300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

26冊目『野菜のごちそう』から7回めは麻婆春雨

[26-7]『野菜のごちそう』より7回めは麻婆春雨(p.28~)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

お昼過ぎからぽつぽつと雨が降り出した月曜日は春雨料理を作る。

調理時間:10分ほど(春雨を戻す時間は除く)

主な材料:春雨、干し椎茸(戻してみじん切り)、くるみ(みじん切り)、たけのこ(みじん切り)、長ネギ(みじん切り)、生姜(みじん切り)、豆板醤、甜麺醤、しょう油、日本酒など

調理の流れ:春雨は水に漬けて戻す。その間に野菜を切り、炒め用と煮立て用の調味料をそれぞれ合わせておく。鍋を熱し、干し椎茸、くるみ、たけのこをさっと油で炒め、炒め用の調味料を加え水気が飛ぶまで火を入れる。煮立て用の調味料を入れ沸騰したら春雨を加えて煮る。煮汁がある程度減ったら、長ネギと生姜を加える。

出来上がった料理:「第1章 味噌・しょう油味」より麻婆春雨を再現した。普段は水洗いのみで使っていた春雨だが、水でじっくりと浸す。その30分の間に他の料理の支度や、野菜のみじん切りを済ませてしまおう。皮をむいたり、固くて切りにくい素材は無いので春雨さえ戻れば後はほとんど手をかけずに仕上げられる。

くるみとたけのこの歯ごたえと干し椎茸の旨味に味噌としょう油が合わさって、お肉が入っていないことが気にならないくらいに美味しく、するする口に入る。先日再現した味噌ラーメンと同じく、こちらもとても優しいお味で、小学生くらいからお年を召した方まで安心して、満足して食べられる一品。

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丁寧に時間をかけて戻した春雨は、火の通し方のほんの少しのコツでぷるんとした食感がたまらない仕上がりになり、お皿に盛りつけるまでに味見が止まらなくなる。そうか、こうすれば春雨の魅力をより堪能出来るのかと納得。

ほぼ毎日ウィスキーバーに通う父親を持ったおかげで、バーには深く馴染んでいて旅先などでも一人でふらりと飲みに出かけられる。生まれ育った京都に比べるとまだまだ手薄だが、東京でもここならばというバーに何軒か出会う事が出来た。『情熱のナポリタン bar追分』(伊吹有喜著、ハルキ文庫刊)の舞台モデル(一部分)となるバーもそのうちの一軒で、マスターからこの作品に関わった逸話を直接聴くことが出来た故に愛着が増したシリーズ。

本作中にハンバーガーの美味しいボウリング場が笹塚にあると記されていたので食べに行ってきた。包丁で切らずに割られている新じゃがいものフライ、サラダ、スープと食後の飲み物までついてくるハンバーガーランチは、これがボウリングしながらや、併設のカフェで食べられるならそれだけで笑顔になれる美味しさ。

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情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)

情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)

 

 <ごはん日記>

26冊目『野菜のごちそう』から6回めはメキシカンぶっかけ素麺

[26-6]『野菜のごちそう』より6回めはメキシカンぶっかけ素麺(p.40~)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

寒くはないけれど、暖かくもない金曜日は久々にアボカドを使った料理を作る。

調理時間:10分ほど(野菜をマリネする時間はのぞき)

主な材料:素麺、つゆの素(別レシピ)、トマト(湯むきしてから角切り)、アボカド(角切り)、玉ねぎ(みじん切り)、大葉(みじん切り)、にんにく(すりおろし)、レモン汁、一味唐辛子など

調理の流れ:野菜とオリーブ油、レモン汁、塩、一味唐辛子をボウルに加え混ぜ冷蔵庫でしばらくマリネする。茹でて、水洗い、水気をきった素麺を器にもり、つゆを注ぎ野菜をのせる。

出来上がった料理:「第1章 味噌・しょう油味」にある「つゆの素」を作り、アレンジとして掲載されているみぞれ雪そば、長芋の立田揚げ、メキシカンぶっかけ素麺の中から選んだ品を再現した。干し椎茸と昆布を漬込むつゆの素は、かつお節を入れなくともこれだけコクのある味が出せるのだとビックリさせられる美味しさだし、2ヶ月程は冷蔵保存出来るので、これからやってくる素麺など冷たい麺類の季節に大活躍しそうで楽しみ。

冷蔵庫でしばらくマリネすることでまろやかになったトマト、玉ねぎにトロンとしたアボカドを麺と一緒に口にほおばり、噛み締めると、つゆの程よい甘さと野菜のそれぞれの持ち味が舌の上で広まって、それはそれは幸せな気分にさせてくれる。柿ピーを食べるときのように、トマトとアボカドをどの配分で食べると一番美味しいのかと考えながら箸で具材を選り分けるのも楽しい。

メキシカンと銘打たれているが忘れてはいけないのが、香りと特有の風味豊かな大葉と一味唐辛子の存在。ドライバジルでも代用は出来るだろうけれど、生のそして新鮮な野菜の香りには敵わないので、自分ひとりなら構わないけれど、誰かに食べてもらいたいのなら大葉は必要。

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軽めに食べるつもりが、箸を止められず完食するほど美味しくて、お気に入りのレシピ。

2月が足早に過ぎたからといって、仕事の量が減る訳でもない3月は猶予無い締め切りが、年度末が迫ってくる。あれもしなきゃこれもしなきゃと慌てるなか、町を歩いていると春からの新生活に夢を膨らませる人たちのお引っ越し風景がちらほら見受けられて、初々しい気持ちが思い出される。若いからと許されることも、若さだけでは許されないこともあるなんてもっと大人になるまでわからないかもしれないけれど、いろんなことを乗り切れていけばいいね。みなさまよい週末を。

<ごはん日記>

 

26冊目『野菜のごちそう』から5回めはアラブの豆&フェタサラダ

[26-5]『野菜のごちそう』より5回めはアラブの豆&フェタサラダ(p.110~)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

朝から散歩で手がかじかむ木曜は、彩りのきれいなサラダを作る。

調理時間:15分ほど

主な材料:ひよこ豆、玉ねぎ(みじん切り)、トマト(角切り)、セロリ(スライス)、パプリカ(角切り)、パセリ、フェタチーズ、カレー粉など

調理の流れ:ボウルに軽くつぶしたひよこ豆、野菜とフェタチーズを入れ混ぜる。オリーブオイルとカレー粉をフライパンに入れて熱し、香りが立ったらボウルに入れる。レモン汁、オイルを加えて味を整える。

出来上がった料理:「第4章 チーズ・乳製品」より何種類もの生野菜とひよこ豆の入ったサラダを再現した。トマトの赤、パプリカのオレンジ(色は何色でも可)、フェタチーズの白にセロリの薄い緑と色とりどりで見ただけでも元気になれる。野菜だけだと少しぼんやりしていた味が塩分の強いフェタチーズを入れることでぐっと引き締まって、暑い季節だとこれを肴にビールがすすみそう。余ればカレー料理のつけそえや、本書に記されているようにピタパンに入れても美味。少なくとも2日間は冷蔵保存出来るので、副菜に彩りが欲しい時や葉野菜がストックに無い時などに使えて便利。

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時間が経つごとに野菜から水分が出て、代わりに野菜に味が入り全体が馴染んでいくので、出来立てよりも少しおく方が美味しい。好みにもよるが。

久しぶりに実家の母より荷物が届いた。前日に荷物の中身についてかかってきた電話で「美味しそうなお肉が買えたから入れておくけれど普通便でいいやんね?」と問われ、「生のお肉を入れるのならどうか冷蔵便にしてください」と懇願し、なんとかクール便にて配送していただけた。保冷バックに保冷剤を入れれば、なんとかなると思い込んでいるところが非常に恐ろしい。

<おうちごはん>

26冊目『野菜のごちそう』から4回めは怪味味噌ラーメン

[26-4]『野菜のごちそう』より4回めは怪味味噌ラーメン(p.98~)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

夜から久しぶりに雨が降り出した水曜は、久しぶりにおうちラーメンを作る。

調理時間:10分以内

主な材料:[怪味ソース]練りごま、しょう油、砂糖、酢、ごま油、ラー油、香味野菜 [味噌ラーメン]中華麺、日本酒、味噌、トッピングの野菜など

調理の流れ:[怪味ソース]練りごまに砂糖を混ぜてから、他の液体調味料を少しずつ加えてのばす。[味噌ラーメン]トッピングの野菜を準備する。鍋に入れた水が沸騰したら日本酒と怪味ソースを加えて再沸騰させる。火を止めてから味噌を溶き入れ、丼に茹でた中華麺、スープ、トッピングを盛りつける。

point:練りごまに調味料を混ぜる際は液体を一気に入れるよりも、しょう油などを少しずつ加えていくるほうが、溶きやすい。ごま油とラー油は最後に。

出来上がった料理:「第3章 塩分・オイル味」から先ずは四川のソースを作り、アレンジレシピの味噌ラーメンを再現した。動物性の材料はいっさい入らないのでとても優しいお味に仕上がる。最初の一口二口はなんだか物足りないなぁと感じられるかもしれないけれど、麺を食べ終わりスープまで飲み進めた時に、ほおっとため息がでる美味しさ。こういうものを口にすると普段、いかに添加物や、パンチの効いた味のものを食べているのか気づく。

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トッピング以外はほぼ包丁を使わない上に、練りごまとお味噌の栄養分も摂れるので、深夜ごはんにも夜食にも使える。

酔っぱらうと〆にラーメンが食べたくなり、翌朝深く後悔するはめに陥ることが多々有るが、これからはもう大丈夫。いや、だいたい深夜に食べなきゃいいじゃんと突っ込まれそうだが、そういう理屈を越えたところにあるのが酔っぱらい(笑)

雨のしめった香りが換気扇を通して部屋に入ってくる。雨が空からぽつぽつ降ってくるのが好きなので、天気予報に傘マークがついていても気にならない(着物をきる機会は別として)。以前の職場で廊下を歩きながら上司と「雨が好きなんは農耕民族やなぁ、私は狩猟民族なので嫌いやわ」という会話を交わしたことが時々ふと思い出される。自分だけでは知り得ない、気がつけないことが他の人によって明快になる瞬間があって、人と交わるのは面白い。

<ごはん日記>

26冊目『野菜のごちそう』から3回めはこんにゃくの甜麺醤炒め

[26-3]『野菜のごちそう』より3回めはこんにゃくの甜麺醤炒め(p.26)

 宮本しばに著、株)旭屋出版発行、 撮影 野口さとこ 宮本しばに、編集 松成容子、design 有)コーズ、  2013年11月1日初版発行

2月も終わりというのに寒い火曜はお酒の肴にもぴったりな極上の炒め物を作る。

調理時間:15分ほど

主な材料:こんにゃく、シイタケ(そぎ切り)、長ネギ(斜め薄切り)、豆板醤、甜麺醤、にんにく、しょう油、日本酒、砂糖など

調理の流れ:こんにゃくは包丁で浅く切り目をつけたあと、味が入りやすいように断面を不揃いにするため手で割いた後、塩揉みし、水で洗ってから熱湯で茹でる。その間に炒め用の調味料、仕上げ用の調味料をあわせる。油を熱した鍋でこんにゃくを入れ焼き色がつくまで炒められたらシイタケを加え、油をまとったら、炒め用の合わせ調味料を加えて更に炒める。ねぎを入れて柔らかくなったら仕上げの調味料を加える。

point:炒め用の調味料(豆板醤など)は具材の隙間に入れ、しばらく油で熱すると辛さと風味が増す。

出来上がった料理:「第1章 味噌・しょう油味」より大好物の食材こんにゃくを使った炒め物を再現した。最近は下処理不要のこんにゃくも増えているが、丁寧に昔ながらに作られたこんにゃくを好むので、下処理はきちんと行う。揉み込んだ塩を洗い流し、熱湯で茹でるくらいなのでさほどの作業ではないけれど、ここを省くかどうかで仕上がりに響いてくるので、出来ることなら省かずに。

甘辛い味噌で炒めたこんにゃくのぷりっとした食感とシイタケのじんわりした甘みと水分が口の中に広がると、わわわ!これは美味しい!とお箸もお酒も止まらなくなる危険な一品。2〜3日の保存はきくので多めにつくっておけばお弁当にも、帰宅してすぐに飲みたい日にも至極便利。

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しょうゆ、出汁と赤唐辛子で味つけるこんにゃくのピリ辛煮は家族の大好物なので、帰省中に必ず一度は作る。このレシピに出会えたので、今後はこの味も時々京都の食卓に取り入れたいものだ。

作家、著名人の丼をめぐるエッセイ50篇が集められている本を読んだ。親子丼や天丼は時々食べるが、例えばカツ丼をお店で注文することはほぼ無い。先日記した新潟のタレカツ丼は別として、せっかくカリッとあがったトンカツをなぜ卵でとじなければならないのか納得出来ず長く口にしていなかったのだが、綴られているカツ丼を巡るエピソードを読み進むにつれ無性に食べたくなってきた。このところ近所のおそばやさんの前を通るたびにウィンドウでメニューをじっと眺めるものの、お店に入るまで未だ至らず。長年知らん顔をしていた食べ物が実はとっても好みの味だったらどうしようとすこし不安になってしまうのだ。桜が咲くまでには必ず、のれんをくぐろう!

 <ごはん日記>