300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

56冊目『きちんと小鍋』から6回目は豚しゃぶレモン鍋

[56-6]『遅く帰った日のきちんと小鍋』から6回目は豚しゃぶレモン鍋(p.50~)

YOSHIRO著、 株)枻出版社発行、デザイン ピークス(株)、撮影 加藤史人、落合明人、スタイリング 松井緋音、編集 杉村貴行、 2018年11月30日初版発行 

白菜からキャベツに旬がうつり、花冷えの頃にはぴったりな鍋を再現した。

調理時間:15分以内

主な材料:ざく切りにしたキャベツ、しゃぶしゃぶ用豚バラ肉、輪切りにしたレモン、二つ割にしたミニトマト、塩麹、すりおろしたニンニク、塩胡椒 (424kcal)

調理の流れ:小鍋に水を沸騰させ、塩麹、ニンニク、塩胡椒を加え、一煮立ちしたらキャベツ、豚肉を入れ蓋をして弱火で豚肉の色が変わるまで煮る。レモンを潰しながら(汁を出すように)入れ、トマトを飾る。

出来上がった料理:塩麹とレモンの取り合わせってどんなだろう?とワクワクしながら作るお鍋。

春はキャベツがともかく美味しく、水分も多いので、レシピに指定されている分量の1.5倍ぐらい入れることをお勧めする。具体的に言うと一人4分の1玉使っても足りないくらいモリモリっと食べられる。塩麹は自己主張してこない代わりに、とっても奥深い味をもたらし、火を加えることでちょっと丸くなったレモンとトマトの酸っぱさがアクセントになって、豚肉の脂の柔らかさや甘味が際立つ。もっと野菜が欲しい方はスティックセニョールやブロッコリーを加えたり、オレガノ(乾燥で大丈夫)を入れても好相性。

レモンの黄色とトマトの赤が鍋の中で踊っているのに元気をもらえるし、このお味は鍋が大活躍する冬限定にするには勿体無い。真夏の冷房冷えで固まった体も欲するし、煮物としてもきっと食べたくなる、そんな予感のする料理。 

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塩麹は八海山のスパウトパックが使い切りやすい量で美味しくてお勧め。

 

春はおめでたいことが続いて吉いと思っていた矢先に舞い込んだニュース。神戸のライヴハウス「太陽と虎」のオーナーであり音楽プロデューサーの松原裕さんが腎臓がんとの闘病生活の末、あちらに召された。入場料無料とは思えないほどのラインナップと規模で開催されるカミングコウベには何度も行ったし、2017年のHi-Standard@大阪城ホールに2018年のロットングラフティー@武道館と久しぶりに行ったライヴ2本ともに深く記憶に刻まれるものだった。ステージ4の癌という病に負けじと軽妙な語り口で、でも現実にはしっかり向き合いながら記されたblogを読みながら応援していたのだが、いってしまわれたことが悔しくて、悲しくて木曜夜から一人になると、気が緩むと泣いている。長男さんの大学入学式に立ち会えてよかったね。体がきついなか、よく頑張ったねっていう思いは圧倒的な死の前には無力。でもね、わたしは忘れないから。あなたのこと。
松原さんの願いが叶ってカミコベにサプライズゲストとして出演したハイスタにリクエストされた曲"brand new sunset"を聴きながら自分時間を過ごそう。


Hi-STANDARD - BRAND NEW SUNSET

生きられる時間は本当に短い。重たいかもしれないが、命について数秒だけ、ちょっびっとだけ真面目に考えるのも、今を盛りと咲き乱れる桜の下ならいいんじゃないかな。

<ごはん日記>

56冊目『きちんと小鍋』から5回目は牡蠣と白菜の海苔鍋

[56-5]『遅く帰った日のきちんと小鍋』から5回目は牡蠣と白菜の海苔鍋(p.16~)

YOSHIRO著、 株)枻出版社発行、デザイン ピークス(株)、撮影 加藤史人、落合明人、スタイリング 松井緋音、編集 杉村貴行、 2018年11月30日初版発行 

春物コートで出かけられた金曜日。季節がきっぱり変わる前に、牡蠣が美味しいうちに食べたい一品。

調理時間:20分以内

主な材料:加熱用牡蠣、ざく切りにした白菜、ほぐしたエノキ、ちぎった海苔、めんつゆ、わさび、ごま油、水 (270kcal)

調理の流れ:小鍋に調味料を入れ沸騰させる。白菜、エノキ、牡蠣を順番に加え、白菜がしんなりし、牡蠣がぷっっくら膨らむまで煮る。

出来上がった料理:キッチンばさみを使えば、まな板、包丁すら必要ない小鍋を再現した。このブログを始めて数年経つが、これまでで一番楽に美味しく作れるお料理かもしれない。

好きな食材は数知れずあるが、冬は牡蠣。10日に一度は食べるほどに牡蠣推しなわたしがこのレシピを紹介しない筈がない!ということにして頂き、何度か作った上でのアドバイスを。⑴刺激を求めるならわさびは最初に入れるのではなく、仕上げに使うことで香りや辛みで味に締まりが出る。グツグツ煮込むと甘みは出るが、わさびのツーンとした辛さが活かせないので、この辺りは好みが出るところ。⑵白菜に食感を求めるか、出汁としての役割を求めるかによるが後者であれば、水を沸かせてから白菜を入れ、柔らかくなってからめんつゆ、のりを入れることをお勧めする。一手間かかるが、旬の野菜の出汁ってびっくりするほど美味しいので使えるものは使っちゃいましょう。⑶香り高いタイプのごま油なら最後にたらりと注ぐ方がふわぁっと香りたつのでお勧めするが、マイルドタイプなら最初から入れる。

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このお料理は海苔が決めてでもあるので、手元にあるなら本書でも推奨されているあおさ海苔がベスト。でも、あおさ海苔を常備している人は地域により限られていると思うので湿気った海苔でも量を増せば美味しくなる。せっかく低カロリー食として記されているのに、締めに蕎麦を食べたくなるほどに食欲を増進し、日本酒がすすむ罪作りな小鍋。

 

しばらく更新が滞っていたのは、ある朝台所に立ったら鍋が持てなくて、整形外科に通う事態となったため。左手が右手の代わりになれるよう練習しながら回復を待っていると、こうしたレシピのありがたさが身に沁みる。出来るなら一生経験しなくても、知らなくてもいい痛みは確実にあるけれど、割とすぐに回復できるものであれば、知ることで深まるものもある。

まだ雪が降っているところもあるが、寒さに耐え抜いた樹々の内側に力が溜め込まれ、芽吹く機会を待っているころ。きれいに花を咲かせられますように。その花を愛でられますように。よい休日を。


New Kids On The Block - Step By Step

<ごはん日記>

56冊目『きちんと小鍋』から4回目はアボたまカレーベジ鍋

[56-4]『遅く帰った日のきちんと小鍋』から4回目はアボたまカレーベジ鍋(p.54~)

YOSHIRO著、 株)枻出版社発行、デザイン ピークス(株)、撮影 加藤史人、落合明人、スタイリング 松井緋音、編集 杉村貴行、 2018年11月30日初版発行 

今日は煮干しの日、ふんどしの日で仏滅だそうです。あれ?もっとも一般的なのは?断固スルーです。

調理時間:20分以内

主な材料:小房にわけたブロッコリー、ほぐしたシメジ、レッドキドニービーンズ、アボカド、卵黄、粗く刻んだクルミ、水、チキンコンソメ、ケチャップ、カレー粉(407kcal)

調理の流れ:小鍋に水と調味料を加え沸騰させる。ブロッコリーを入れ、沸騰したらシメジを入れて再び沸騰したらレッドキドニーを加えて、ブロッコリーが柔らかくなるまで煮る。アボカドをのせくぼみに卵黄を入れ、クルミを散りばめる。

出来上がった料理:アボカドとぷるんとした卵黄が目に入っただけで、うわっとテンションが上がるお鍋を再現した。

肉、魚介類が全く入らないベジ仕様だけれど、余熱でクリーミーな食感が増したアボカドの存在感がすごくて、食べ答えは十分。ブロッコリーは芯の部分が幸運にもたっぷりついていたなら捨てずに表面を削いで、最初から煮込むと出汁も出て美味。カレー粉が隠し味になっていることと、一般的に苦手な要素が少ないのでおもてなしにもぴったりな一品。

何回か作っているが、一度クルミを入れ忘れたことがあり、なんだか味に締まりが無いなぁと感じ、改めてこのレシピの完成度の高さに唸らされた。こういう取り合わせって、自分ではなかなか考えつけないし、パンチが無いと感じた時はナッツ類が助けてくれることがあるという学びにもなる。

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カロリーが高めなのは半個でも90~100kcalあるアボカドが含まれている為。気になるようなら1/4個でも。

 

Happy Valentine Day. 日頃なかなか感謝の気持ちや大切な想いを伝えにくい日本でも、この日は特別だから男女問わず勇気を持って伝えられますように。

普段自分では甘いものを買わないのだが、この時期だけは諭吉を投入するほどいろいろなチョコレートを買っていた。でも一番好きなのはla maison du chocolatだと結論を出せたのは2年前か。

泣かないで わたしの恋心 涙は”お前”には似合わない ゆけ ただゆけ『冬の花』宮本浩次


宮本浩次-冬の花

<ごはん日記>

56冊目『きちんと小鍋』から3回目はあさりと小松菜の塩バター鍋

[56-3]『遅く帰った日のきちんと小鍋』から3回目はきのこと鶏出汁の湯豆腐鍋(p.68~)

YOSHIRO著、 株)枻出版社発行、デザイン ピークス(株)、撮影 加藤史人、落合明人、スタイリング 松井緋音、編集 杉村貴行、 2018年11月30日初版発行 

この週末は大寒波到来とか。凍てつく日にはやっぱりグツグツとそして湯気がふんわりたちぼるお鍋。

調理時間:20分以内(あさりの砂抜き時間は除き)

主な材料:ざく切りにした小松菜、ほぐしたシメジ、砂抜きしたあさり、水、酒、有塩バター、醤油、塩、粗挽き黒胡椒 (281kcal)

調理の流れ:小鍋に水と調味料を入れて火にかけ、沸騰させる。小松菜を入れて沸騰したら、シメジ再び沸騰したらあさりを加えて殻が開くまで中火で煮る。

出来上がった料理:新春になると食べたくなるのがそろそろ旬なあさりなどの貝類。砂抜きに時間がかかりはするものの、魚を捌くことに比べれば断然手間はかからないし、魚臭問題も少ないので扱いやすい。酒蒸しやニンニク入りオリーヴオイルで炒めた後に蒸すことも多いが、今回はお鍋の主役に。

レシピ通りだと本当に簡単にできるが余裕があって、もうちょっと手をかけたい人は小鍋に水入れ、沸騰させてから酒などの調味料を加えてみよう。香りや風味がほんのちょっとだけれど豊かになる。

おともに白ワインのボトルを用意して、まずはスープから。あさりの出汁にバターのコクと香りが加わって、300kcalを切るにも関わらず(これはおデブの元になるかも?)うっすら罪悪感を感じさせるほどに満ち足りるお味。シメジを入れることで出汁も出るし、小松菜だけでは得られない食感が生まれるので、シメジがなくてもエノキや舞茸などキノコ類は入れたいところ。お腹がペコペコなら固めに茹でたショートパスタを入れるのも美味しいだろう。

芳醇な出汁を吸った小松菜の歯ごたえと、くっきりした緑を口にするだけで、パワーアップしたような気がするから不思議。冬は根菜が断然美味しいけれど、葉野菜もやっぱり愛おしい。

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このところ、ダイエットも兼ねて一日に魚介類、肉類、大豆タンパクはどれも必ず一品食べるようにしている。夕飯にあさり鍋でこんなに満足感を得らるなんて、幸せだ。

 

大きな主語で話したがる人に、自分こそが正義だと勘違いしている人が多くて、辛い。このところ疲れすぎているから受けるダメージが大きい。もしも朝扉を開けて雪が降り積もっていたのなら、白い世界を見られたらそれだけで元気になれそうだけれど、5時の時点ではただただ寒いだけ。 

今週の一曲は(いつ出来たんだそんなコーナー(笑))日本ではScott & Riversというユニットの方が人気なのかな?Rivers CuomoがギターヴォーカルをしているWezzerがカヴァーしたので最近また耳にするようなった"Everybody Wants To Rule The World"。


Weezer - Everybody Wants To Rule The World

 

さむぅい日がしばらく続きそうだし、インフルエンザがあいも変わらず猛威を振るっているけれど、空は春の色。休日を心地よく過ごせますように。

<ごはん日記>

56冊目『きちんと小鍋』から2回目はきのこと鶏出汁の湯豆腐鍋

[56-2]『遅く帰った日のきちんと小鍋』から2回目はきのこと鶏出汁の湯豆腐鍋(p.6~)

YOSHIRO著、 株)枻出版社発行、デザイン ピークス(株)、撮影 加藤史人、落合明人、スタイリング 松井緋音、編集 杉村貴行、 2018年11月30日初版発行 

お豆腐好きなんですよ。なので二回連続でお豆腐メインのお鍋を再現。

調理時間:20分以内

主な材料:斜め薄切りにして両面が薄っすら白くなるまで片栗粉をまとわせた鶏ムネ肉、豆腐(絹ごしでも木綿でもお好みで)、乱切りにしたエリンギ、白髪ネギ(私見:面倒なら小口切りで)、薄切りにしたショウガ、水、薄口醤油、塩、七味唐辛子 (303kcal)

調理の流れ:小鍋に水と調味料、ショウガを入れて沸騰したら、鶏ムネ肉を加え弱火でしばらく煮る。豆腐、エリンギを入れ、煮る。食べる直前にネギを散らせ、唐辛子をふる。

出来上がった料理:疲れすぎて食欲も、台所に立つ気力も無いけれど、明日やその先の自分や大切な人のために、負担になりすぎずに作れて、食べ進めるうちにじんわりと体も気持ちもぽかぽかしてくる鍋レシピを再現した。

小鍋、まな板、包丁に計量カップを用意。小鍋に水と調味料を加えてから、まずはショウガを切って鍋に加え、火をつける。エリンギとネギを切ってから、まな板と包丁をさっと洗い、鶏肉を切る。(予めスライスしてある鶏ムネ肉を入手出来ればとっても楽だけれど、柔らかくて筋も無いのでムネ肉は切りやすい)とろとろっとトロミをつけたいので、私は肉にしっかりと片栗粉をつけるが、このあたりはお好みで。ここまで準備が出来たら、鍋に順番に材料を入れていくだけ。

表面にしっかりと片栗粉をつけることでムネ肉の皮膜を張るので、火加減が難しい鶏ムネ肉も柔らかく仕上げることができる。かといって、加熱しすぎるとやはり縮んでしまうので、鍋に入れてから15分程度を目安にしてみよう。

鶏肉とエリンギから滲み出た出汁にショウガのピリッとした辛さが効いて、そこにトロミも加わっているので、寒い季節には愛おしくなるお鍋。(カロリーも抑えられるし)エリンギのコリコリとした食感がお豆腐の舌触りの優しさにとても合うのでベストだが、無ければ舞茸やしめじなどでも美味しい。

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このお鍋も今季数回作っているほど、気に入っている。3口目くらいまでは、味付けが薄いかな?と感じるが、お豆腐の甘さや出汁の美味しさがじわじわ体に染み入ってきて、最後の一滴まで味わえる。

 

さて、2月1日は東京、神奈川で私立中学入試の初日。すぐに交通が麻痺してしまう都市なので、ともかく雪が降らなくて良かった。中学受験の場合、本人よりも周りの期待の方が大きい気がして、だから余計に緊張するだろうなあ。

受験といえば、親戚の子どもの英文長文読解の家庭教師を頼まれた。大学受験に向けてなので、英語は得意とはいえども真剣に取り組もうと問題集を数冊購入。中級程度ならスムーズに解けるが、進めていくうちに自分が感覚的に英語を理解しているため、教えるための知識が必要だと痛感する。受験だけではなく、語学を身につけることは人生に彩りをあたえてくれるので、出来れば英語を好きになって欲しいのだけれど、それはもう少し歳を重ねてからでも良いかな。

週末は冷え込むようだが、週明けの関東は春一番が吹くのだとか。たまにはゆっくり湯船に浸かって疲れを取る休日が過ごせると良いですね。

<ごはん日記>