300と数十日の食卓

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34冊目『31日分の定食カレンダー』から最終回は切り身魚とあさりのナンプラー蒸し定食

[34-7]『ワタナべマキの31日分の定食カレンダー』より最終回は切り身魚とあさりのナンプラー蒸し定食(p.40~)

ワタナベマキ著、株)日本文芸社発行、 アートディレクション・デザイン 鳥沢智沙、 撮影 広瀬貴子、スタイリング 池水陽子、編集 飯村いずみ、 2016年9月20日初版発行

 かろうじて水玉は落っこちてこなかったけれど、空気が水っぽい火曜は魚と貝のダブル使いが美味しい定食を。

調理時間:25分ほど(乾燥きくらげを戻す時間を含め)

主な材料:[主菜:切り身魚とあさりのナンプラー蒸し] 白身魚、あさり、香菜、にんにく、酒、ナンプラーなど [副菜:きくらげときゅうりの黒酢あえ] きくらげ、きゅうり、すりおろししょうが、黒酢、しょう油、白いりごま、赤唐辛子など

調理の流れ:[副菜] きくらげはぬるま湯でもどしてから熱湯でさっと茹で、粗熱がとれたら細切りにする。縦半分に切ったきゅうりは、種をこそげおとした後に斜め薄切りにして、塩揉み。水気を絞る。食べる直前にきくらげ、きゅうり、合わせ調味料であえる。 [主菜]  白身魚は両面に塩をふりしばらく置き、水分をキッチンペーパーを拭う。フライパンにごま油、つぶしたにんにくを入れ香りがたつまで加熱できたら、白身魚を入れ焼き色がつくまで両面を焼く。アサリ、酒、ナンプラーを加え蓋をして蒸す。仕上げに粗みじん切りにした香菜を添える。

出来上がった料理:ほんのり温かい蒸し物に、きくらげの食感と酸味が美味な酢の物を添えたアジアな定食。

白身魚とアサリにお酒、ナンプラーをまぶして蒸すという間違いなく美味しい蒸し物。香菜の香りと、ちょっとクセのある味もナンプラー風味にはぴったりで、ぐんぐんとお酒が進む。よい出汁が出るので、ごはんは炊かずに〆として素麺や細めのおうどんを加えてさっと煮るなり、炒めるなりすると美味。

アサリの殻を外して、ほふほふ口にほおばりながら、箸休めで食すのはキクラゲのこりこりときゅうりのシャキッとした食感が楽しい酢のもの。何度か書いたがこの本は、副菜の当たり率が高い。

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これから暑くなると、あさりの砂だしをする際は時間をかけすぎないこと。人間だけじゃなくて、あさりも暑さには弱いので。

まとめに代えて:定食仕立てにして31日分の献立を紹介している本。後半に残りがちな野菜のおかずの章があり、材料別indexもついているのはとても使いやすい。

悩む人の多い献立の組み立て方として、本書では①主菜を決める。ここが肝心で、肉にするか魚にするかから始めると楽。②調理法を分ける。主菜を蒸すなら副菜は和えもの等、調理法を分けると定食全体の味にメリハリが出来るし、主菜を作っている間に副菜が出来るなど調理時間も短縮出来る。③酸味のあるおかずを一品入れる。例えば酢の物を一品つくれば、他の料理と味が被ることは無いし、口直しにもなり、野菜も沢山とれる。④野菜をたくさん!乾物・海藻を取り入れる。旬の野菜を積極的に取り入れ、ひじき、切り干し大根やわかめなどを加えることで、旨味や栄養価を高めることが出来る。⑤調味料に頼り過ぎない。しらす、桜えびを入れると旨味が出るので、素材の味がいき、減塩も出来る。⑥調理法はシンプルに。焼くだけ、蒸すだけなど出来るだけ1ステップで調理をする。

その他、手早くスマートに料理を進めるためには、○野菜→肉の順に切る。○炒め物の調味料は混ぜ合わせておく。○乾物は最初にもどす。○温かいおかずを最後に仕上げる。というポイントも記されていて、各レシピには段取りよく作るためのタイムテーブルもついているので、お料理初心者には有り難い。材料は全て2人分なので新しい暮らしを始めた二人にも、材料を半量しても作りやすい分量なので、1人暮らしの自炊を始めた方にも使いやすい。

2017年に入ってから単著だけでも既に6冊の料理本を出版されているワタナベマキさんは、グラフィックデザイナーから料理家に転身というキャリアをもっておられる。サルビア給食室という冠で本を出されていた時からちょっとした野菜のおかずが簡単で、美味しくてよく作ってたものだが、その頃から今にまで、よい意味でプロっぽくなり過ぎず、親しみやすい料理が多い。(転職されるにあたり、調理の専門学校は卒業されている)最近刊行された中では、お弁当作りにも使える副菜だけを集めた『ひとつの野菜で作りおき』もおすすめ。

さて、明日からは、遂にそこにか!と恐れられる(笑)ジャンルを取り上げる。

 

今、NHKの「びじゅチューン」という番組が人気だそう。世界の名画や美術を歌と動画で紹介するという内容なのだが、作詞、作曲、歌に動画と全てを手がけるのは井上涼さんというアーティストさん。初めて観たけれど、この「鳥獣戯画ジム」では、クローゼットには企みのドレスなんて少しブラックなことばも織り込まれていて好み。こういう作品を通じてアートと繋がり始められるのも良いね。


「鳥獣戯画ジム」

気になった方用に、過去の作品が観られる番組の公式サイトも。

www.nhk.or.jp

<ごはん日記>