300と数十日の食卓

食べること,本を読むこと,音楽をめぐる時間

【お知らせとお詫び】このblogについて

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現在いろいろと手直しをしている最中でして、時々繋がりにくくなったり、いつも見られていたのに急に閲覧拒否されるなんて事態が発生している可能性があります。この週末までにはアップデートしますので、しばらくご容赦ください。 

54冊目『和えるおかず』から2回めはアスパラガスの卵和え

[54-2]『和えるおかず』から2回めはアスパラガスの卵和え(p.57)

坂田阿希子著、 株)世界文化社発行、 ブックデザイン 縄田智子 L'espace、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、取材・構成 新田草子、編集 北野智子 2017年7月25日初版発行 

暑さにめげそうになるけれど、スーパーには北海道から南下して秋田や新潟のみずみずしいアスパラガスが並び始めていたので、さっとパッとできる料理を再現。

調理時間:10分ほど

主な材料:グリーンアスパラガス、卵、オリーブオイル、塩コショウ。

調理の流れ:鍋にお湯を沸かし、卵を入れてきっかり所定の時間茹でたら、すぐに冷水にとり殻をむいておく。フライパンを熱し、オイルとアスパラガスを入れてこんがり焼き付ける。食べやすい長さに切ってからボウルに入れ、半熟卵、オイル、塩コショウを加え混ぜる。

出来上がった料理:「野菜の”和え”おかず」より、すくすくと育てられた新鮮な素材、アスパラガスの味をじんわりと楽しむためのシンプルな和えものを再現した。

季節になると名産地(うちの場合はほぼ北海道)より、箱単位でプレゼントしていただくアスパラガス。茹でるのも美味しいけれど、オイルでソテーすることで、アスパラガスのナッツのような風味と甘みが増して、初夏にはつい食べ過ぎてしまう。

フランスやイタリア系の料理ではポーチドエッグと合わせ、黄身をソースがわりに食すことが多いが、ポーチドエッグをキレイに作るのは思いの外に難しいから、日本ならではの半熟卵で良いのでは?で生まれたのではないかとわたしが勝手に推測したレシピ。半熟卵だけだから、マヨネーズより健康的で、でもそのぶん味のごまかしは効かないので、美味しそうなアスパラガスを入手できた際に、そしていつもの調理方法では食べ飽きた際にぜひお試しあれ。

熱々はそりゃあもう最高に美味しいけれど、少し冷めると不思議にチーズみたいな味がして、それが面白く、いずれにせよ白ワインがくいくいっと進む。

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かろうじてそら豆を見かけるものの、スーパーでは枝豆の売り場面積が広がってきた。きぃんと冷えたビールの季節でもある。

 

十数年前に、ネットや店舗で個人情報欄に記入するための誕生日を作った。パスワード、PINコードやら諸々誕生日から憶測されることも多いし、適当に記入しても誰にも迷惑はかからないだろう!で、作ってみたら、企業より仮の日におめでとうございますメールがやたらに届くので、ありがたみがないというか、いや、頻繁にお祝いしてもらえてhappyな気分を味わわせてもらっている。うん。これはおめでたい!と、架空の誕生日(その1)を祝いに、早めの夏休みを重ねて、当面は行けそうにない松本へ旅立つ。1日数食お蕎麦を食べ、夜はへべれけになろう。

paulがriverpoolに帰郷、思い出の地をめぐる番組がyoutubeにアップされて数日になるが、何度観ても涙が溢れ出てくる。3世代に渡り愛され続けているこのアーティストを、生で何度も、生まれ育った日本で見られたのは忘れられない出来事だったなぁ。新譜も出してくれるなんて、ことばにできないくらいに嬉しい。 


Paul McCartney Carpool Karaoke

<ごはん日記>

54冊目『和えるおかず』から初回は豚しゃぶとみょうがの胡麻和え

[54-1]『和えるおかず』から初回は豚しゃぶとみょうがの胡麻和え(p.8~)

坂田阿希子著、 株)世界文化社発行、 ブックデザイン 縄田智子 L'espace、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、取材・構成 新田草子、編集 北野智子 2017年7月25日初版発行 

久しぶりに30度近くまで気温が上がった金曜はさっぱりした和え物を。

調理時間:10分ほど

主な材料:豚肉しゃぶしゃぶ用、小口切にしたみょうが、薄切りにしたきゅうり、種を取り除き叩いた梅干し、白ごま、しょうゆ、梅酢、ごま油、酒 

調理の流れ:鍋にお湯を沸かし、酒を加え一煮立ちさせたら、豚肉を一枚ずつ広げながら入れてふんわり火が通ったものから取り出し、キッチンペーパーの上にのせ水気をきり、粗熱をとる。薄切りにしたきゅうりは塩もみした後しばらく置き、両手で握りしっかりと水気を絞る。小さなフライパンを熱し白ごまを煎ったら、すり鉢に入れてすり潰す。ボウルにすりごま、梅干し、しょうゆ、梅酢を加え混ぜてからごま油を注ぎ混ぜ、とろみがついたら豚肉、みょうが、きゅうりを入れて和える。

出来上がった料理:「肉の”和え”おかず」より暑い季節に食べたくなる梅風味の豚しゃぶを再現した。

夏は暑くて台所で火を使うのも億劫だという人もいらっしゃるが、お湯を沸かしてしゃぶしゃぶ用のお肉を茹でるのはものの数分で済むし、煎りごまはフライパンの中で胡麻の一粒一粒がぷっくり膨らんでいくのを見ていたり、ほのかに香りが立ってくるのは思いの外楽しいもので、2分もかからず終わってしまう。すり鉢でするときにプチんと小さく弾ける音やぐんと濃くなるごまの香りは料理する人だけが体験できることなので、(できれば)市販品のすりごまを使うよりごまから煎ることも時々やってみよう。

調味料を混ぜ合わせ、味見をすると甘みが少し足りない気がしたが、全ての食材を和えてからパクリと口にすると、豚肉のうま味が引き立つようなバランスだったことに気がつく。砂糖やみりんを使わず、甘みはあえてごまだけにしたことによりすっきりした梅しょうゆ風味と豚肉を仲良く、美味しくさせる役割を担っているんだなぁ。

レシピに豚しゃぶ用のお肉が特に指定されていないのはありがたい。肩ロース、バラ肉などお好みの種類でどちらでも。わたしは脂身が多い分固くなりにくく、ぷるんとした食感のバラ肉を好むが、ロースならよりさっぱりとした美味しさを味わえる。

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枝豆、冷奴にこの和え物が食卓に並んだなら、ゆっくりとでもくいくいっとお酒を楽しめる。この夏、繰り返し作る一品になりそうだ。

 

ここ数ヶ月、仕事以外の夜のお誘いは断って引きこもり生活を送っていたが、先週からぼちぼち復帰。昨日は3軒はしご酒をしてよい気分で寝入ったところ、火災報知器のすざまじい音で叩き起こされる。このマンションは2年ほど前も夜間に報知器の誤作動をしているし、煙くさくもないので、無視して寝続けようとしたが、あまりにも長く鳴り続けているし、屋外が慌ただしい雰囲気になってきたので、貴重品をカバンに詰めて部屋を出る。階段にはホースが渦巻き、消防隊員さんが現状確認中ですと声をかけてきてくれる。おおごとになっているが、煙は漂っていないし、においもしないので、どうなっているんだろう???で、しばし真夜中の東京にひとりぽつんと佇む。結局今回も誤作動だと判明したのには安心したが、管理会社には早めにきちんと対応して欲しい。

さて海や山が、おいでおいでと呼びかけてくるような季節がやってきた。真夜中の火災訓練みたいな非日常はあまり経験したくないが、気分を入れ替えたり、体を休められる時間や場所に出会えますように。すてきな週末を!

ご機嫌なステージだが、客席もすごい。わかりやすいところではpaul, ringoにyoko onoまで。(paulは2018年9月7日に新譜発売予定!)


Daft Punk Pharrell Williams ft Stevie Wonder 2014 Grammys High Quality ( GET LUCKy)

<ごはん日記>

53冊目『とびっきりの、どんぶり』から最終回はストロガノフ丼

[53-6]『とびっきりの、どんぶり』から最終回はストロガノフ丼(p.19, 21)

小林ケンタロウ著、 文化出版局発行、 デザイン 小野明子、アートディレクション 白石良一、撮影 澤井秀夫、スタイリング 中安章子、料理アシスタント 下条美緒、板橋喜代美、片平真紀、2002年6月23日初版発行 2008年8月21日第14版

久しぶりに気温が上がったものの、程よく吹く風が心地よくて暑っ!というよりも、初夏らしい火曜は乳製品をたっぷり使ったどんぶりを。

調理時間:10分ほど

主な材料:そぎ切りにした豚ヒレ肉、手でほぐしたしめじ、舞茸、手でさいたエリンギ、みじん切りニンニク、薄力粉、バター、オリーブオイル、白ワイン、生クリーム、牛乳、粒マスタード、刻んだパセリ、あつあつのご飯など 

調理の流れ:(かなりの自己流アレンジ入り)ヒレ肉に塩コショウをしたのち、薄力粉をまぶす。フライパンにバターを入れて火にかけ、ぐるぐると動かしながら茶色く焦げる手前でオリーブオイルを加え、豚肉を並べて強火で両面に焼き色をつける。隙間をあけて、ニンニクを入れ香りがたったらキノコ類を入れざっと混ぜ合わせる。全体に油が馴染んだら、キノコの上に豚肉をのせてしんなりするまで焼く。白ワインをふりかけ、アルコール分が飛んだら、生クリーム、牛乳を注ぎ、とろりとするまでさっと加熱する。粒マスタードを加えたら火を止め、味見をしてから、器に盛ったあつあつのごはんの上にかけパセリ、胡椒をふる。

出来上がった料理:「ボリュームどんぶり」より、ビーフではなく豚ヒレ肉を使ったストロガノフ丼を再現した。

本書が出版された2002年では、ストロガノフにはご飯よりもパンが似合う印象だったようだが、ケンタロウさんレシピの普及もあってか、2018年ではご飯にストロガノフはほぼ定番で見受けられるようになった。当時は斬新かつ、こんなに手軽に小洒落た一品が家庭で作れるなんて!となっていただろう。今や珍しい料理感は薄れたものの、バター、生クリーム、牛乳の乳製品御三家にキノコのうま味や香りを引き出し、口にした瞬間ににまぁっとなるほど濃厚で美味しい料理を作ることができる。

ヒレ肉はパサつきがちだが、焼く前に薄力粉をはたき、火を入れすぎないようほんの少しだけ気をつければ、柔らかく、じんわり豚肉の美味しさそのものを味わえる。生クリームも長い時間をかけて煮るとせっかくの風味が飛んでしまうので、ささっと煮詰めてしまおう。

全体を決めるのは粒マスタードの酸味(前面には出ないので隠し味)と、そこはかとない香り。キノコは3種類でなくとも良いし、豚肉もヒレでなくロース薄切りでも代用できるが、粒マスタードだけは欠かさずに作ろう。パセリの香りと緑も大切。

レシピを見ただけで、女性にとっては重すぎると感じられるかもしれないが、豚ヒレ肉のあっさりした肉感が、ソースにちょうど良いバランスで、実際にご飯と合わせて食べてみると、うわうわ。これ、美味しい!となること間違いなしの丼。この頑張りすぎていない、家庭ならではのお味は、きっと作った自分以上に男性やお子さんに受けるだろうなぁ。

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残ったら、翌日は白ワインか牛乳少々を加えてのばし、太めのパスタに合わせても美味しい。

まとめに代えて:初版が2002年。今から10年前の2008年時点で14刷まで伸びたケンタロウさんのベストセラーの一つが本書。

再現した目玉焼き丼、ドカンとカツ丼、野菜たっぷり炒め丼を含む「とっておきのどんぶり」、ストロガノフ丼、豚キムチ丼が取り上げられている「ボリュームどんぶり」、「いつでも人気の基本どんぶり」、「魚がうまいどんぶり」、なすとセロリのひき肉カレー丼がある「あっと言う間の丼」、「少どんぶり」、「どんぶりのお友だち〜小鉢編」、「同〜汁編」という章立て。

365日3食の献立をあれこれ考えるのは、家族のために大切なのは十分にわかった上で、もっと気楽におおらかに作っていいんじゃない?手抜きじゃなくて、楽しく、美味しく料理を作ろうよ!と提唱し出したのは小林カツ代先生やその息子のケンタロウさんが始めだったような気がする。

レシピに付随するケンタロウさんの文章一つ一つが、料理愛に満ちていて、読んでいるだけでお腹が空いてくる。今となっては最先端ではないが、だからこそ再評価されるべきではないかなぁ。発刊当時と比べ、食材の質も料理理論も随分異なったので、アレンジをしたほうが良いレシピもあるが、そうしたところで、ケンタロウさんなら、いいんじゃないのと微笑んでくれそう。

 

主に仕事の関係もあるが、更新が週に一回程度に落ちているのは、今回から一品につき何度か試作した後にblogで取り上げるものを決めているから。せっかく料理本に載せるまでに考えられたレシピなのだから、一つ一つにもっと時間をかけて作ってみようという新しい試み。もう少し料理の腕が安定したら元のペースに戻すので、もうしばらくおつきあいください。

記事にはしなかったが干物、大根おろしに春菊などを混ぜごま油で風味づけした「干物おろし丼」、常備している乾物などで手軽に作れる「のり丼」、鮭の缶詰に赤味噌とたっぷりのわさびを効かせた「鮭わさびみそ丼」なぞは手巻き寿司の具材に加えても受けそうな美味しさだった。

 

昨日早朝、大阪北部が震源地の地震には驚かされた。速報が流れてすぐに末弟にlineすると大丈夫だというので安心していたら、各所より続々と問い合わせがあり、実家に電話するも繋がらず。そうなると途端に心配になるもので、迷惑は覚悟の上で実家近くに住む義妹(長男の嫁)にlineしてようやく無事が確認できた。すぐに京都に戻るという考えもよぎったが、新幹線は止まっているし、ここで動けば逆に混乱を招くだけだなぁと思い至り、今は東京で過ごしている。

もうしばらく余震が続くようなので、飲料水、食べ物その他必要なもの(モバイル機器の充電器、手持ちは全てフル充電)はなるたけ備えて、パニックにならないようお過ごしください。いつもしっかりと踏みしめている地面がゆらゆらと縦や横に揺れるのは本当に怖いものだけれど。

下の画像は本日仕事で訪れた神楽坂に居たコボちゃん像。この愛されている感はすごい。

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<ごはん日記>

53冊目『とびっきりの、どんぶり』から5回めは野菜たっぷり炒め丼

[53-5]『とびっきりの、どんぶり』から5回めは野菜たっぷり炒め丼(p.12~)

小林ケンタロウ著、 文化出版局発行、 デザイン 小野明子、アートディレクション 白石良一、撮影 澤井秀夫、スタイリング 中安章子、料理アシスタント 下条美緒、板橋喜代美、片平真紀、2002年6月23日初版発行 2008年8月21日第14版

台風の影響で気温がぐんと下がった月曜は、新鮮な桜海老が手に入る季節に食べたい野菜たっぷりのどんぶりを。

調理時間:10分ほど

主な材料:薄切り豚肩ロース肉、一口大に切ったキャベツ、半月切りにしたにんじん、もやし、短冊切りにした油揚げ、みじん切りにしたニンニクとしょうが、桜えび、酒、しょうゆ、砂糖、あつあつごはんなど。

調理の流れ:フライパンを熱してごま油、ニンニク、しょうがを入れて香りが立つまで炒める。豚肉を加え、塩コショウをして色が変わるまで炒める。にんじん、油揚げ、もやし、キャベツ、桜えびを加えて炒め合わせ、酒を回し入れてざあっと炒め、調味料を加える。器にご飯を盛り、野菜炒めをのせる。

出来上がった料理:「とっておきのどんぶり」より、野菜がご飯と一緒にもりもり食べられるどんぶりを再現した。

使う調味料は限られたシンプルなものばかり。でも、油揚げからじゅわっと出てくる独特のこくがある出汁や、桜えびの香ばしさや旨みが味に華を添えてくれる。キャベツの炒め加減については、お好みにもよるが、私はクタクタよりも少し歯ざわりのある方が好きなので、いろいろな旨みを纏ったキャベツを口の中でキュッと噛み締めながら甘みを楽しんだ。

これだけ野菜に桜えびもあるなら、豚肉は要らないのでは?と思われるかもしれないが、要るんです。旨みと食べ応えを増す脇役としての豚肉さん。男性にとって、肉が入っているのは結構大きなポイント。女性だけならば、椎茸やえのき茸を入れて極力野菜のみで仕上げたいところだが、お子さんやパートナーのことを考えると、肉類を入れる方が断然喜ばれる筈(これも嗜好によるが)。実際美味しさの要素が確実に増えるのだから、あまり難しく考えずに作ってみよう。

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何度も作っているお気に入りの丼。どの素材の味もきちんと活かされていて、うんと美味しい。 

 

先週末はROCKの日(6/9)。数年前まではライヴハウスに行って、はしゃぎまわっていたが、今年は自宅にてRIZEのTour 2017 "RIZE is BACK", 2017.12.20のDVDを観て過ごす。合間合間に仕事をしていたので2時間強を一気に観られた訳では無いが、映像として改めてみても素晴らしいライヴ。あの日あの夜、2階席からステージを眺め、あまりのクオリティに鳥肌が立ったことを思い出す。

音楽友だちと会うたびに次のライヴ予定を尋ねられるが、今のところ参戦予定は皆無。こういう映像、特に京都MUSEや奈良NeverLand,滋賀U Stoneなど行き慣れた箱を久しぶりに観ると、また行きたいという気持ちがムクリと起きかけるが、自分で決めたことに悔い無し。誰かのせいにするのも、何かのせいにするのも性に合わないから、誘われて行きたい気持ちになれたのなら行くし、DJイヴェントなんかは飲みのついでにふらっと行く程度の距離で音楽とも演劇とも付き合っていくつもり。当面の間はね。


「RIZE TOUR 2017 RIZE IS BACK 平成二十九年十二月二十日 日本武道館」 SPECIAL DIGEST

<ごはん日記>