300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

【京都】2018年のお正月

【京都】2018年のお正月

早いもので、戌年ももう三が日も過ぎ、本日より仕事始めの方も多いだろう。冬季休暇を終えた後に訪れる職場は、暫く無人で空調も効いていなかったためさぞかし寒かろうと想像しつつ、昨年末からを振り返り我が家の風景をさっと書いてみる。

大晦日の夜から元旦は厳かで、日本らしい、一年の中で最も好きな時間が流れる。特に商売を営む家で生まれ育つと、31日夜に仕事納めで、今年も無事に終えられた、やりきった安心感を抱えて年越しそばを食べること、お仏壇や家の各所にお飾りをして一年を終え、年明けは朝から熱燗を飲みながら御節やお雑煮を、いつもは食事時間がばらける家族がみんな揃って食べられる特別な三日間でもある。

元旦の朝食後は、神社へのお詣りよりもご先祖様のお墓を参りに行く。帰宅後は親戚や近しい人が挨拶に訪ねてこられるのでお干菓子やお茶の準備はしておくなど、あれこれしている間に一日が終わり、のんびり出来る筈の三日間はそれなりに慌ただしく過ぎていくのだが、4日間というまとまった休みが取れるのはお正月だけなので、有難く貴重な時間を過ごさせてもらう。

いつも10名以上のお客様を招いての宴準備に半日ほどかける元日の夜も、今年は家族だけで過ごすことにしたため、献立の組み立て、食材の買い出し、調理にかけていた時間は自由に過ごす予定だったのだが、結局、ひたすらお風呂に入る、本を読む、寝落ちするの3択(笑)になる。読書に関していえば去年はアガタ・クリストフの『悪童日記』3部作、乾石智子さんのオーリエントの魔導師シリーズの世界にどっぷり浸かっていたが、今年は1冊目のデボラ・インストール『ロボット イン・ザ・ハウス』さえまだ読み終えられていない。大好きなショップの初売り、セールさえ出かける気力が湧かず、お正月早々、余裕が無いなぁと反省しつつ、まぁそういうのも私らしいと自分を慰める。 

 

以下は実家のお正月周りの画像など。

 

お正月に床の間に飾る縁起物の仏手柑(ぶっしゅかん)。柑橘系特有の甘やかな香りもごちそう。

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白味噌のお雑煮に入れるお餅は炭火で焦げ目をつける。

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布巾がお重の上にのっかっていて生活感溢れる(笑)三が日朝の実家。このわたや唐墨をちびちび食べながら朝からかぷかぷと熱燗を飲む。

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3日までのお昼は祖父の代から習わしとなった潮汁や鴨のすき焼きなどを食べるのだが、本日4日のお昼はイノダコーヒー本店でビフカツサンドを頂く。サンドイッチのテイクアウトが出来るので差し入れに一箱注文するが、紙箱にきちんと収められた作りたてのサンドイッチはやはり美味しいと大層喜ばれる。

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暗くなってから御所を一人で歩くのは危ないと父に教育されてきたが、この時間ならなんとか大丈夫と薄暗い空を眺めながら新春の空気を胸いっぱい吸い込む。

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久しぶりに目覚めてからも記憶にくっきりと残るしあわせな初夢を見たが、この歳になっても、いや歳により変化はし続けるが、制限をマイナスではなくプラス要素に変えながら大小様々な夢を抱ける自分で居ようが今年の抱負。

明日も京都よりお届け出来れば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

48冊目『〆まで楽しむおつまみ小鍋』から5回めは豚バラとごぼう、大根の焼酎鍋

[48-5]『〆まで楽しむおつまみ小鍋』より5回めは豚バラとごぼう、大根の焼酎鍋(p.74~)

高橋雅子著、 株)池田書店発行、 デザイン 柳田尚美、撮影 鵜澤昭彦、スタイリング 宮嵜夕霞、 編集・構成 吉原信成、2017年10月30日初版発行 

捨てても捨ててもワインの空瓶が部屋にあるのは何故なのでしょう?と自問自答を繰り返す金曜は、焼酎たっぷりのお鍋を。

調理時間:20分ほど 

主な材料:食べやすい長さに切った豚バラ薄切り肉、斜め薄切りにしたごぼう、半月切りにした大根、麦焼酎、だし汁、薄口しょうゆ、[つけダレ] みじん切りにしたにら、酢、醤油、ごま油、炒り白胡麻など

調理の流れ:小鍋に焼酎を入れて火にかけ、アルコールを飛ばす。野菜と豚肉を切り分ける。焼酎の入った鍋にだし汁、醤油、ごぼう、大根を入れて柔らかくなるまでコトコト煮る。大根が透明になったら豚肉を入れて火を通す。つけダレに浸しながら食す。

出来上がった料理:「第2章 にぎやか小鍋」より焼酎をベースとした身体がほこほこ温まる鍋を再現した。

出汁を全く使わず日本酒のみで具材を煮る酒鍋は私の冬の定番だが、焼酎をこの分量使う鍋料理は初めてで、ドキドキしながらレシピの手順に従う。酒をこよなく愛する身としてアルコール風味がかすかに残っている方が好みなので、一口食べた後に追い焼酎をして香りと下味を加える。根菜と豚ばら肉の相性がすこぶる良いのは、周知の通りだが、ニラたっぷりのつけダレに浸すと瞬時に香りたつごま油の香りとニラの青い匂いで、疲れていた胃袋や心まで元気になれる。

お鍋の中でグツグツ煮られている具材はもちろんぶっちぎりの主役だが、ひと味もふた味も喜びと変化を与えてくれるのがつけだれ。このにらだれは覚えておくと、市販では買えないすっきりと美味しい家庭のお味で、とても便利。タレはそれぞれのお好みで酢やごま油の分量を変えて自分好みに調整できるし、食べる人任せにできる気楽さも鍋料理の楽しさ。

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実家でも東京でも何度も作っているお気に入りのレシピ。根菜類は買い置きができるし、豚肉は大抵冷蔵庫にあるので、ニラか代用として青ネギがあれば買い物に行かなくとも作れる。

 

買い物は絶対しないと決めて近所のスーパーに遊びに行ってきたが、年越しそば、大根、人参など根菜類や切り餅が山のように積まれており、いつもとかなり印象が異なる。京都もかつては錦市場の混雑ぶりが有名だったが、いまでは専門食品店も少なくなってしまって、地元住民は果たしてどれほど利用されているんだろうか。

帰省の新幹線は明日の席をようやく確保できたので、31日まで働く家族にはほぼ貢献できないが、年明けもしばらくあちらで過ごし、諸々こなしてくる。毎年恒例だった友人を招いての連日連夜の宴は開催しないことになったので、静かなお正月になりそうだが、それもたまには良い。穏やかに家族で熱燗を飲んで、ひとり本を読みつつ、今度は寒さにやられないように過ごそう(笑)

2017年も残すところあと僅か。皆様無事に年を越せますように。


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<ごはん日記>

 

 

 

48冊目『〆まで楽しむおつまみ小鍋』から4回めはタッカンマリ

[48-4]『〆まで楽しむおつまみ小鍋』より4回めはタッカンマリ(p.148~)

高橋雅子著、 株)池田書店発行、 デザイン 柳田尚美、撮影 鵜澤昭彦、スタイリング 宮嵜夕霞、 編集・構成 吉原信成、2017年10月30日初版発行 

このところの酒量が自分への挑戦に思えてきた木曜はじっくり時間をかけるお鍋を。

調理時間:1時間半ほど(骨付き鶏から出汁を取る時間を含め)

主な材料:骨付き鶏肉、水、酒、長ネギの青い部分、薄切りにした生姜、薄切りにした玉ねぎ、ほぐしたエノキダケ、皮をむき食べやすい大きさに切ったジャガイモなど。[付けダレ] 醤油、酢、白いりごま、みじん切りにした長ネギ、すりおろしたニンニクと生姜、一味唐辛子

調理の流れ:鍋に青字の材料を入れて1時間ほどくつくつ煮込み、肉を取り出し、スープをこす。鍋にスープ、鳥肉、切り分けた野菜を入れてジャガイモが柔らかくなるまで煮る。つけだれにつけて食す。

出来上がった料理:「第5章 アジアの小鍋」より煮込む時間はかかるが、スープをとる間に漂い出る生姜とおねぎの香りにうっとりできる韓国風鍋を再現した。

京都には鶏肉専門店も結構あるので、白濁した鶏ガラスープも簡単に手にはいるが、東京の数なくとも私の居住地には牛肉専門店が1軒あるくらいで、だからこうして自宅で骨つき鶏肉を煮込み鳥のスープが作れるのはとても嬉しい。香味野菜をたっぷり入れるので、香り高く仕上がるスープを含んだじゃがいもは、それだけでも身体を温めてくれるし、えのきのシャキッとした食感や玉ねぎのつるんとした甘みも、煮崩れるくらい柔らかくなった鶏肉もお酢ベースのタレにつけて食べるといくらでも食べられそう。おろしニンニクがよく効いて美味しいので、ごく少量でも加えて欲しい。

本書から再現して居るレシピの中ではダントツに時間がかかるが、生姜の香りやコトコトと鍋を煮込むのって楽しい!と教えてくれるので、休日や格別に寒い日の晩御飯にぜひ。

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撮影用にテーブルに移した時に具材が片寄ってしまったのでは?と思われる画像だが、スープの白さを見せるために敢えてやったんだと思ってください(笑)

 

最近では母と会話する時くらいしか使わないが、京都人は鶏肉のことは「かしわ」と言う。豚肉は豚肉のままだが、「肉」は牛肉を指す。大阪名物で京都でもファンが多い蓬莱の豚まんも牛肉ではないので、肉まんではなくてあくまでも豚まん。肉じゃがやカレーには当然牛肉を使うし、焼肉屋さんの数も実は大阪を抜くほどに有り、かなりのお肉好き。こうやって書くとかなり地域性が出て面白いな。

画像は京都の出町柳近くのかしわ屋さん。

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<ごはん日記>

 

 

 

 

 

48冊目『〆まで楽しむおつまみ小鍋』から3回めは牛肉とアスパラのトマト鍋

[48-3]『〆まで楽しむおつまみ小鍋』より3回めは牛肉とアスパラのトマト鍋(p.126~)

高橋雅子著、 株)池田書店発行、 デザイン 柳田尚美、撮影 鵜澤昭彦、スタイリング 宮嵜夕霞、 編集・構成 吉原信成、2017年10月30日初版発行 

だんだんと人が少なくなってきたと思いきや、新宿三丁目のデパート地下は大混雑の水曜は冷凍してあった牛肉を使ったお鍋を。

調理時間:25分ほど 

主な材料:牛切り落とし肉、ナンプラー、黒胡椒、グリーンアスパラガス、チェリータイプのモッツァレラチーズ、[煮汁] トマト水煮缶(カットタイプ)、ナンプラー、オレガノなど

調理の流れ:牛肉にナンプラー、黒こしょうを揉み込みしばらく置く。アスパラは鍋の直径の長さに切る。煮汁の材料を混ぜ合わせる。鍋にオイルを入れ、アスパラガスを敷き詰め、牛肉をのせ、煮汁を注ぎ入れ、チーズを散らし、蓋をして煮る。

出来上がった料理:「第4章 ふたをして煮るだけ小鍋」より、たっぷりのトマトでコトコト煮込む鍋を再現した。

アスパラを切るのに包丁を使うのみで、あとは鍋と火にまかせる楽々鍋料理は牛肉が主役だと思いきや、アスパラのあまみをじっくりと堪能できるものだった。アスパラに牛肉をくるっと巻きトマトソースとチーズを絡ませて食べると、口の中でアスパラの旨味がぷわぁっと広がる。お出汁代わりのナンプラーが奥行きのある味を作り出しているし、トロンと溶けたチーズも、モッツアレラチーズ特有の白さが赤に映えて、そして淡白な味が程よいコクを生み、食欲に火をつける。

メインを堪能した後は、美味しい出汁が染み渡ったソースに太めのパスタとオリーブオイルを加えて食す。うきゃっ!と興奮する美味しさ。こうした鍋の〆などでは特にそうだが、お皿に取り分けるのではなく、パスタを加えたお鍋ごと食卓に戻してそこから各々取り分けるのが楽しい。

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火にかける前はこんな感じ。通常サイズのモッツアレラチーズの方が入手しやすいだろうから、本文にも記されている通り、切って使おう。このコロンとした見た目とは異なるが、蓋をして蒸すと下のように溶けるので形状はさほど気にならない。とろけるチーズよりもモッツアレラの牛乳風味の軽やかさが牛肉特有のクセには断然合うので、ここは妥協せずに。

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アスパラが手に入りにくければ、代わりに茄子やエリンギを使っても美味しそう。

 

仕事も一段落したので、紀伊国屋ホールにて上演されている東京ヴォードヴィルショーの『田茂神家の一族』を観に行ってきた。劇団ヴォードヴィルショーのお芝居を観るのも、三谷幸喜作品を観るのも相当に久しぶりなので、今年の芝居納めを楽しみに新宿に向かう。

佐藤B作さん、石倉三郎さん、角野卓造さんに、あめくみちこさんなど錚々たるメンバーでアコーディオンの生演奏にのせた歌あり、キレの良い踊りがあったりでメインのストーリー以外でも楽しめるようになっている。100数名の村での村長候補者合同演説会で転換なしという、ごくシンプルな舞台設定なのに、戯曲と役者さんの力が合わさってグイグイと引き込まれ、自分も村民として立ち会っているかのような錯覚を起こさせる。お芝居からは久しく遠ざかっていたが、やっぱり良いなぁ。

<ごはん日記>

 

48冊目『〆まで楽しむおつまみ小鍋』から2回めは鶏パクチーすき焼き

[48-2]『〆まで楽しむおつまみ小鍋』より2回めは鶏パクチーすき焼き(p.64~)

高橋雅子著、 株)池田書店発行、 デザイン 柳田尚美、撮影 鵜澤昭彦、スタイリング 宮嵜夕霞、 編集・構成 吉原信成、2017年10月30日初版発行 

夜は冷え込むというのでストールを引っ張り出した火曜は、つくねを入れたすき焼きを。

調理時間:20分以内 

主な材料:鶏挽き肉、薄切りにした玉ねぎ、ナンプラー、白コショウ、切り分けたピーマン、ざく切りにしたパクチー、薄切りにしたニンニク、みじん切りにしたパクチーの根、砂糖、油など

調理の流れ:ボウルに青字の材料を入れて粘りが出るまで混ぜて等分にする。ホーロー鍋、鉄鍋などに油と赤字の材料を入れて香りが立つまで炒めたら、つくねを入れて両面に焼き色をつける。砂糖をまぶし、ピーマンとナンプラーを入れさっと炒めたら水を加え煮る。食べる直前にパクチーを入れる。

出来上がった料理:「第2章 にぎやか小鍋」より、出汁いらずのアジア風すき焼きを再現した。まずはおお振りに切ったピーマンのシャクシャクした食感が美味しいし、あっさりしているはずの鶏つくねは、ナンプラーという調味料の深みをまとって味わい深くなる。ビタミン含有率、解毒作用ともに高いパクチーの香りとともに口にすることでさっぱりといただける。

後半に思いついて、取り分け皿にうずら卵を落とし入れ浸しながら食べてみたが、これはこれで美味しい!最近、パクチーはかなり身近な食材となったが、根っこ付きのものは未だ半分くらい。煮込み料理などには香りが一番強い根を出来るだけ入れたいので、買う際には注意したいところ。

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つくねに入れる玉ねぎはみじん切りしなくとも薄切りで良いので、楽で手早くできるのが嬉しいし、口に含んだときに存在感がある。

 

帰省に向けて、野菜室と冷蔵庫内の食品整理(消費)を行わねばならないのに、日毎に食品が増えるのは何故か。スーパーに行くと余計なものまで買うからダメなんだと気がつき、水曜からは買い物厳禁(笑)自分が作りたいもので、かつ、いま手持ちの材料で作れるものを再現する。(日本酒とワインのちゃんぽん。痛飲して二日酔いにつき短めに(笑))

<ごはん日記>