロセス。ほどよくトロミをつけた汁はしっかり熱くしておくこと。スープをかき混ぜながら溶き卵を注いだら、しばらく置くこと。すぐにかき混ぜてしまうと固まっていないためスープ全体が卵色に変わってしまい、作りたかったのはかき玉なのに…と、ちょっと残念な気持ちになる。 

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このスープは何回か作っているほどお気に入り。豚肉が入るからこそ程よくお腹が満たされる美味しさ。

 

諸々と立て込んで、15時過ぎにお昼を食べられることになったので、気になっていたもののなかなか足を運べなかった下北沢のカレー食堂・茄子おやじさんに行ってみた。空いているかと思いきや、この微妙な時間でも半分ほど席は埋まっているほどの人気店。吉本ばななさんや曽我部恵一さんも通われているお店だけある。開いている窓から室内にピューっと入ってくる風を感じながら、ほどよくスパイスの効いたカレーをほふほふ食べていると、大学時代から訪れていた下北沢での思い出がずわぁっと押し寄せて来て、今、ここにいる自分の姿がとても不思議と感じた瞬間に、何と無く、でもはっきりとした答えを得たような気がした。 

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Bruno Marsがさいたまスーパーアリーナ、 Ed Sheeranは武道館と今週も東京の音楽シーンは賑やかだが、懐かしの曲を。


Stars On 45 - Stars On 45 (Video)

<ごはん日記>

51冊目『主役スープ150』から5回めは麻婆豆腐のコク辛スープ

[51-5]『野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150』より5回めは麻婆豆腐のコク辛スープ(p.146~)

エダジュン著、 株)誠文堂新光社発行、 デザイン 萩原美和、撮影 福井裕子、スタイリング 木村遥、 編集 太田菜津美、2017年10月12日初版発行 

薄手ジャケットは少なくとも持ち歩いた方が吉な気温の月曜は、ピリリと辛いスープを再現。

調理時間:15分ほど(鶏だしは取れているものとして)

主な材料:豚ひき肉、絹豆腐、みじん切りにした香味野菜(長ネギ、生姜、ニンニク)、豆板醤、紹興酒、みそ、醤油、砂糖、水溶き片栗粉、花椒など 

調理の流れ:ごま油、香味野菜を入れた鍋を火にかけて、じっくりと炒めたら、豆板醤を加え赤い色が変わるまでさらに炒める。豚肉を入れ、最初はあまり動かさず強火で焼く。透明な脂が出てきたらひっくり返し、箸などで肉をほぐしながら炒める。紹興酒、鶏だしを注ぎ、くつくつ音を立て始めたら豆腐をスプーンですくって加える。豆腐がふっくらしてきたら、調味料で味を整え、スープを混ぜながら水溶き片栗粉を回し入れる。仕上げに花椒をふる。

出来上がった料理:「第4章 中華、韓国スープ」より基本的なポイントを押さえた麻婆豆腐風スープを再現した。

加える鶏だしの量を調整すれば、ごく普通の極旨麻婆豆腐として食べられるので、大切なポイントだけ復習する(レシピに記載されていないが、これまで数々の麻婆豆腐作り教室 !?に通って得た知識を含む)

・まずは香味野菜の香りを油に移す。

・次に豆板醤を加え炒めることで、辛さを引き出す。

・豚挽き肉を炒める際は、最初からかき混ぜずに、強火で焼くことで旨味を引き出す(メイラード効果

※スープではなく、麻婆豆腐として作るなら鶏だしの量、つまり煮込む水分量が減るので、豆腐は別鍋で茹でておく。

鶏もも肉と手羽先からとる出汁が美味しく無いわけがなく、それを存分に味わうためにはもっとシンプルなスープを紹介すべきなのだが、辛いものマニアで、中華大好きなわたしにはこのスープを回避できず(笑)少し身体が冷えた日にはこんな赤くて、辛い、とろんとしたスープが美味しい。

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ベースのレシピに醤油の分量を増やせを増やせば、人気の麻婆ラーメンに展開できる。エ?何?麻婆ラーメンという方向けに、お店を紹介するなら祖師谷大蔵のあかずきんさん。これを食べるためだけに祖師谷に行くほど美味しい。

 

軽くアルコールが残った身体がビクンと反応し、目覚し時計を確認すれば朝の5時。なんで起きたんだろう。もう一度眠ろうと目を閉じた瞬間に耳に入ってきたのは調子っぱずれの歌声。ご機嫌がゆえに大声で自分の歌を披露したくなっちゃった泥酔男性が、マンションの敷地内かごく近くに紛れ込んでいるようだ。10分ほど奇妙な節をつけた歌が聴こえた後、しばしの静寂。その後は管理人さんが通報する声、駆けつけた警察官が救急車を呼ぶ声が続き、なんとも賑やかな週の始まりとなった。酔いから覚めたらあの人、びっくりするだろうなぁ。

<ごはん日記>

51冊目『主役スープ150』から4回めはささみときゅうりの花椒スープ

[51-4]『野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150』より4回めはささみときゅうりの花椒スープ(p.154)

エダジュン著、 株)誠文堂新光社発行、 デザイン 萩原美和、撮影 福井裕子、スタイリング 木村遥、 編集 太田菜津美、2017年10月12日初版発行 

表参道では、半袖Tシャツ率が高くなってきて、早くも夏の気配が漂い始めている4月1週目は中華風のスープを。

調理時間:15分ほど

主な材料:鶏ささみ、太めの千切りにしたきゅうり、メンマ、塩、砂糖、酒、醤油、花椒など 

調理の流れ:鶏肉に調味料をもみ込み、しばらく置く。鍋に、酒、水、鶏肉を入れて火にかける。(※ささみをしっとり仕上げるために、途中で火を止め蓋をして、余熱で中まで火を通す)粗熱が取れたら、食べやすい大きさにほぐす。茹で汁のアクをとり、鶏肉、きゅうり、メンマを入れて温める。醤油、塩胡椒で味を整え、仕上げに花椒をふる。 

出来上がった料理:「第4章 中華、韓国スープ」より、ささみを茹でた汁をベースとした中華風スープを再現した。

きゅうりは食感を残すためにあえて大きく切るため、包丁仕事もあっという間に終わるし、少ない材料で低カロリーな一品を作れるので、覚えておくと便利。但し、この手のレシピは材料を厳選しているので、鶏ささみ肉、メンマ、花椒は揃えたいところ。(きゅうりが無ければ、サヤインゲンでも代用がききそう) 

レシピだけを読むと、あっさりとした味を想像されるかもしれないが、メンマの味が前面に出るので、ちょっとばかりジャンクで、例えば餃子を作ったときに添えると絶妙だと思う。台所に長く立つのが億劫な日は、このスープに春雨をぽとりと落とせば、花椒の香り豊かなとともに体もこころも満足できる。

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花椒は大好きな香辛料なので常備しているが、無い場合は挽きたての黒胡椒をたっぷりどうぞ。

 

このところかかりっきりになっている、大きな転機になりそうな仕事の話が、大きいが故にもたついていて、ひとりであれこれ対応策をいろいろ練っている間に頭のてっぺんからプスんと煙が出て、思考停止状態になる。いつもは寝て解決するが、今回ばかりは眠れそうにも無いので読書で気分転換。

『希望』というものはもともと、『物事がそうだから』持つ、というものではなく、『そうであるにもかかわらず』持つものだ。という、ミヒャエル・エンデのことばに出会う。そうね。現状、見通しはもうつかなくなりつつあるが、誰に何をいわれようとも、希望は失わずに生きていけるとよいな。

<ごはん日記>

51冊目『主役スープ150』から3回めはたことじゃがいものガルシア風トマト煮込みスープ

[51-3]『野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150』より3回めはたことじゃがいものガルシア風トマト煮込みスープ(p.21)

エダジュン著、 株)誠文堂新光社発行、 デザイン 萩原美和、撮影 福井裕子、スタイリング 木村遥、 編集 太田菜津美、2017年10月12日初版発行 

綿のシャツ一枚でも汗をかきそうな陽気の東京で、スペイン風スープを再現。

調理時間:25分ほど(野菜だしは、取れているものとして)

主な材料:一口大に切った茹でたこ、角切りにしたじゃがいも、黒オリーブ、斜め切りにしたセロリ、みじん切りにした野菜(玉ねぎ、にんにく、しょうが)、アンチョビ、トマト水煮、野菜だし、オリーブオイル、塩胡椒。

調理の流れ:鍋にオイル、香味野菜、アンチョビを入れて香りが立つまで火を入れたら、セロリと玉ねぎを加え、炒める。玉ねぎが透明になったら、ジャガイモを加えさっと炒め、トマト、野菜だしを入れてしばらく煮込む。最後にタコと黒オリーブを入れてさっと煮る。

出来上がった料理:スペインはガルシア州ではたこを使った料理が伝統的に作られており、それにインスパイアされたスープを紹介する。

真っ赤なトマトの中に浮かぶじゃがいもの黄色とたこの紫、オリーブの黒がまず食欲をそそる。スープを一口すすると、にんにくの香ばしさと、アンチョビのコクが、少し酸味のあるスープにアクセントを添えているのがよくわかる。但し、みじん切りにしたしょうがは存在感があり過ぎるので、おろして絞り汁だけにした方が隠し味としては有効な気がした。

たこのうま味とくにゅっとした食感とオリーブの苦味もあわさって、簡単な料理なのに、いろんな味覚を刺激されて、食べるのが面白くなる。

何度か書くが、野菜だしそのものがとても美味しいので、煮込み過ぎると硬くなってしまうたこの扱いだけ気をつければ(あとはしょうがの扱いの好みもあるが)美味しく仕上げられる。

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西日本のたこはこれからが美味しくなる季節。酢の物や炊き込みご飯ばかりでなく、スープにも使ってみよう。展開料理として、たこを一旦取り除いて少し煮詰め、フライパンに茹でたスパゲティとたこを加えて炒めても美味しい。

 

お花見とかこつけてお酒を飲んだり、屋外(京都なら鴨川沿い)でみんなで美味しいものを食べられたり、春の象徴ともいえる桜だけれど、あの薄い花びらの色がすこし艶っぽく、せつなげな様よりも、芽吹いた柳や楓のみずみずしさの方が好きだ(空から降って来そうな枝垂れ桜のたおやかさは別として)。水仙も良いなぁ。

迫り来る締め切りに怯えながら、たえず仕事に絡んだ何かしていないと不安になり、痩せるというよりはやつれて来た(笑)。そんな時は、ラジオから流れでてくる音楽に助けられることが多い。今日はプログレ時代のGenesisの曲"Jesus He Knows Me"


Genesis - Jesus He Knows Me (Official Music Video)

<ごはん日記>

51冊目『主役スープ150』から2回めは豚肉とキャベツのガーリックバタースープ

[51-2]『野菜たっぷり具だくさんの主役スープ150』より2回めは豚肉とキャベツのガーリックバタースープ(p.32)

エダジュン著、 株)誠文堂新光社発行、 デザイン 萩原美和、撮影 福井裕子、スタイリング 木村遥、 編集 太田菜津美、2017年10月12日初版発行 

飲み過ぎよりも、食べ過ぎにより寝込みがちだった今週の締めくくりは旬のキャベツを使ったスープ。

調理時間:15分ほど(野菜だしは、取れているものとして)

主な材料:短く切った薄切り豚バラ肉、食べやすい大きさに切ったキャベツ、薄切りにしたニンニク、野菜だし、酒、粗びき黒こしょう、塩、バター

調理の流れ:野菜と肉を切り、鍋にキャベツ、豚肉、ニンニクの順番に重ね、酒と塩をふり蓋をしてしばらく蒸し煮にする。キャベツがしんなりしたら、野菜だしを入れて静かに煮る。器によそいバター、黒胡椒をふる。

出来上がった料理:春は緑の野菜が美しく、冬を乗り越えて芽吹いた力ごと美味しい季節。みずみずしいキャベツを使ってごくシンプルなスープを再現した。

ニンニクが入るなら朝は避けたほうが良いかしら?と思われるかもしれないが、蒸らすことで特有の匂いはほとんど無くなり、代わりにスープにコクが増すので心配なく作ってよし。火入れの時間が少ないので、豚肉はふんわり柔らかく、蒸し煮にすることで引き出したキャベツの甘みも存分に楽しめる。

初回で取り上げた明太クリームスープと同様、こちらでも決めては最後にぽとりと落とすバター。プロはスープの塩加減を鍋の中でビシッと決めるので、仕上げに無塩バターを入れるし、本書でも無塩とされているが、お菓子を作る人以外で無塩バターを常備しているおうちは少ないだろうし、有塩でじゅうぶん。大丈夫。ただ、だからこそ器に注ぐ前の味見ではちょっと塩分薄めが正解。ふんわり乳製品の香りと全体をふんわり包み込んでくれるバターの優しさよ。 

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何度か書いたが、パンにはオリーブオイル派で、サンドイッチを作ったり、ホットケーキを焼く時以外に、バターを使うのはほぼ料理に限られる。でも、たまにちょっと背伸びをしたレストランでツヤツヤしたバターが出てくると、パンにたっぷりとつけて食べるのが、たまらない幸せ。

 

春になると陽気に誘われたのか、不思議な人を見かけることが多くなる。東京へと向かう新幹線でしきりに股間に手をやる女性(推定年齢30代前半)が隣に座ったり、ブツブツと何やら呟きながら、次々と不法侵入(どう考えても自宅ではない家の玄関)を繰り返すおじさんを見かけたり、きらきら華やかな人が目立ちがちだが、できれば距離を置きたくなる人も一定数いるのも東京。あぁ風変わりな人がいるけれど、まぁそれはそれと許容しつつも関わり合いを避けるから、本当に困っている人も個性的な人と認識して、たいへんなときに助けられなかったりもする。 7月頃は早朝散歩をしていると、泥酔して道端に寝落ちしている男性を多々見かけるので、その度にどうしようと悩むが、女性がひとりで解決しようとするにはリスクが大きすぎるからほって置きなさいと皆から助言されている。何人かで連れだっていたり、男性と一緒なら何とかできたかもしれないのに、起こしてあげられなくてごめんなさいが積もっていく。

東京では今週末がお花見日和。今年も淡い青い空の下に薄い花の色が映える頃になった。外で移ろいゆく季節を感じながら素敵な時間が過ごせますように。

Keep on smiling, what we go through.


Third Eye Blind - "Semi-Charmed Life" [Official Music Video]

 

<ごはん日記>