300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

43冊目『おうちで美味しい韓国ごはん』から5回めはプルコギキンパ

[43-5]『おうちでおいしい韓国ごはん』より5回めはプルコギキンパ(p.118)

重信初江著、 株)主婦の友社発行、 デザイン 釜内由紀江、清水圭、撮影 土屋哲朗、山田洋二、佐山裕子、スタイリング 二野宮友紀子、坂上嘉代、編集 町野慶美、 2017年8月31日初版発行

やや厚手のアウター、口元はマスクという姿の人が増えてきた火曜は巻き寿司。

調理時間:10分以内 

主な材料:牛細切れ肉、市販の焼肉のたれ、棒状に切ったプロセスチーズ、細かく切り水気を絞ったキムチ、全形の焼き海苔、大きめにちぎったサニーレタス、青じそ、マヨネーズ、ごはんなど。

調理の流れ:ボウルに牛肉を入れ焼肉のたれを加え、よく揉み込み、しばらく置いたのち焼く。海苔より一回り大きくラップを切った上に海苔をおき、巻き終わりの部分を少し残し、ご飯を薄く敷き詰める。サニーレタス、青じそ、マヨネーズ、チーズ、キムチ、牛肉をのせて手前からくるくると巻く。(巻き終わりは全体をしっかり締めるように巻くと綺麗に仕上がる)巻き上がったら海苔の上からごま油を塗る。

出来上がった料理:「第5章 一皿あれば大満足の味!シンプルに味わうごはんとめん」よりみんなが大好きなプルコギを具材にした巻き寿司を再現した。

わざわざ肉を買ったり焼かずとも、もしも前日に作ったプルコギが残っているならそれを活用すれば良い。でも、このために牛肉を買いに行っても十分に満足できうるほどに間違いのない美味さ。そして、これは自分のためじゃなくて、食べてくれる人への思いやりで成り立っている料理でもある。一人で食べるなら丼に具材をちりばめたらいいけれど、時間のない誰かのために、お腹が減って堪らない人のためにあらかじめ用意しておけて、手をほとんど汚さずににパクッと食べられる一品。おにぎりもそれは便利だけれど、なま野菜、発酵食品、牛肉にごはんも一度に食べられるのは巻き寿司ならではで、本当にとっても便利なアジア料理。

ラップで巻き寿司を作るのは少し緊張するかもしれないけれど、マヨネーズが入っていたり、まとまりやすい具材が多いので躊躇なく、くるっと巻いてみよう。肝心なのは最後の巻き終わりで、手前に海苔をぎゅうっと引き寄せるように締めること。大丈夫。ロールケーキを巻くより簡単。巻き終わったらもう安心!と思われるかもしれないが、最後の難関は海苔巻きを包丁で切り分けること。端から切り始め包丁を動かす力加減を推し量ろう。最初の一切れは味見用に、ふた切れめももしかしたら少し潰れるかもしれないけれど、その次は美味しそうな断面が待っている筈。

f:id:mutsuki:201710pk

昨日のビビンめんと同じく、このキンパもお店で食べたり買ったりするものだと思い込んでいたが、韓国では家庭料理。材料も入手しやすいし、簡単においしく作れるんだなぁ。

 

祖母がとても料理好きだったので、遊びに行くと巻き寿司をささっと作って出してもらったのを今でもよく覚えていると母の親友から聞く。残念ながらわたしの中に海苔巻きの記憶がないので母にたずねてみたら、よく作ってくれていたから娘のわたしも昼ごはんに時々作るわよと言う。あれ?わたしは食べさせてもらったこと無いですが?と聞き返そうとしたが、せっかちな父のために作る料理なのだろう。昼食後は必ず果物を用意し、食事を済ませて自室に戻った父のところに運んで行く姿を思い出しながら、きっとそういうさりげないけれど、思いのこもった料理なのだろうと思い当たる。

 

久しぶりに聴いたけれど、空の高い秋はこんな音が似合う。


Quincy Jones & Tevin Campbell - Tomorrow (A Better You, Better Me)

 

<ごはん日記>

 

 

 

43冊目『おうちで美味しい韓国ごはん』から4回めはビビンめん

[43-4]『おうちでおいしい韓国ごはん』より4回めはビビンめん(p.124)

重信初江著、 株)主婦の友社発行、 デザイン 釜内由紀江、清水圭、撮影 土屋哲朗、山田洋二、佐山裕子、スタイリング 二野宮友紀子、坂上嘉代、編集 町野慶美、 2017年8月31日初版発行

夜半は雨風ともに凄まじかったが、朝は名残の風が通りを吹き抜けるくらいで、昼前よりからりと晴れた月曜は冷たい麺を。

調理時間:15分ほど 

主な材料:韓国冷麺(あれば)、薄切り大根、薄切り人参、ゆで卵、薄切りリンゴ、市販のチャーシュー、酢、塩、コチュジャン、醤油、ごま油、砂糖など

調理の流れ:野菜を切り、酢と塩を混ぜ合わせたボウルに浸けおき、出てきた水気を絞る。コチュジャンなどのかけタレの調味料を混ぜ合わせておく。冷麺を茹で、冷水でしめて器に盛り、野菜、チャーシュー、卵、かけタレをのせる。

出来上がった料理:「第5章 一皿あれば大満足の味!シンプルに味わうごはんとめん」より、韓国料理店に行くと必ず頼むビビンめんを再現した。

麺が主役なのに、食べ終わるとぽりぽりとした食感の大根と人参のナムルの甘みや美味しさがあとを引く美味しさ。チャーシューの醤油で煮込んだお味も、薄く切ったリンゴの爽やかな甘みも麺と一体になって、箸を運んでいる間中、にへらと笑みが浮かぶ。ビピンバやナムル、韓国冷麺は頻繁に作るが、ビビンめんってこんなに簡単にお家で出来てしまうのか!と嬉しくなる。辛味も自在に操れるので、オススメ。

レシピや通常お店で提供される時にのっているゆで卵だが、消費しなくてはならない温泉卵があったので、今回はそちらを使った。ねっとりとした黄身が赤く染まった麺に絡んで、これはこれで美味しい。

f:id:mutsuki:201710bpn

ほどほどに努力はしているつもりなのに、体重は一向に落ちてくれないので、麺を少なめにしてレシピ外のもやしのナムルを加える。

 

週末は予定をこなした後、紀伊国屋書店新宿本店へと向かう。北村薫さんの<円紫さんと私シリーズ>最新刊の『太宰治の辞書』刊行記念で、歌人・穂村弘さんとのトークイヴェントがあるなら、時間をどうにか捻出してでも行かねばならぬ。前作『朝霧』より17年ぶりに執筆された同シリーズだが、なぜ今になって?という質問から、表現というものの残酷さについて、私が学生時代より敬愛する高橋睦朗さんとのエピソードや、松本清張、折口信夫にまで話が及び、かつての文学少女としては堪えられない時間を過ごさせてもらった。書かれた言葉のみならず、会話を交わす上での言葉の選び方がさらっとしているようで実に丁寧で、耳を通じてすうっと心に届く。

www.tsogen.co.jp

<ごはん日記>

 

 

 

 

43冊目『おうちで美味しい韓国ごはん』から3回めは韓国風ナポリタン

[43-3]『おうちでおいしい韓国ごはん』より3回めは韓国風ナポリタン(p.129)

重信初江著、 株)主婦の友社発行、 デザイン 釜内由紀江、清水圭、撮影 土屋哲朗、山田洋二、佐山裕子、スタイリング 二野宮友紀子、坂上嘉代、編集 町野慶美、 2017年8月31日初版発行

雨が止んでいる間に外を歩いているとうっすら汗をかくけれど、降り出すと肌寒いというアウター選びに悩む金曜はストック食材で出来る麺料理を。

調理時間:20分以内 

主な材料:1.7mmほどの太めのスパゲティ、薄切り玉ねぎ、薄切り赤パプリカ、斜め切りウィンナー、粒コーン、スライスマッシュルーム缶、コチュジャン、トマトケチャップなど

調理の流れ:スパゲティは外装の時間通り茹で、ざるにあげ油をまぶす。(*茹で汁少々はとって置く)野菜とウィンナーを切る。油を引いたフライパンに玉ねぎとウィンナーを入れてしばらく炒めてから、赤パプリカを加えてさらに炒める。全体に油が回ったら調味料を入れて全体を混ぜ合わせながら炒める。スパゲティの茹で汁とスパゲティを加えてさらに炒め、麺がソースに絡んだらコーンとマッシュルームを入れてサッと混ぜる。

出来上がった料理:「第5章 一皿あれば大満足の味!シンプルに味わうごはんとめん」より、初めて作る、初めての味、韓国風ナポリタンを再現した。

調理の流れで記した手順でケチャップとコチュジャンを入れるタイミングが本書のレシピとは異なるが、赤い調味料を具とともに先に炒める方がケチャップの甘さ、コチュジャンの辛さを引き出せるし、麺にも絡みやすいように感じられたのでそのようにした。辛みについては舌が相当麻痺しているので、ほぼ感じられなかったが、全体としてキリッとしまった味に仕上がった。それよりも粒コーンの甘みがナポリタンのピリ辛さを際立たせていて、歯ごたえも面白く、なるほどね、これは美味しい!と納得させられる。

f:id:mutsuki:201710kns

黄色がアクセントになるので、今度定番のナポリタンにも粒コーン缶を入れてみよう。

 

近所に流れる本当に小さなせせらぎがあって、夏祭りの翌日から赤い金魚が10匹程度泳ぎ出すようになった。屋台ですくったものの家庭では飼えなくて放流したのだと想像するのだが、最初は群れをなしていたのに季節を越えてだんだんと数が少なくなり、今日目視で確認できたのは2匹だけだった。数は少なくなってもたくましく泳いでいる姿をみると安心して、いつもふぅんわりと元気をもらえる。越冬できるかな。できれば良いな。

この週末は台風が来るようで、予定のある人、お仕事の人には厄介だろうけれども、大切な家族や好きな人、友だちと同じ空間を共有したり、美味しいものを一緒に食べられる時間が訪れますように。そして、ひとりはひとりで過ごせるならではの良さもある。素敵な休日を。

<ごはん日記>

 

 

 

 

43冊目『おうちで美味しい韓国ごはん』から2回はプデチゲ風ラーメン

[43-2]『おうちでおいしい韓国ごはん』より2回めはプデチゲ風ラーメン(p.127)

重信初江著、 株)主婦の友社発行、 デザイン 釜内由紀江、清水圭、撮影 土屋哲朗、山田洋二、佐山裕子、スタイリング 二野宮友紀子、坂上嘉代、編集 町野慶美、 2017年8月31日初版発行

都内の最低気温が10度を下回った朝は気温よりも雨が冷たくて、そんな日には温まる麺料理を。

調理時間:10分以内

主な材料:ザク切りキャベツ、斜め薄切りねぎ、斜め薄切り魚肉ソーセージ、そぎ切りさつま揚げ、醤油味インスタントラーメン、コチュジャン、白菜キムチ、ピザ用チーズ

調理の流れ:野菜、魚系の練り物、キムチの順に切る。鍋に湯を沸かし、ソーセージ、さつま揚げを入れ、再び沸騰したら麺を加え、一混ぜしてからコチュジャンを溶き入れる。麺がやわらかくなりかけたらキャベツ、ネギを加えて火を止め、添付のスープの半量を加え混ぜる。器に盛り、キムチ、チーズをのせる。

出来上がった料理:「第5章 一皿あれば大満足の味!シンプルに味わうごはんとめん」より、普段は鍋料理として馴染みのあるプデチゲをより手軽に味わえるラーメンを再現した。

ランチョンミートやソーセージを入れることが多いプデチゲと異なり、このレシピでは具材を魚肉ソーセージとさつま揚げという魚のすり身でまとめる。豚生肉を使わないと、包丁とまな板の消毒も気を使わなくて良くて、それだけでかなり楽ちん。これからくるおでんの季節には冷蔵庫にさつま揚げがあることも多くなるだろうから、たまには韓国風にアレンジしてみては。

肝心のお味。コチュジャンスープで煮込んだ練り物は、フニフニと柔らかく、口に入れると辛みとともにすり身独特の旨みが広がって、とても美味しい。キムチの酸味は欠かせないし、スープに溶け込んだチーズの濃厚なコクも相まって、鍋じゃなくてラーメンとしてならより時短で簡単に作れ、この幸福な満腹感をもたらしてくれる、本格的に寒くなる前にはもってこいの一品。

f:id:mutsuki:201710pkr

レシピの材料の他にニラも入れると、緑で見た目は随分引き締まる。 

 

旅行から帰ると、5年間以上ほとんどやりとりをしていなかった友人や知人より立て続けに連絡が入り、覚えてくれていたこと、頼ってくれることが嬉しくて、ツテをたどりつつなんとか諸々のご要望に応えたり、予定を淡々とこなしているうちに気がついたら木曜になっていた。

 今夜もやったが、ぺらんぺらんに酔っ払ってメッセージに返信する癖は治そう(朝スマートフォンを確認してビックリするから)。いや、その前に、ひといきついた途端うずき始めた頭痛を治そう。

<ごはん日記>

 

 

 

43冊目『おうちで美味しい韓国ごはん』から初回はキムチチム

[43-1]『おうちでおいしい韓国ごはん』より初回はキムチチム(p.60)

重信初江著、 株)主婦の友社発行、 デザイン 釜内由紀江、清水圭、撮影 土屋哲朗、山田洋二、佐山裕子、スタイリング 二野宮友紀子、坂上嘉代、編集 町野慶美、 2017年8月31日初版発行

予想通り気温ががくんと下がった金曜は、これから食べたくなる韓国料理を。

調理時間:1時間ほど(豚肉の血抜き時間を含め)

主な材料:白菜キムチ(あれば古漬け、かつ株のまま)、豚スペアリブ、水、酒、醤油。

調理の流れ:スペアリブをたっぷりの水につけて血抜きをした後水気をきる。フライパンにスペアリブ、調味料を注ぎ、肉の上にキムチを覆い被せる。蓋をしてコトコト煮込む。株のままのキムチを使った場合は、皿に盛る前にキッチンバサミなどでキムチを食べやすい大きさに切る。

出来上がった料理:「第2章 韓国料理が毎日のメインディッシュに!ごはんがすすむ!肉&魚のおかず」より、発酵が進み酸っぱくなったキムチと豚肉を一緒に煮込むだけで出来上がるどっしりした旨みが漂う料理を再現した。

豚スペアリブを水につけて血抜きするのは初めてだったが、30分ほどおくと底がうっすらピンク色になるほど血が流れ出て、(恐らく吸水することで)肉もびっくりするほど柔らかくなる。調べてみると、この下処理は韓国ならではのものだそう。

さて、下処理や煮込み時間は少しばかりかかるけれども、私にとっては数ある常備食材のひとつがキムチで、うっかり使い切れずに残っていたものを極うま料理に化けさせることが出来るとてもありがたいお料理。コトコト煮込んでいる時の香りだけでお腹が空いてくるし、出来上がったものを口に含むと最初はキムチの酸味が強く感じられるが、後になってスペアリブの濃厚な旨みと入り混じって、強烈な美味しさが広がる。

f:id:mutsuki:201710kc

これはごはんがすすむ。残ったたれに冷凍うどんを入れてさっと煮ても美味しそう。

 

ご近所さんの庭に植わっている金木犀が香る季節。この香りを吸い込むと、幼稚園〜小学生くらいまで週末になると預けられていた母の実家が鮮明に思い出され、あの頃は金木犀の香りのガム(ロッテのeve)も売られていたっけな。金色の紙パッケージも好きだったとあれこれ記憶が連鎖的に繋がっていく。思春期になるまで、よその家にいるとここは私の場所じゃないという感覚が不意に強く湧き上がってきて、そんな違和感を感じる自分を持て余すことが多かったのだが、あれはなんだったのだろうと考えながら朝の街を散歩していたら、久しぶりにあの感覚に襲われた。ここじゃない、どこか。子どもの頃と違って今感じる違和感は、自分の中でまとめる、区切る時期がそろそろきた、諦めきれずにずっと追い続けたものは身の丈にあっていないものだとようやくわかり、次に挑戦しようと振り切れたから生まれたもの。動き出す前にと(来月も旅に出る予定だが)今月の旅行を2件アレンジしたので、来週頭の1〜2日間ほどblogは休みます。

急に寒くなったものの、秋はどのくらい残っているんだろう?と首を傾げたくなる今年の10月。こころもからだもよろこぶ休日になりますように。

<ごはん日記>