300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

50冊目『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』から7回めは鶏肉のアフリカ風レモン煮込み

[50-7]『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』より7回めは鶏肉のアフリカ風レモン煮込み(p.52~)

若山曜子著、 株)宝島社発行、 デザイン 福間優子、撮影 三木麻奈、スタイリング 肱岡香子、 編集 松原京子、2017年11月30日初版発行 

寒の戻りで冷え込んだが、相変わらずの薄着で周りに心配された木曜はアフリカ風のお料理を再現。

調理時間:100分ほど(鶏肉の漬け込み時間を含み)

主な材料:骨つき鳥もも肉、レモン、薄切りにした玉ねぎ、薄切りにしたにんにく、グリーンオリーブ、クミンシード、コリアンダーシード、粉赤唐辛子、オリーブオイルなど

調理の流れ:ボウルに鶏肉を入れ、レモンの絞り汁を揉み込みしばらく置く。鶏肉を取り出し、バットなどの器の上で塩を揉み込む。(肉を漬け込んでいた汁は、後ほど使うのでとっておく)別のボウルに玉ねぎ、オイルを入れてさっくり混ぜ合わせ、塩、スパイスを加え混ぜる。オイルを入れたフライパンで鶏肉に焼き目がつくまでしっかり焼く。鍋に半量の玉ねぎを入れ、鶏肉をのせ、残りの玉ねぎで覆う。オリーブをのせ肉のつけ汁をまわしかけ、沸騰させたのち、蓋をして蒸し煮にする。仕上げにレモン汁を絞った後のレモンを加え、さっと火を通す。 

出来上がった料理:レモン汁でマリネした鶏肉はホロホロと崩れるように柔らかくなり、パウダーではなく、シード(粒状)で使うことにより芳醇なスパイスの香りが異国の風情をもたらしてくれるお料理。

今回使ったグリーンオリーブがハズレで、あまり風味がしなかったのは残念だったが、その代わりレモンの香りと風味が際立ったのでよしとする。フライパンで焼く時点で余分な脂を取り除いていること、玉ねぎに挟んで蒸し煮にしていることで、あっさりと、でも旨味の詰まった鶏肉はむしゃむしゃ骨まで食べたくなるほど。薄切りにした玉ねぎも、甘みと酸味のバランスがよくて、山のように食べられる。

注意点としては、苦味がどうしても強くなってしまうので、レモンの皮を加えた後はあまり煮込み過ぎないこと。

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洋風の煮物は、ポトフなどを除いてはシチューやトマト煮などこってりしたイメージが強いかもしれないけれど、世界は広い。この料理一つをとってみても様々な調理法や、素材の取り合わせかたがあることが垣間見れる。世界まで風呂敷を広げなくとも、日本国内でも地域ごとに未知の家庭料理はたくさんあるので、色々勉強していきたいなぁ。 

 

現在ゆるゆると読み進めているのがタイラー・ディルツ著『ペイン スケール』(創元推理文庫)。怪我などの後遺症としての身体的な痛みを数値で表すペインスケールが表題になっているのだが、怪我や骨折などは、治癒すると機能はするものの、以前と全く同じ状態にはならず、それはこころの傷も同じ。痛みは薄まるが、一度おった傷はずっと抱えて生きていくもの。忘れられない自分を責めるより、赦す。傷とどうにかうまく付き合える自分でいることが大事なんだろうと。

仕事が立て込んでいたり、合間に最愛の地松本に旅行したりで、更新がとても不定期になっているが、今週はこれにて。週末はお天気が乱れる模様。春の嵐。お気をつけてお過ごし下さい。

<ごはん日記>

 

50冊目『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』から6回めは鶏団子のブルーチーズ煮込み

[50-6]『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』より6回めは鶏団子のブルーチーズ煮込み(p.62~)

若山曜子著、 株)宝島社発行、 デザイン 福間優子、撮影 三木麻奈、スタイリング 肱岡香子、 編集 松原京子、2017年11月30日初版発行 

気温が急上昇し、厚手コートなぞもはや不要の陽気になった木曜は白ワインがぐんと進む濃厚な煮込み料理を再現。

調理時間:30分ほど 

主な材料:鶏ひき肉、みじん切りにした玉ねぎ、刻んだトマト、パン粉、塩、胡椒、薄力粉、食べやすい大きさに切ったカリフラワー、薄力粉、白ワイン、生クリーム、ブルーチーズなど

調理の流れ:ボウルにまずはミンチ、玉ねぎ、パン粉、塩を入れて粘り気が出るまで混ぜ合わせたら、トマトと胡椒を加え、さらに混ぜた後に一口大に丸めて薄力粉をまぶし、オイルをひいたフライパンで表面にしっかりと焼き色がつくまで焼く。鍋に鶏団子を移し、白ワインを加え、強火でアルコールを飛ばした後、水とカリフラワーを加え蓋をして蒸し煮にする。生クリーム、ブルーチーズを加えて仕上げる。

出来上がった料理:ブルーチーズを使った煮込み系料理では、ゴルゴンゾーラソースのスパゲティが家では作りやすいが、今回は一手間かけて鶏団子を作り、カリフラワーと共にコトコト煮込んだ料理を再現した。

ハンバーグなどボウルに入れてミンチを捏ねるのは手がペトペトに汚れるのが、(たいていの場合)男性にわかってもらえない弱点だが、鶏ひき肉は合挽きや牛ひき肉と比べると脂が少なく、手を洗えども洗えどもヌルヌルが取れないということも無く、ミンチ初心者でも作りやすい。隠し味に使うトマトに関してはレシピでは種を取り除いてから刻むと記されているが、戻したドライトマトを使うならそのプロセスは省けそう(一度レシピのまま作ってみられてから、お好みで)鶏団子を作る上で、このレシピが優秀なのは、玉ねぎを炒めないことと卵を使わないこと。分量通りでしっかりまとまり、もちっりとしたつくねが作れる。

生クリームを加えたのちに煮込みすぎるとせっかくの風味が損なわれてしまうので、そこにだけはご注意を。カリフラワーが少し硬いかな?という歯ごたえの時点で止めておき、自分のためやだれかのために美味しくご飯を食べる前に、弱火で加熱し直し、生クリームなどの乳製品を加えよう。

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生クリームやブルーチーズのうま味がどっしり基礎を支えていることもあり、最初はソースにノックアウトされるがもぐもぐ食べているうちに気がつくのはカリフラワーって、こんなに美味しい野菜だったんだ!ということ。淡白だけれど、この白いお野菜、甘くてとっても美味しいのです。

 

明日から日曜まで、吉祥寺でイベントのお手伝いをさせて頂くことになった。お近くの方、お気軽に遊びにおいでください。金曜は初日で諸々予想がつかないので、次は月曜に更新予定。

皆さま、すてきな休日を。

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<ごはん日記>

50冊目『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』から5回めはソーセージとレンズ豆の煮込み

[50-5]『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』より5回めはソーセージとレンズ豆の煮込み(p.70~)

若山曜子著、 株)宝島社発行、 デザイン 福間優子、撮影 三木麻奈、スタイリング 肱岡香子、 編集 松原京子、2017年11月30日初版発行 

煮込みといえば乾物が大活躍する料理でもある。今回は豆を使ったレシピを再現。

調理時間:小1時間 

主な材料:生ソーセージ、スモークソーセージ、ベーコン、乾燥レンズ豆、角切りにした玉ねぎ、角切りにしたにんじん、オリーブオイル、ローリエ、生タイムなど。

調理の流れ:鍋にオイル、ベーコンを入れ火にかけ、ベーコンから脂がじわじわ染み出てきたら、玉ねぎを加えさっと炒め、人参を入れて全体がしんなりするまで炒める。レンズ豆を加え混ぜ、てりっとしたら水を注ぎ、塩コショウ、ハーブを入れ沸騰させる。ソーセージを入れてくつくつ煮る。

出来上がった料理:日本古来の豆ではなく、大陸でよく使われるレンズ豆は水で戻す必要がない上、鉄分、ミネラルが豊富で、豚肉とは特に相性が良いので慣れ親しむことが出来ればとっても便利な素材。今回のレシピは玉ねぎと人参を角切りにする手間が少しだけかかるものの、それ以外はほとんど鍋任せ、火に任せたままで出来上がるし、2〜3日は保つのでブイヨンでのばしてスープ仕立てにしたり、パンにのせるなどアレンジ自在。

生のソーセージなるものは普通のソーセージに生ハム、生ベーコンや塩を振ってしばらく置いた豚肉を加えることで代用できるから、入手できないからといって諦めることはない。それよりもこの料理に欠かせないのはハーブの香り。すっきりとした香りが程よい生のタイムは出来れば入れて頂きたいが、東京以外のスーパーで生のタイムは滅多に見かけないので、ドライタイプでも十分。豚肉とローズマリーの組み合わせも素晴らしいが、この加工豚肉を使ったお料理には香りを少し抑えたタイムがよく似合いう。バジル、ミントは京都でも生で取り扱われているお店が増えたが、セージ、ローズマリー、タイムなども生で使い勝手の良いハーブなので、これから日本の食文化に少しずつでも浸透していけば良いなぁ。 

お味については、ソーセージのうま味、玉ねぎと人参の甘みをたっぷりと吸い込んだ豆がじんわり美味しくて、冷めても十分にワインがすいすい進むお味なので、常備菜としても、おもてなしの前菜としても活躍する一品。

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一見地味ですが、このお料理、とっても美味いです。

 

チケットも無事に取れ、Zeppという空間で聴けることを楽しみにしていたKeshaの来日公演は怪我により延期で至極残念。次に行くライブは未定になったが、戌年初ライブは、山岸潤史、KenKen、Nikki Glaspie、John "Papa" Grosが共演した渋谷quatro。ニューオリンズ系の音楽はあまり聴いてこなかったものの中盤以降のグルーヴ感が最高で、食わず嫌いならぬ聴かず嫌いはもったいないなと今更ながらに気がつく。人生それなりに歳を重ねてくると、自分の好みはわかったつもりでいるけれど、だからといって制限することはないんだなぁ。

 

<ごはん日記>

50冊目『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』から4回めはかきと大根のカレー

[50-4]『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』より4回めはかきと大根のカレー(p.84~)

若山曜子著、 株)宝島社発行、 デザイン 福間優子、撮影 三木麻奈、スタイリング 肱岡香子、 編集 松原京子、2017年11月30日初版発行 

旬のあいだに食べられるだけ食べたい牡蠣を使い、手軽に作れるカレーを再現。

調理時間:1時間以上

主な材料:加熱用かき、薄力粉、乱切りにした大根、薄切りにした玉ねぎ、薄切りにしたにんにく、小口切りにした赤唐辛子、酒、カレールー、オイスターソースなど

調理の流れ:かきは洗って綺麗に掃除し、水気をきり薄力粉をまぶし、サラダ油を入れたフライパンで色づくまで焼き、いったん取り出す。同じフライパンににんにく、赤唐辛子を入れて香りが立つまで炒めたら、玉ねぎを加えしんなりするまで炒める。鍋に移しいれ、酒、水を加えて加熱する。沸騰したら大根を入れ、柔らかくなるまで煮たら、かきを加えてさっと煮る。ルーを加えてトロミがついたらオイスターソースで味を整える。

出来上がった料理:寒い季節に美味しくなる牡蠣から滲み出るうま味が、ガツンと美味しいカレーを再現した。

素材の持つ味をストレートに味わうために、使う素材も工程も極々シンプル。大根を煮込む時間は若干かかるけれど、一口含むと、とっても美味しいんだけれど何なのこれ⁉︎と嬉しい驚きをもたらしてくれること請け合いの一品。常にって訳じゃなくて、牡蠣が旬の季節にしか食べられないからこその限定感もあるのかもしれないけれど、牡蠣の実力を十二分に知ることができるんだなぁ。フライパンで焼いている時から漂う美味しそうな香りも、牡蠣のカレーって美味しいのそれ?という懐疑派も唸らせるお味。隠し味に使うオイスターソースは脇役ながら、しっかり役目を果たしてくれていて、中華やお弁当を作る以外では冷蔵庫で休眠しがちだけれど、君の存在はやっぱり欠かせない!と賞賛を送りたくなる。

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トロッというよりはスープ状のカレーなので、ご飯以外でも、例えばお蕎麦にもあうかも。想像するだけでお腹が鳴る(笑)

 

冬季五輪が終わった。テレビを持たない生活を10年以上続けているが、五輪やW杯時だけは欲しいと感じる。小学生で京都市のメダルを取ってから、中学でも活躍できて初の海外は遠征試合。そこからしぼんでいくものの一時期スポーツにかけてきた身としては憧れてやまない五輪。

朝4時に起床して朝練。放課後の部活。帰宅後は自主ランニングと24時間のうち1/3は勝つためだけに身体を動かし続けても、近畿大会を勝ち越すことはできず。今となればスポーツ科学の発展もあり、過剰に動かさずともある程度理想の身体を手に入れられるようになったのかもしれないけれど、それでもあの場所に立てることのすごさ、その背景を想像するだけで震える。

いまの私といえば、ことば(レシピも含め)を使って誰かに思いをすこしでも伝えられるように切磋琢磨する日々。

今週の金〜日曜にお手伝いする吉祥寺のイベントについては明日明後日中に詳細を。

This is my fight song, Take back my life song, Prove I'm alright song, My power's turned on, Starting right now I'll be strong, I'll play my fight song, And I don't really care if nobody else believes 'Cause I've still got a lot of fight left in me. "This is my fight song/Rachel Platten"


Rachel Platten - Fight Song (Official Video)

<ごはん日記>

50冊目『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』から3回めはアドボ

[50-3]『一皿でごちそう!わたしの煮込み料理』より3回めはアドボ(p.56~)

若山曜子著、 株)宝島社発行、 デザイン 福間優子、撮影 三木麻奈、スタイリング 肱岡香子、 編集 松原京子、2017年11月30日初版発行 

人生初の鍋の空焚きで精神的ダメージを受けたり、右肩が不調でいまひとつスッキリしない水曜はここぞというときに食べたいフィリピン料理を。

調理時間:3時間以上

主な材料:大きめに切り分けた豚バラブロック、鶏手羽元、ゆで卵、ローリエ、ざく切りにした香菜、千切りにした人参、薄切りにした紫玉ねぎ [つけ汁] 玉ねぎみじん切り、ニンニクみじん切り、醤油、酢、砂糖、ナンプラー、塩胡椒など。

調理の流れ:つけ汁の調味料をボウルの中で混ぜ合わせ、豚肉、鳥肉を入れしばらく漬け込む。鍋につけ汁ごと肉を入れ、水、卵、ローリエを加えてコトコト煮る。小一時間煮たのち火を止め、冷まし、上にびっしりと張った脂膜を取り除き、再び火にかけ、生野菜を添えて食す。

出来上がった料理:フィリピンの郷土料理アドボの若山さん風レシピを再現した。甘みを加えた酢醤油でマリネした肉が驚くほど柔らかく、脂身たっぷりなのにさっぱり食せる煮込み料理。

フィリピンの定番スナック菓子といえば、豚皮を揚げたチチャロンだが、このアドボもバラ肉と手羽元の脂がもつ旨みが売りである。冷たくなった鍋に張った真っ白な油脂のあまりの厚さに驚かされるが、チャーハンなど炒め物に使えるので、カロリーも取り除けて、副産物ももたらしてくれるなんてラッキー!と捉えよう。

香味野菜とアジアの調味料で漬け込み、煮汁ごと煮たお肉はお箸でもスルリと切り分けられるほど柔らかく、お醤油の香り、お砂糖のコク、お酢の酸味がほんのりと効いていて、ご飯の上にかけていくらでも食べられそうなお味。体重が気になる方にはご飯抜きにしてスライスした生野菜をドバッと乗っけて食べることをオススメする。こちらもとても美味しい。 

かつての職場でフィリピン大学の方々と交流があり、作ってもらったアドボがあまりに美味しくてプロジェクトエンバー一同で貪り食べた思い出がある。このレシピ、実家でも作ったが、ゆで卵だけでも2個ぺろっと食べてしまう人や、調理時間は取られるものの瞬く間に完食された位にともかく絶品のアジアン煮物。

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フィリピン料理専門店って街でもあまり出会えないし、故に口にする機会も少ないだろうけれど、これは身につけておくと日持ちもするし、本当にとっても便利な一品なので、是非。

 

どこに住んでいても大抵の場合、CD購入はネット予約で配送が定番なのだが、熱のこもったPOPや視聴はお店に行かないと出会えないので東京ではもっぱら渋谷のtower recordsさんにお世話になっている。カフェスペースも含めて7階あるフロアーはジャンル毎に細分化されているので、アーティストの作品がどこにあるか迷子になったら素直に店員さんに尋ねるようになった。先日はKeshaが見つけられず尋ねたら、「Keshaさんですね!○階です」とPCを見るまでもなく笑顔で即答してくれて、地味にでもものすごく感動する。アーティストに対してさらっと「さん」付けが出来て、世界最大級の品揃えを誇る店内のどこに何があるかも把握できて居る店員さんが居るお店ってすごい。どこぞの店員さん(多分アルバイト)がstingの新譜についてお客さんに尋ねられた時に、「調べるのでフルネームで教えてください」と受け答えをしたのとはえらく違う。(それだけstingが売れていなくて認知度が低いのでは?というツッコミは無しで)さておき、keshaさん、4月に来日です!取らなきゃ!行かなきゃ!!

<ごはん日記>