300と数十日の食卓

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46冊目『staub 「ごはんココット」レシピ』から最終回はシチリア風ミートボールのペンネ

[46-8]『staub 「ごはんココット」レシピ』より最終回はシチリア風ミートボールのペンネ(p.57&59)

若山曜子著、 株)河出書房新社発行、 デザイン福間優子、撮影 新居明子、スタイリング 佐々木カナコ、 2016年10月30日初版発行 

師走になって初めての月曜が始まったが、気がつくと大晦日にワープしていそうな月曜はパスタを。

調理時間:30分以内 

主な材料:ペンネ、合挽き肉、みじん切りにした野菜(玉ねぎ、イタリアンパセリ)、すりおろしたニンニク、卵、パン粉、シナモンパウダー、すりおろしたパルミジャーノ、トマト水煮缶、みじん切りにしたニンニク、赤唐辛子、オリーブ油、スライスアーモンド、イタリアンパセリなど

調理の流れ:ココットにオリーブ油、ニンニクを入れて香りが立つまで炒めたら唐辛子を入れる。トマトを手でつぶしながら加え、ペンネ、水、塩を入れて煮る。青字の材料を混ぜ合わせて粘りが出るまで練り、小さい団子を作る。トマトソースを煮ている鍋にミートボールを入れてさらに煮込む。出来上がりにアーモンド、パセリを散らす。

出来上がった料理:「第2章 ごちそう炊き込みごはん、ワンポットパスタ」より、staubのココット一つで出来上がってしまうパスタを再現した。

ミートボールに混ぜたシナモンの香りにうっとりとして、それだけで身体が温まる感じがするのは焼きリンゴやアップルパイなど冬に美味しい焼き菓子と記憶がつながっているからか。

炒めず生のままミートボールに入れた玉ねぎのしゃりっとした食感がアクセントになっていて、楽しい。ミートボールを丸く仕上げるのは難しいが、煮詰められるのを待っているトマトソースに加えて茹でることで、綺麗なボール状に仕上げられるし、旨味がソースに溶け出して一石二鳥。ペンネを使うことで小さなお鍋でもパスタを茹でられるし、コトコト煮込んだトマトソースにこぶりのミートボールとの相性もすこぶる良し。よく考えられたレシピだなぁと感心しながら、口に運ぶと、アーモンドスライスの歯ざわりとうま味がパスタにぴったりと寄り添って、わわわ!これものすごぉく美味しい!と驚かされる。

今まで試したことのない組み合わせで、絶妙に美味しいものは誰かと共有したくて、だからこれは誰かのために作って、一緒に食べたくなる類のお料理。それぞれの好みがあるから一概に言えないが、今まで作ったことのない料理はみんなの幸せな食卓を作れるよう意見を交わせる機会を作れたりするので、たまに挑戦するのは良いことだと。

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イタリア各地のミートボールレシピを探したところ、このシチリア風はアーモンド、ナポリ風ならレーズンと松の実、フィレンツェ風はほうれん草、プロシュートとパルミジャーノを入れるローマ風と特色があって、どれも美味しそうで探求心をくすぐられる。

まとめに代えて:若山曜子さんと言えば、パリでのル・コルドン・ブルーでのご経験という肩書きが強くて、洋菓子の先生というイメージがあるが、料理本も少なからず出版されている。

今回のla cocotte  de gohan, staubに特化した料理本は、このお鍋を持っていることが前提となるので、作る人、買う人を選ぶ本ではあるが、10年以上炊飯器を持たない生活をしている私がイチオシする炊飯用ホーロー鍋なので、お鍋でご飯を炊いている人には猛烈におすすめしたく、そして購入されたのならこの本も併せて買われるとごはんココット生活をより楽しめる。

「簡単混ぜごはん」、「ごちそう炊き込みごはん、ワンポットパスタ」、「野菜たっぷり煮込み料理」の三つの章立てで、メインは本器具の本領を発揮できる炊き込みごはん。女性に受けそうな野菜のみのレシピや、低カロリーなものも多いので、美味しいご飯をパクパクと食すことができる。材料も手に入りやすいものが多く、出汁の代わりに、ナンプラー、ドライトマト、ワインなどを使うレシピが多い。お菓子作りがバックグラウンドの先生だけあって、野菜などの分量はグラムで記されているので、普段キッチンスケールを使わない方は試してみられると、例えば蓮根50gってこんなものなのかと知ることが出来て、面白いもの。

ココット自体はS(1合用)、 M(2合用)の2つのサイズ展開だが色目は5種類以上あるので、生活スタイルにあった容量、好みの色を選べる。深さがあるので卓上鍋料理には向かないが、スープなどの汁物作りには適している(本書では、汁物の他にシチュー、ロールキャベツ、蒸しものが紹介されている)

最後に若山先生といえば、リゾットをテーマに出された最新刊『フライパンリゾット』(主婦と生活社)で、フライパン一つで手早くできるお米料理およびサラダなどつけそえのお料理を紹介されているので、こちらも併せてオススメする。

 

このところ増えている新幹線での移動時や旅先では、没頭できる長編小説を最初のページからめくるのが楽しみで、自然と読みかけのまま部屋に放置されている本が増えてきた。『女王』連城三紀彦(著)、『罪責の神々』マイク・コナリー(著)など。『未必のマクベス』早瀬耕(著)は、いろんな所に連れて行っているものの、読み始めてかれこれ一月が過ぎるのに未だ読破できず。読みたい本が次々発売されるのは嬉しいが、やらねばならぬリストが列をなす師走には積読本の山が高くなる一方。その中から年始に読む10冊もそろそろ選び始めたいなぁ。梨木香歩さんや、久しぶりの江國香織さんがひとまずの候補か。

<ごはん日記>