300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

53冊目『とびっきりの、どんぶり』から4回めはドカンとかつ丼

[53-4]『とびっきりの、どんぶり』から4回めはドカンとかつ丼(p.10~)

小林ケンタロウ著、 文化出版局発行、 デザイン 小野明子、アートディレクション 白石良一、撮影 澤井秀夫、スタイリング 中安章子、料理アシスタント 下条美緒、板橋喜代美、片平真紀、2002年6月23日初版発行 2008年8月21日第14版

関東でも梅雨入り宣言が出た水曜は、わしわし食べるどんぶりを。

調理時間:15分ほど

主な材料:トンカツ(市販品)、繊維に沿って薄切りにした玉ねぎ、卵、食べやすい長さに切った三つ葉、どんぶり用に薄めためんつゆ、砂糖、あつあつご飯など 

調理の流れ:トンカツはオーブントースターなどを使い表面をパリッとさせるまで熱し、切り分ける。小鍋にめんつゆ、砂糖を入れて沸騰させたら玉ねぎを入れてしんなりするまで煮る。トンカツを加え、溶きほぐした卵を糸のように垂らしながら満遍なく注ぎ入れる。さらに卵一個を割り入れ、三つ葉を添え蓋をして蒸し焼く。器にあつあつご飯をよそい、具材をのせる。

出来上がった料理:「とっておきのどんぶり」より、THE どんぶり。どんぶりといえばこれでしょ!のかつ丼を再現した。

え?とんかつは市販で良いの?と思われるかもしれないが、油をそれなりの量使うし、コンロも汚れるし、上手に数名分を作るのは結構難しく、どんぶりものにそこまで力を注ぐ必要もない。ならばプロがたっぷりの分量、きちんと温度管理された油で揚げたとんかつがあるじゃん!という発想で(多分)作られたレシピ。冷めたとんかつを美味しく加熱するコツは本書で紹介されているが、オーブントースターや魚焼きグリルの無い我がキッチンでは、フライパンにとんかつを並べ、上からサラダ油をひと回しかけて弱火で焼くことで、表面カリッと中まで温かく仕上げている。追い油とでもいうべきか、この手法は割とどんな揚げ物の温め直しにも使えるので、お試しあれ。

とんかつが温まれば、次なるは卵。固すぎず、生煮えにもならずに程よくふんわりと仕上げるポイントもとんかつ同様、本書に記されているのでご参照下さい。

かつ丼は卵一つでも美味しいけれど、市販のとんかつやめんつゆを使ったことだし、ここは贅沢にもう一つ卵を使おう。当たり前すぎて忘れがちだけれども、どんぶりには卵の存在がとっても大切!溶きほぐして加えた卵のゆるゆるさはもちろんのこと、後で割り入れた卵を箸で割ると黄身がつぅうっと流れでて全体に絡み合う様がとっても色っぽいのだ。加熱具合を変えた卵を混ぜ合わせて食べる美味しさはもちろん、格別。

三つ葉の香りを吸い込みつつ、どんぶりからワシワシと卵ととんかつにまみれたアッツアツのご飯を食べられる。人目も気にせず自宅でこんな幸せにありつけて良いのか?と自問自答したくなるくらいに、くわあっと美味しい。たまには栄養分なぞ気にせず、食べたいものを食べて家族や自分を甘やかすのも良いんだなぁ。

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これはもしかすると銀座にあるとんかつ名店のかつ丼にインスパイアされて作られたのかな。お店で食べるプロの味と比べるまでも無いが、お家ご飯にはお家ご飯の気張らない味があって良い。 

 

数年前からの私の課題は、白米を美味しく食べられる料理を作ること。今回の仕事も悩み悩んで行き着いた結論は、お米が美味しいと感じられるように作ることだった。関係者に何度も試食をしてもらい基礎が出来上がった時点で、いつもは先方に用意してもらっていた白米を持参。炊きたてにあわせて召し上がっていただいた。うん。美味しく出来ていると好評をいただいたが、その次にはこのお米、とっても美味しい。絶対買うから、どこで買えるの?という問い合わせが続出。いくら私が猛勉強しつつ作った料理でも、新潟の新兵器「新之助」の美味しさには敵わず。いや、そもそもが日本の白米の美味しさに気がついてもらうための料理だったので、褒められてとても嬉しく。こんなに喜んでもらえるなら、もっと料理の修行をしようと力をもらう。休んでる場合じゃなかった。もっとがんばろう。

 

"悲しみの果てに 何があるかなんて 俺は知らない 見たこともない

ただ あなたの顔が 浮かんで消えるだろう

涙のあとには 笑いがあるはずさ

誰かが言ってた 本当なんだろう

いつもの俺を 笑っちまうんだろう" ~悲しみの果て/エレファントカシマシ~


悲しみの果て ≡ エレファントカシマシ

 

<ごはん日記>

 

53冊目『とびっきりの、どんぶり』から3回めは豚キムチ丼

[53-3]『とびっきりの、どんぶり』から3回めは豚キムチ丼(p.29~)

小林ケンタロウ著、 文化出版局発行、 デザイン 小野明子、アートディレクション 白石良一、撮影 澤井秀夫、スタイリング 中安章子、料理アシスタント 下条美緒、板橋喜代美、片平真紀、2002年6月23日初版発行 2008年8月21日第14版

気温よりも、さあさぁっと吹く風がとても心地よい金曜は大好物のキムチを使ったどんぶりを。

調理時間:10分ほど

主な材料:豚肩ロース肉、根元を切ってほぐしたえのき、食べやすい長さに切った長ネギ、白菜キムチ、みじん切りにしたニンニクとしょうが、酒、しょうゆ、みりん、炒りごま、ごま油、あつあつご飯など。 

調理の流れ:フライパンを熱してごま油、にんにく、しょうがを入れ、香りが立つまで炒めたら、豚肉を入れ塩コショウをして色が変わるまで炒める。えのきを入れてしんなりするまで炒めたらキムチ、長ネギと調味料を加えさらに炒める。ゴマを加えさっと混ぜ合わせたら、どんぶりに盛り付けたあつあつご飯の上にのせる。

出来上がった料理:「ボリュームどんぶり」より、定番の豚キムチにえのき茸を加えることで食べ応えのある丼を再現した。

レシピでは、長ネギとキムチを同じタイミングで入れるように記されているが、白ネギなら火を通した方が臭みもとれ、甘みも増すのでよいが、青ネギの場合はゴマと同じタイミング、つまり火を止めてから加える方が美味しい。ニラも同じ。火を入れすぎるとせっかくの持ち味が失われてしまうので、最後に加えよう。

職場近くの定食屋さんで最初に口にしたときは、あまりの美味しさにびっくりしたものだが、今やすっかり家庭の味になった豚キムチ。人気なゆえに様々なレシピがあり、私自身も一時はオイスターソースなどを入れてさらに深みを出そうとしてきたが、キムチ自体にとっても旨みがあるので、そこを活かせばそれだけで十二分に美味しいんだなぁと気がつかせてくれたのが今回のもの。ごはんに合うようにちょっと甘みを持たせよう!で、みりんが入り、全体を確実にまとめるなら、やっぱりおしょうゆ!という最低限の調味料使いが、実にほっこりできて、食べ飽きない味に仕上げる秘訣。これは、よく出来ているなぁ。

お腹を空かせて帰宅したものの、あつあつのご飯なんて無いし、炊くまで到底我慢できないなら、冷凍うどんを使おう。茹でたてのおうどんにレシピ通り作った豚キムチと生卵を加えて、菜箸でクルクルと混ぜながら余熱でカルボナーラ状態にして食す。豚キムチとおうどんをより密接にくっつけるために入れた卵が実によい仕事をしてくれるので、おまけレシピとしてどうぞ。

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せっかく包丁とまな板を使うならと、野菜室に残っていた1/8の新玉ねぎもスライスして炒めたところ、甘みが増し、シャキっとした歯ごたえも加わってさらにパワーアップした一品となった。おいしい。 

 

1年12ヶ月の中で祝日が無い月は6月だけなんだとか。そう言われると長くもある30日だが、1年の折り返しの月は何かとやることが増えるので、一向に気にならないのは私だけか。

二日ほど前にドイツ人の友人がFBでシェアしていた記事経由で、Phil Collinsを久しぶりに観る。調べてみると2016年の番組出演の動画なのだが、うわぁ。よく出たなぁというのが正直な感想。英国留学時にひたすら聴いていたのが、このP. Collins, Sting, Police, The BeatlesにQueenの聞き取りやすい発音と歌詞の音楽で、OasisとBlurには現地で出会い、好きになったっけなぁ。

この数ヶ月の懸案事項がどうにか、なんとか解決出来そうなので、明日はスパークリングワインを丸っと一本飲んでちょっとだけ休む。頑張ろうと気合いを入れて努力し続けるのは大切だけれど、いつもフルスロットルで走り続けられるわけでは無いので、皆さんも、あ!これ以上やると倒れるかもと感じる前に休んで、よりよい夏だったり、秋、冬を過ごせますように(長めのタイムスパン(笑))。


Phil Collins: In the Air Tonight

<ごはん日記>

53冊目『とびっきりの、どんぶり』から2回めはなすとセロリのひき肉カレー丼

[53-2]『とびっきりの、どんぶり』から2回めはなすとセロリのひき肉カレー丼(p.77~)

小林ケンタロウ著、 文化出版局発行、 デザイン 小野明子、アートディレクション 白石良一、撮影 澤井秀夫、スタイリング 中安章子、料理アシスタント 下条美緒、板橋喜代美、片平真紀、2002年6月23日初版発行 2008年8月21日第14版

湿度は昨日ほど高くなく、風も時折吹いてやや過ごしやすかった火曜はカレーがほんのり効いたのどんぶりを。

調理時間:15分ほど

主な材料:豚ひき肉、縦縞に皮をむき4割にしたなす、斜め薄切りにしたセロリ、みじん切りにしたニンニクとしょうが、酒、オイスターソース、豆板醤、カレー粉、ごま油、あつあつご飯など 

調理の流れ:小さなフライパンに炒め物をする時より多めに油を入れて、なすがこんがり色づくまで揚げたら、クッキングペーパーの上に取り出し、油を取り除き、新たにごま油、にんにく、生姜を入れて香りが立つまで炒める。ひき肉を加えて色が変わるまで炒めたら、セロリを入れうっすら透明になるまで炒め、なすを加え混ぜ、酒をふりかけてさらに炒める。(レシピ外)具材を寄せてフライパンに空きスペースを作り、カレー粉を入れて香りが立つまで炒めたら、他の調味料を加え全体を炒め合わせる。どんぶりにご飯をもり、具材をのせ、こしょうとごま油をふる。

出来上がった料理:「野菜たっぷりどんぶり」より、これからどんどん美味しくなるなすをふんだんに食べられる一品を再現した。

なすは油と非常に相性が良く、揚げることでコクがでて、紫の皮の色もツヤっと美しく出る。皮にはよく隠し包丁を入れるが、今回はピーラーを使ってタテジマ模様にすることで、油がより早く全体に行き届くよう工夫がされている。

レシピでは調味料を全部一緒に加えるように記されているが、カレー粉は別であらかじめ炒めた方が香りよく、スパイスがキリッと引き締まるような気がするので、ここだけはレシピに従わず自己流アレンジを加えた。 

さて、肝心のお味の方だが、中華風なすのひき肉炒めカレー風味とひとことで言い表すと失礼になるくらいに、隠し味のオイスターソースと豆板醤により、主張しすぎない程よい深みが出ている。セロリの歯ごたえ、ほのかな香り、豚肉の甘みにカレーの風味が加わって、ごはんと一緒にもぐもぐ食べられる。スプーンで、ぐわしぐわし全体をかき混ぜてビビンバ風にして食べても美味しかった。

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この具材は冷めても美味しいので、お弁当の具材にも大活躍しそう。 

 

どこかで誰かがつぶやいていたか、画像を投稿していたのを見て、食べたい欲がぶわぁっと沸き起こったので、朝は久しぶりにパンケーキを焼く。7枚ほど焼き、(もちろん食べきれないので)余った分はペーパーとラップに巻いて翌日のお楽しみに。あまり甘みを出さないパンケーキは冷めても美味しくてパンの代わりにもなるので、便利なのです。

先週くらいから頬っぺたの内側(口腔)に血豆が出来て、あまり気にしていなかったのが、先ほど鏡で確認したらびっくりするくらい大きく育っていたので、きちんと治るまで食べるものに気をつけよう。

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"So wake me up when it’s all over, When I’m wiser and I’m older. All this time I was finding myself And I didn’t know I was lost" Avicii- Wake Me Up


Avicii - Wake Me Up (Official Video)

<ごはん日記>

53冊目『とびっきりの、どんぶり』から初回は目玉焼き丼

[53-1]『とびっきりの、どんぶり』から初回は目玉焼き丼(p.8~)

小林ケンタロウ著、 文化出版局発行、 デザイン 小野明子、アートディレクション 白石良一、撮影 澤井秀夫、スタイリング 中安章子、料理アシスタント 下条美緒、板橋喜代美、片平真紀、2002年6月23日初版発行 2008年8月21日第14版

風が心地よいので、気温ほどは暑く感じられないのは気のせい?な金曜からは豪快な丼ものを再現。

調理時間:10分以内

主な材料:卵、ハム、サラダ油、塩コショウ、しょうゆ、あつあつのご飯など 

調理の流れ:フライパンを熱してから油を入れ、だいたい丼の直径に合わせてハムを並べ卵をのせて塩、胡椒をふり蓋をしてじっくり焼く。器にご飯を盛り、ハムと卵をのせ、しょうゆをポツリとたらし、塩コショウをパラパラとかける。

出来上がった料理:「とっておきのどんぶり」から、本当にとってもシンプルな材料で作れるどんぶりを再現した。

おうちによっては常時ストックしてあるものだから、買い物に行かなくとも作れるし、ハムが無ければベーコンでももちろん美味しく作れる。火加減なぞに細心の注意は払わなくとも良いが、卵に箸を入れた時に黄身がつやつやと光りながらハムの上に流れ出す様に幸せを覚える人や、逆にしっかり火を入れたものを好む人も居るので、そこだけはなるたけ外さないようにしよう。

ハムエッグは子供の時から親しんだ味だけれど、卵かけご飯のそれとはまた違う美味しさが、いまになるととても新鮮で、うん。うまい。

野菜分を少し取り入れたくて、新玉ねぎを軽く焼いたものをご飯とハムの間に敷いた。夏に向かうのこれからの季節であれば焼いたトマトを乗せても美味しそうだけれど、まずは一番シンプルな目玉焼き丼をお試しあれ。男性や子どもたちには間違いなくガツンと受けるお味だし、女性にも好まれる筈。嫌われる要素はほぼ無し。えてして気になる野菜は朝ならお味噌汁、夜ならサラダ等で補えばよし。

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豪快などんぶりものが大好きなのだけれど、母はほぼ作らないので、実家に住んでいた際は外食のイメージが強かった。食事をする時間が限られていたり、ともかくすぐにあたたかいごはんを食べたい人にとっては最高。

 

打ち合わせで京都に帰ったり、何十回目かの試作品作りに没頭しているうちに今週も過ぎようとしている。一つのことと格闘しているうちに、時間はひっそりと、でもぐんぐん進み、気がつけば梅雨入りも目前だなんて、我ながら不器用というか、マイペースだなぁと思う。まぁでもそれがわたしの証であるので、ぼちぼちやって行こう。

咲き誇る紫陽花や薔薇を眺めたり、梅干しを仕込んだり、この季節ならではの風を、香りを感る週末をお過ごしください。

英国の番組"Britain's Got Talent"(2016年)で盛り上がったダンスパフォーマンス。回を重ねるごとに体のキレが良くなるのがすごい。


Boogie Storm make Simon’s dream come true! | Auditions Week 5 | Britain’s Got Talent 2016

<ごはん日記>

52冊目『二菜弁当』から最終回は天津飯弁当

[52-8]『二菜弁当』から最終回は天津飯弁当(p.36~)

オカズデザイン著、 成美堂出版発行、 デザイン 漆原悠一、栗田茉奈、梅崎彩世、撮影 加藤新作、スタイリング 中里真理子、 企画・編集 君島久美、2018年2月20日初版発行 

気温も湿度が高くて、ちょっと動いただけでも汗がじんわり滲む木曜は中華風お弁当を。

調理時間:小一時間(前日にセロリを漬けて、干し椎茸は水につけているものとして)

主な材料:[セロリの甘酢漬け]  食べやすい大きさに切ったセロリ、砂糖、酒、塩、米酢、レモンの絞り汁、昆布、小口切にした赤唐辛子など。 [天津飯] 薄切りにしたゆでたけのこ、卵、みじん切りにした長ネギ、戻した干し椎茸、酒、干し椎茸の戻し汁、オイスターソース、米酢、砂糖、ごま油、水溶き片栗粉など。

調理の流れ:[セロリの甘酢漬け] セロリを塩もみして、しばらく置き、水気を切る。調味料を沸騰させ、粗熱が取れたら酢類を入れる。ホーローや小瓶に液を入れ、セロリ、昆布、赤唐辛子を入れ一晩以上おく。 [天津飯] 戻した干し椎茸は薄切りにする。卵をボウルに入れてほぐす。フライパンを火にかけ、ごま油を熱し、長ネギとたけのこ、干し椎茸を炒め、酒、塩胡椒を加えてざっと炒め、器に取り出し、粗熱が取れたら卵に加え混ぜる。フライパンをさっとぬぐい、サラダ油を入れて熱し卵液を流し入れざあっと一混ぜしたのちは全体にうっすらと火が通るまでしばらく放置してから、改めてざっくり混ぜ合わせて丸皿に取り出す。小鍋に調味料を加えて一煮立ちさせたら、水溶き片栗粉を加え混ぜる。

出来上がった料理:「忙しい朝でも作りやすい二菜」より、手間がかかっていそうに見えて、意外にそうでもない天津飯入りのお弁当を再現した。

干し椎茸の甘みと旨みによって筍のえぐみがとっても美味しい。大人になったからこそ味わえる季節の素材の素晴らしさをしみじみ感じるためにも、春から初夏の頃に出回っている新鮮な筍を使ってぜひ作ってみて欲しい。時間的にさっと作れる分、細心の注意を払うべきは卵の火加減。オムレツは卵を焼くだけなんだから簡単!などと侮らない人ならわかると思うが、程よい柔らかさを残して卵料理を仕上げるのは思いの外難しい。今回この天津飯を作るにあたって私はフランスのオムレツ式、つまり半熟の2〜3歩手前で折りたたみ始め、表面は火が入っているが中はゆるゆるっと柔らかい状態で仕上げた。

セロリの甘酢漬けはとろっと甘みのある主菜を食べながら、口にするとシャキシャキ感と、ほんのりした香りにさっぱりさせる酸味が絶妙で、お弁当を食べる速度が上がるか、はたまた、じっくり味わいたくてスプーンを進めるのがゆっくりになるか、作って食べた人だけにわかる。(セロリと共に野菜室にちょろっとずつ残っていた野菜も塩もみして一緒にピクルスにした)

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お弁当の蓋を開けて、茶色のとろりとした餡がかかった天津飯が出てきたら、うわっ!という驚きと、口にした時の喜びとで記憶に残りそうな一品。

 

まとめに代えて:「バランス抜群の定番」、「忙しい朝も作りやすい」、「野菜の滋味を楽しむ」、「がんばる日のごちそう」、「ひと味違うアジアな」、「みんなが好きな洋食の」いずれも、二菜で美味しく満足できるお弁当レシピが満載されている。ご本人たちが作られた料理を何度か食したことがあるが、お野菜の持ち味を生かした料理が抜群に美味しくて、こころばかりか体まで本当に元気になれる。同じ料理人の観点からすると、okazさんには敵わないなぁといつもうな垂れるが(笑)。

本書は20代の働いている女性向けに記されたそうだが、料理経験を積んだもう少し上の年齢層ならより活用できる一冊。焼きそばやちらし寿司なんて、もう幾度作ったかわからないほどいろんな人に差し入れては喜ばれている。大切な人のために作って、喜んでもらえることが料理を上達させる近道の一つ。極端な話、台所で作ってすぐに食卓に出すとなるとごまかしが効かないが、お弁当なら自分の好きなように時間をかけられるので、ちょっとだけ気楽に料理を作って食べてもらえるのでは。

二菜だからちょっと見た目は地味だけれど、失敗がないようなテクニックとともにしみじみと美味しいお弁当がいっぱい。

 

 

「何か食べもので好き嫌いはありますか?」は会話のネタで時々使うが、面白いのは「食べられないものは特に無いです」と答えられた後に、例えば「パクチーも?」と具体例をあげると、「あ!苦手です」ときて、そういえばアレもコレも食べられないと数珠繋ぎで出てくること。あれれ。嫌いなものは無かったのでは?と頭の中に疑問符が飛び交うが、きっとその人にとってそれらの食材そのものは存在しないものなんだろうなぁ。食べられないから、食べものとして捉えられず、好き嫌いは無いに行き着くのではないかと邪推するが、食事にそこまで興味がないんだろうという説もあり、なかなか面白い。

現時点で世界で一番売れたアニメ主題歌"Can You Feel the Love Tonight" Elton Johnを久しぶりに聴く。子どもとのプライヴェートな時間を優先するために引退を宣言した彼のファイナルワールドツアーは3年間かけて300公演が予定されている。どこかの公演に行ければ良いなぁという野望を抱いている。


Elton John - Can You Feel the Love Tonight (From "The Lion King"/Official Video)

<ごはん日記>