300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

33冊目『食べ方帖』から6回めはひよこ豆とパン粉の炒め物

[33-6]『食べ方帖』より6回めはひよこ豆とパン粉の炒め物(p.67)

長尾智子著、文化出版局発行、 アートディレクション、デザイン 茂木隆行、 撮影 赤尾昌則、鈴木正美、編集 大谷道子、田中薫、 2017年3月26日初版発行

長引いた咳もようやくおさまった木曜はパン粉を使った料理を。

調理時間:10分以内

主な材料:ひよこ豆(水煮)、パン粉、クミンシード、クローブ、カレー粉、塩など

調理の流れ:フライパンに油、クミンシードとクローブを入れて香りが立つまで弱火にかける。ひよこ豆、塩少々を入れ、全体に油が回ったら、カレー粉を加え炒める。カレーの香ばしい匂いが漂い始めたらパン粉を加えて焦げないように注意しつつ炒める。別のフライパンでふんわり柔らかい目玉焼きを作り、ひよこ豆に添える。

出来上がった料理:おいしいパン粉があるだけで料理の幅がグンと広がることを教えてくれる「7; パン粉百珍」より、ひよこ豆とパン粉をカレーで味付けした一品を再現した。

ひよこ豆の水煮、パン粉にスパイスさえ常備していれば、包丁、まな板要らずで瞬く間に出来上がり、副菜、常備菜になる優れもの。もちろん酒肴にもぴったりで、全部食べたい気持ちを抑えるのに苦労する位にひよこ豆のほくほくした食感とパン粉のしゃりっとした噛みごたえが、スパイスとカレー粉によってまとめあげられている。うん。手軽さも含めて美味しい。

炒めたひよこ豆だけでも美味だが、そこにふるふるの卵焼きをのっけると、白身のぷりんとした舌触りに、とろりとこぼれる黄身の濃厚な旨みが加わり、無言でひたすらスプーンを口に運びたくなる味が生まれる。たかが目玉焼きといって侮るべからず。

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ひよこ豆は、口にしたときのホクホクした食感が好きで乾燥、水煮共にストックしてあるが、消化に時間がかかるので、食べるときはよく噛んで味わう。

 

2005年以来、12年ぶりの待望の来日ツアーを果たしてくれたsting。今回の初日は仕事で行けず涙をのんだが、6月7日(ツアー2日目)、8日(東京ファイナル)は武道館の着席したままで出来うる限り堪能してきた。

無駄なものは一切無し。バンドとコーラス(stingの息子のjoe sumnerも入っている)がびしっと基礎を固めた上に、stingがベースやギターを弾きながら歌う、奏でる音楽は武道館の屋根を越えて上空にぐんぐん広がって行くんじゃないかと思わせるほどに力強く響き渡る。何度となく繰り返して聴いてきた音源を上回るパフォーマンスを目の当たりにして、胸が熱くなる。stingが日本に来てくれたことに感謝。

6月7日のセットリスト

1. Synchronicity II [the police] 2. Spirits in the Material World [the police] 3. Englishman in New York 4. I Can’t Stop Thinking About You 5. Every Little Thing She does is Majic [the police]  6. One Fine Day 7. She’s Too Good for Me 8. Mad about You 9. Fields of Gold 10. Petrol Head 11. Down, Down, Down 12. Shape of My Heart 13. Message in a Bottle [the police] 14. Ashes to Ashes [David Bowie] 15. 50,000 16. Walking on the Moon [the police]  17. So Lonely [the police]  18. Desert Rose 19. Roxanne [the police] / Ain’t No Sunshine Encore 20. Next to You [the police]  21. Every Breath You Take [the police] 22. Fragile

<ごはん日記>

番外編 ぎゅうぎゅう蒸しのススメ

[番外編] ぎゅうぎゅう蒸しのススメ

木曜から金曜に時計の針が進んだあたりから、身体が、次に喉が熱くなり始めて本格的な風邪にやられたため更新が滞りました。買い物に行く体力も惜しかったので、本日はおうちにあるもので作れる料理を。

調理時間:25分ほど

主な材料:野菜室にある野菜(今回は、キャベツ、エリンギ、いんげん、玉ねぎ、ズッキーニ、にんにく)、オリーブ、カレー用角切り豚肉、出汁(顆粒鶏ガラスープ、ブイヨンを水で溶いたものでも可)、白ワイン、赤唐辛子、ローリエなど

調理の流れ:(下準備)キャベツはざく切り。エリンギ、いんげん、玉ねぎは食べやすい大きさに切る。にんにくは薄切りにする。

鍋にキャベツを敷き、切り分けた野菜、にんにく、赤唐辛子を入れ、一番上に豚肉をのせたら軽く塩こしょうをして、ローリエ、オリーブオイル、出汁少々、白ワインをじゃあっとまわしかけ蓋をして20分ほど蒸す。火加減は最初の5分ほどはやや強火、その後は弱火で。肉に火が通ったら粒マスタードなどをつけながら食す。

出来上がった料理:長尾先生の御著書『食べ方帖』を再現している最中だが、買い物や食べる元気もあまり無いので、先月ごろよりネットで人気のぎゅうぎゅう蒸しを紹介する。

難しいことは抜きで、美味しくつくれる鍋料理なのだが、ポイントは3つ。

①野菜はぎゅうぎゅうに詰めてなるたけたくさん入れる。最初は蓋がうまく閉められないくらいでも、火を入れていくうちにぐんとかさが減るし、追加でキャベツを入れたくなるほど美味しく食べられるので。

②うちの土鍋を使った場合は、蒸している間に野菜からの水分がたっぷり出るので、加える出汁や水の量はまずは少なめに。途中蓋をあけてみて、焦げそうなら水を加える。

③ひとり暮らしなら、たっぷり作って一度だけでなく二回目も楽しもう。〆に何を食べたいかで使う野菜やスパイスを組み立てることも楽しむ→今回はパスタを和えたかったので、イタリアっぽい野菜を使った。おうどんや雑炊を食べたいなら、大根、蕪、ごぼう、椎茸類にねぎ、生姜と油揚げに出汁と日本酒の取り合わせも美味。

ともかくお野菜をたくさん食べられるお料理。料理に使い切れず余っている玉ねぎ半分や、しなびかけているにんじん、根菜でとっても美味しく作れるので、ぜひお試しあれ。(既に3回以上繰り返して作っているほどお気に入り)

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豚肉を入れる前。出汁やワインは隠れていて見えない。

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 20分ほど蒸した後は鍋のふちまで水分が出る。

 

週末友だちとメッセージのやりとりをしていたら、6月2週目は風邪で倒れてる場合じゃない!とお叱りを受ける(笑)そりゃそうだ。stingの来日コンサートが始まるし、その他にも予定が詰まっている。本日(stingの初日)はお声をかけてもらって神田のイベントを手伝っています。お近くの方、お気軽に遊びにおこしください。

日時:6月6日(火)14:00 open 〜 21:30 close 
場所:サカキラボ 東京都千代田区神田小川町3−6−8 伸幸ビル6F
出店者:うえとsalon&bar(カクテル、ビール) 、お菓子教室シトロン(クレープ) 、salumeria69(生ハム&サラミ) 、ビアンカーラ(自然派ワイン&パン) 、らすとらあだ(蕎麦)*17時頃からのご提供開始となります。 VIA THE BIO(チーズ)*17時頃からのご提供開始となります

www.labpaper.jp

 <ごはん日記>

 

33冊目『食べ方帖』から5回めはキャベツ肉じゃが

[33-5]『食べ方帖』より5回めはキャベツ肉じゃが(p.80~)

長尾智子著、文化出版局発行、 アートディレクション、デザイン 茂木隆行、 撮影 赤尾昌則、鈴木正美、編集 大谷道子、田中薫、 2017年3月26日初版発行

 hello, 六月。時々雲がかかって雨も降り、少し肌寒い木曜は昨日に引き続き煮込み料理を。

調理時間:25分ほど

材料:牛薄切り肉、じゃがいも、キャベツ、玉ねぎ、日本酒、みりん、しょう油、ごま油、赤唐辛子粉

調理の流れ:皮をむいたじゃがいもは大きめに、玉ねぎ、キャベツも適当な大きさに切り分ける。鍋に水を沸かし、日本酒、みりんを加えたところで牛肉をさっと煮て、じゃがいもと玉ねぎを入れる。一煮立ちしたらアクをとり、キャベツとしょう油を加え、フタをして蒸し煮にする。暫くしたら蓋を取り、汁気を飛ばすように加熱した後、ごま油をふりまぜ、仕上げに赤唐辛子粉をふる。

出来上がった料理:昨日に引き続き「8; 煮込み料理は全て「肉じゃが」である」より。表題通り肉と野菜をひとつの鍋でくつくつ煮込むのは、どの国の料理であれ日本で生まれ育った人にとって「肉じゃが」なのだと捉えると肩の力を抜いて楽しんで作れることを実感する。

肉じゃがは、肉、玉ねぎ、じゃがいもが定番で、関西は牛肉、関東では豚肉が使われることが多いという以外は材料に大差の無い料理。今回はキャベツをどっさり加えて煮込むことで、みりんをたくさん使わなくとも自然な甘さが出汁に染み渡り、やさしい味を作る。基本にあるのは牛肉と野菜から出る旨味と和の調味料なのだが、最後にごま油を加えることで劇的な奥行きと香りがもたらされ、うわっと驚かされる。

お肉や野菜を炒めなくとも煮るだけで、一口食べるとこれはまごう事なき肉じゃがだと頭が認識するお味。しょう油、みりん、日本酒という調味料の基本的な配合に、キャベツという野菜の持ち味をプラスすることで野菜たっぷりの美味しい肉じゃがが作れるなんて面白い。

自分や料理を口にしてくれる人にとって美味しい料理とは?と時折考えるが、こうしたレシピに出会うと料理のこつは身近にあったことに気付く。

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取り皿一皿分を食べた後、おかわり分に試しでナンプラーを少しふりかけてみたらお酒にとってもよくあう味(濃いめ)になった。レシピ通りで十分美味しいので、まぁこの辺りはお好みで。

 

本日はthe Beatlesのアルバム"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"が発売されて50年の記念日。本国では20数週間、アメリカでも15週間トップ1に輝いた名アルバムだが、(発売当時ではなく)子どもの頃はよくわからない音楽だった。イギリス暮らしや、ロックバンドに傾倒した時期を経てようやくすごさを理解出来たが、こうしてリリース後50年という時を経てなお愛され続けるミュージシャンやバンドはこの10年のあいだに登場しただろうか?これから時が流れてみないとわからない問いだとはわかりつつ、東京に暮らしていると、この世の中はなにもかも急ぎすぎている気がしてならない。

収録曲の中では"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"や"Lucy in the Sky with Diamonds"も好きだけれど、paulが10代の時に64歳の夫婦を描いた"When I'm Sixty-Four"がかわいらしくてよく聴いていた。


The Beatles - When I'm Sixty-Four

<ごはん日記>

33冊目『食べ方帖』から4回めはクミン風味のミートボールと野菜の煮込み

[33-4]『食べ方帖』より4回めはクミン風味のミートボールと野菜の煮込み(p.86~)

長尾智子著、文化出版局発行、 アートディレクション、デザイン 茂木隆行、 撮影 赤尾昌則、鈴木正美、編集 大谷道子、田中薫、 2017年3月26日初版発行

晴れているものの湿度が高くて、もんわりする水曜はスパイスをきかせた料理を。

調理時間:30分ほど

主な材料:合挽き肉、にんじん、トマト、玉ねぎ、かぼちゃ、パン粉、卵、すりおろしにんにく、クミンパウダー、ナツメグパウダー、薄力粉、すりおろししょうが、レモンペースト(別レシピ)、赤唐辛子粉、イタリアンパセリなど

調理の流れ:野菜はやや大きめに切り分ける。ボウルに挽き肉、パン粉、卵、にんにく、スパイス類、塩、こしょうをを入れてさっと混ぜた後、薄力粉を加えて粘りがでるまで手でよく練る。油とクミンシードを入れて火にかけ香りがたったら、同じ大きさになるように丸めたミートボールを焼く。表面の色が変わったら、野菜を入れ、しょうがとレモンペーストをのせ、塩、赤唐辛子粉少々をふり、水を加えて蓋をして蒸し煮にする。器によそった後にイタリアンパセリをふる。

出来上がった料理:「8; 煮込み料理はすべて「肉じゃが」である」より、クミンの香り高い煮込み料理を再現した。

つなぎに牛乳を使わず、パン粉、卵と小麦粉でまとめあげたミートボールは、柔らかすぎず、固すぎず、お皿の上でスプーンを使って食べたい大きさにわけても崩れない配合なので、覚えておくと他の煮込み料理にも使えて便利。

スパイスと並びこの料理の鍵となる塩レモンのペースト版であるレモンペーストは、爽やかな香りと酸味が鮮やかで、口に含むと鼻にぬけるクミンの香りと共に余韻に残るお味。煮込んだ野菜の中では、ぴりっとしたスパイスによりカボチャのホクホクした甘みが引き立てられて、とても美味。トマトと玉ねぎは煮込みのベースの味であり、水分を出すので欠かせない存在として。

ミートボールを作るときに手が少し汚れるが、それ以外ではみじん切りもないので、簡単に出来上がるのに、たっぷりの野菜とお肉をこれはどこの国の料理なんだろう?と異国の風を感じながら美味しく食べられる。※なお、このミートボールについてはプロセス写真でクミンシードが入っているので、レシピ材料欄には記されていないが使うことにした。

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イシイのミートボールか、はたまた「101匹わんちゃん」の影響か、ついトマトソースで煮込んでしまいがちだが、本書に記されているようにカレー粉を入れてもぜったい美味しいだろうし、入れるスパイスによってミートボールはかなりアレンジがききそう。

 

 あまりに暑くて髪の毛を20cmほど切ったら、まず手入れが楽になり首回りも随分と涼しくなった。次回はさらに切りたいのだが、短くすればするほどヘアサロンに行かねばならない頻度も高くなるので考えどころ。

<ごはん日記>

33冊目『食べ方帖』から3回めはアソートサラダ 春

[33-3]『食べ方帖』より3回めはアソートサラダ 春(p. 48~)

長尾智子著、文化出版局発行、 アートディレクション、デザイン 茂木隆行、 撮影 赤尾昌則、鈴木正美、編集 大谷道子、田中薫、 2017年3月26日初版発行

夏日の二日酔いの火曜は、とりどりの野菜をたくさん食べられるサラダを。

調理時間:20分ほど

主な材料:太めのアスパラガス、ズッキーニ(あれば黄色)、ブロッコリー、にんじん、トマト、グリンピース、茹でたはと麦、カッテージチーズ、ロースハム、アンチョビフィレ、レモン、オリーブ油など

調理の流れ:例えばにんじんはスライサーで斜め薄切りにしてから細切りに、ズッキーニは1cmの輪切りにするなどして、それぞれ食べよく、火が通りやすいように切り、沸騰したお湯で順にゆでる。ゆで終わったらバットにのせて塩少々をふり粗熱を取る。皿にロースハムを敷き、オリーブ油であえたグリーンピースとはと麦、カッテージチーズをのせ、野菜を盛りつける。オリーブ油を全体にかけ、こしょうを挽いた後、アンチョビとレモンを飾る。

出来上がった料理:「5; 野菜のひと皿」より季節ごとにレシピが紹介されているアソートサラダの春版を再現した。

歯ごたえやそれぞれの野菜を味わえるようにさっと茹でることで、とても食べやすく仕上げられる。生で食べるよりも、しっとりとしていて、消化も良く、5種類以上ある野菜をあれこれ組み合わせて口に入れて味の変化も楽しめる。立派なアスパラガスやグリーンピースは春らしく、それぞれの緑が美しくて愛おしくなる一皿。ちなみに夏版では、とうもろこし、枝豆、コリンキー、ズッキーニ、マッシュルーム等の素材で、秋版は栗、かぼちゃ、蓮根などほっくりした野菜をオーヴンでローストするサラダ。かぶ、カリフラワーに白菜等で白でまとめた冬のサラダも凛として美しい。

アスパラをハムで巻いてみたり、フォークの先で潰したアンチョビにブロッコリを絡めてみたり、特別な日の朝にもよいが、この塩気はなにやら白ワインにもあいそうな。休みの日のブランチや軽めに、のんびりと気持ちをゆるめながら食べたい夜にもおすすめ。なお、カッテージチーズが無かったので今回は省き、はと麦の代わりにキヌアを使った。

本文には野菜はラフに盛りつけてと記されているが、これがなかなか難しくて、でもあまり時間をかけたく無かったので、ぱっちゃっとそれぞれのパーツを置いていった。普段の食卓でならそこまで盛り付けにこだわる必要は無いだろうけれど、されど盛り付け一つで見た目は随分と異なるし、美味しそう!と気持ちを盛りたててくれるものなので、レッスンのひとつとして気軽に試してみよう。

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先日のスープもそうだけれど、このサラダも一品だけでかなりの満足感を得られるが、添えるとするとごはんではなくて、やはりパン。

 

昨夜は仕事絡みで飲みにお誘い頂き、酒豪数名を相手にひたすらお酒を飲む覚悟だったが、珍しく自制がきき(笑)記憶を失うことも、粗相もなく午前2時過ぎの散会までほどよく飲むことが出来た。やれば出来る。

<ごはん日記>